表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
兄の婚約破棄で僕のルートが始まる!……はずだったのに、彼女が辺境に逃げてしまった件 取り替え王子と赤毛の令嬢  作者: (//∇//)もじ
精霊界編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/68

第63話 親子の再会

 壇上の豪華な椅子に座った男を、ユージーンは見上げていた。

「父上?」

 キラキラした精霊達は見慣れていたが、初めてみる人間の王様の威厳も確かに感じとれた。

 さほどキラキラしてはいなかったが、別のオーラのような、誠実な厳格さが見てとれる顔と佇まいだ。

 ……怖くないし、嫌いじゃない。なんだか好きな感じ。

 これが父親なんだ。

「父上!」

 もう一度、叫ぶように呼んでみる。

「……ユージーン、よく戻った」

 少しだけ湿った声だった。

 !?

 ユージーンが壇上に駆け上がる。

 王は立ち上がって、彼女の身体ごと、その想いを受け止めた。

「成長したな」

 ポンポンと背中を叩くと。

 ユージーンは涙でぐしゃぐしゃにした顔で。

「父上、遅いよ! もっと早く会いたかったのに! 遅いよー!」

 と怒っている。

「そうか、すまなかったな」

「もうボクの事はいらないのかもって、恐かったんだからね! 迎えに来てくれるのを、ずっとずっと待ってたんだからね!」

「私もお前の成長を待っていた。すべて混乱なく受け止められるこの日をどれほど待っていた事か……愛しい娘よ」

「うわーん、父上ー!」

 ユージーンは子供のように大泣きした。



 ユージーンと共に壇上から降りた王が、精霊王の前に立った。

「精霊王。娘をこのように大切に育ててくれたこと、心より感謝します。ありがとう」

「こちらこそ。セシルを良い子に教育してくれたから、感謝しているのは同じだよ」

 ユージーンが王の袖を引いて。

「セシルって、あの生意気な子供だよね。父上が育てたの? 失敗したんじゃない?」

 精霊王が苦笑いしている。

「……とまあ、こんな感じに自由に育っちゃったんだけど」

「子供特有の正直さだ、悪いことではない。広い世間をみて様々な事を経験していけば、口に出す前に考えるようになるだろう。この優しい娘なら、じきに相手の気持ちを汲んで言葉を選ぶ事もできる」

「それは親馬鹿じゃなく?」

 とからかう精霊王に。

「王の立場で様々な人間をみてきた者としての意見だ」

 しれっと答えて、王はユージーンの頭をポンポンと撫でた。

「父上に褒められた? ような気もする」

 ユージーンが首をかしげる。

「一緒に学べる友のような家庭教師が必要だな」

 王の言葉に、後方に控えていた宰相が。

「はい、適任候補を検討します」

 と答える。

「クレアじゃなきゃダメだよ。会った事も無いお嬢様なんか、ぜーったいにイヤだからね!」

「アークライト侯爵家のクレア嬢か」

 王はクレアを見て。

「オーランドが迷惑をかけたね。詫びが遅れて申し訳ない」

「いいえ。今は、セシル様に良くしていただいております」

「そうか、あやつの想い人であったな。迷惑はかけておらんか?」

「はい」

 そこにユージーンが割って入る。

「かけてるよ、思いっきり。あんな子供が、クレアの婚約者だなんてふれ回ってるんだから。クレアにはいい迷惑だよ」

「ユ、ユージーン様」

「さま!? 様ってなに、クレア……」

 騒ぐユージーンの頭に王が手を乗せて、静かにさせる。

「婚約はセシルから? 受けたのか」

 クレアに尋ねる。

「はい」

 クレアは正直に答えた。

「……そうか、あやつもついに好いた相手と婚約することができたか。喜ばしい事だ。どうか、あの子の側で支えてやってほしい。これからあの子の進む道は、複雑に変化するだろうからな」

 頼む、という父親の願いに。

「はい。ずっとお側で、ともに支え合って生きていきます。私から離れることは生涯ないと、誓います」

「ありがとう」

 王から握手を求められ、その手を握る。

 頭から手が離れたユージーンが。

「ちょっとー。クレアは、ボクの家庭教師じゃないのー?」

 とふてくされている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ