終末カウントダウンがトレンド入りしてる件について
見て頂きありがとうございます。作る励みになりますので、良かったらブックマークと評価よろしくお願いします。
最近、やたらに7月5日の話しを聞いたり見たりするので書いて見ました。
てか…うちの娘が怯えてんだろうが!
「勉強しなくても地球滅亡するから大丈夫」って言い始めたぞ。笑
7月5日。
世界が終わるらしい。いやマジで。
トレンド1位は[#終末カウントダウン]
その下には
[#ノストラ再来][#7月5日で世界終了]
[#あと12時間]なんてハッシュタグがズラリ。
タイムラインを見れば、空の写真や謎の予言画像、
考察動画のリンクが山ほど流れてくる。
ちなみに俺は今、アイス食いながらこの騒ぎを見てるだけの一般人。
名前は藤森ユウト、27歳。
職業は…まぁ、いちおうライターってことになってる。
大した実績はないが、、、
「終末予言ネタで今、めちゃくちゃバズってるから取材してきて」とクライアントに言われたのがきっかけで、この茶番劇に首を突っ込む羽目になった。
「ユウトさ〜ん!むっちゃやばいっすよ!
“セレス・コウ”が新しい動画上げてますよ!」
隣でタブレットを構えて騒いでいるのは、俺のアシスタント兼後輩のピヨコだ。
本名は佐久間光。
でも本人が「ピヨコって呼んでください!」と主張するからもうピヨコで統一してる。
思い込みが激しいが、妙に人懐っこい奴だ。
「セレス・コウ? ああ、あの白いローブ着て“星々の導きが〜…”とか言ってる奴か?」
「そうっす!今夜が世界の終わりって断言してます!なんか“波動が臨界点に達する”とか…!」
「ほーん!そうか。で、その動画の概要欄に講演チケットのリンク貼ってるんだよな?大体…」
「……え、ほんとだ。」
予言者セレス・コウ。
SNSで拡散された“7月5日終末説”の震源地とされる人物で、YouTubeでは登録者50万人を超えている。
言ってることは、まぁ典型的な終末論だ。
地磁気の逆転だとか、月の裏側に潜む知的生命体とか、最後には「ノストラダムスが予見していた!」という便利ワードで締めくくる。
俺が面白いと思ったのは、このセレス、予言のたびにグッズや講演会を売ってる点だ。
[真実に目覚めよTシャツ]
[7月5日で終わるノート]
[光の石(5000円)]……
いやっ…なんというか、もう一周回って、、
と言うより、三周ぐらい回って清々しい。
「あと3日ですって……。地球、爆発するの…
どーすんすかっ!地球終わっちまいますぜぇい!」
「ん〜、なぜ江戸っ子口調なんだ…それよりピヨコ、お前来週のバイト入れてたろ…」
「え?……あっ」
ピヨコの表情が一気に曇る。
「世界が終わっちまいますぜぇとか言った後に、来週の予定入れとくなよな、、説得力台無しだろ…」
さて。
この「7月5日終末論」には、もう1つ面白い連中がいる。
それが、考察系YouTuberだ。
代表格は『ヒカリ=ライジング』。
銀髪のウィッグで登場し、めちゃくちゃ速い早口で
「この線が繋がってます!」と壁に貼った世界地図を指差すタイプの奴。
「CERNが7月5日に大型稼働を再開」
「NASAがデータ公開を延期」
「日本の元号が“令和”なのは霊を和ませるため」
意味があるのかどうかも怪しい情報を、全部“繋がってる”と言い張る。
結果、100万再生超え。
Tシャツと本も出してる。出版社はどこだ。
「ピヨコ、ヒカリ=ライジングって7月6日どこいるか、調べたら分かる?」
「え?……ちょ、待ってください……今調べてみますね、、、あっ……!」
「んっ?どうした?」
「公式のインスタ……7月6日……舞台出演のお知らせ……!」
「舞台って…ちゃんと箱押さえてんのかよ…」
「ピヨコ、ちっと見せてみ、、、
わぁお!しかも、“世界が終わらなかったら記念イベント”って……!?」
「予知能力者より商売上手だな。尊敬するわ」
そんな感じで、世界は終末に向かって盛り上がっているが、当の終末クラスタはわりと現実的に予定を組んでいた。
“終わるんじゃねぇのかよ”
だが、彼らの“本当の終焉”がやってくるのは、この数日後のことだった。
予言者、拡散者、考察者、、、。
7月5日までに世界が終わると言い張っていた奴らが、7月6日に生きていたばかりか、、
予約してたホテルがバレる。
それがネットで炎上するまで、あと三日。