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第32話 ゼノとの再会 

「どうしてゼノがここに!?」

 今まで、森でゼノと出会ったことをすっかり忘れていた。

 そういえば最後に会った時、次に会うまでは思い出せないという暗示にかけられたような気もする。

「ここが俺ん。あっちは秘密基地なんだ」

 周囲にラルフの姿はなかった。

 こんな遠くまでは、さすがについて来られなかったのだろう。

「ここに独りで住んでいるの?」

「いや。えーと……」

 と頭を掻くゼノ。

 ここは森の最終地点で。

 背後の岩山には、掘って作られた家があった。

 大きな二つの窓の間にある古くて趣がある木製の扉が、開いて。

 洗濯カゴを手にして現れたのは。

「ゼノ様、村の人間ですか? 一年はあっという間ですね」

 鈍い銀色の毛並みを持った大きな獣人だった。

 「「あ」」

 記憶の中のラルフと同じ金色の目をした獣人はバツが悪そうに目を外らした。

 武器を収めた革のベルトの上に短い上着を着て、カーゴパンツをはいた二足歩行する大型の人狼。つまりそれは魔物だ。

 山の向こうはまさに魔物達の領土。ゼノは正真正銘、魔族の王だった。



 後ろから夕月が進み出た。

 クレア達とは顔見知りのようだったが、まだ警戒は解かずに。

「護衛の夕月ゆづきです、お見知りおき下さい」

 軽く頭を下げると、馬の尻尾のような黒い髪がさらりと揺れた。

「ゼノだ、よろしくな。その腰にさげてるのって、もしかして刀か? 夕月は東洋人?」

 ゼノが腰の刀を見つけて興味津々で聞く。

「ええ、東洋にある島国の出身です。これは家宝の業物わざもので、狐月こげつ

「本物のサムライって初めて見たな。ちょっとこの辺を切ってみてくれる? すぐにくっつければ無かったことになるって言うだろ? 試してみたい」

 ワクワクと腕を差しだしてくるゼノに。

 大きく脱線しそうな予感を抱いて。

「いや、確かに治りは早いが傷はできます。今日は訪れたのは村の祭りにだす飲食物の件で。行けばわかるとディーナ殿に言われたのですが……」

 夕月が本題に戻すと、ラルフがゼノに代わって答えた。

「こちらで聞こうか。毎年なので、ある程度の候補は決めてある」

「はい。わかりました」

 それぞれの保護者が、頼まれた作業を進めていくのを。

 ゼノが残念そうな顔で見ていた。

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