世界線の検討
「いつの間に帰ってきたんだ?」
誰かが魔法を使ったんだろう。
でも、俺たちにそれを知る術はない。
「でも、帰ってこれてよかったじゃん」
「もしかしたら、あのまま帰れないんじゃないかと思ってたよー」
齋藤って意外とびびりなんだなと思ったが、
まあ彼のために言うまい。
ふと、時計を見ると、境界を超えた時と同じ時刻をさしていた。
「時間が進んでない」
「え、どういうこと?」
なおさんの反応は当然だ。
俺らはあっちの世界で2〜3時間はいたのだから。
「たにし、何かわかるか?」
「うーん。まあ、とりあえ銃を返す時に、これでも解析しようか」
「え、なにそれ」
「ボタン型カメラ」
「後方支援部にあった」
また後方支援部は変なものを。
「ねえ、何で後方支援部はそんなに変なものあるの?」
なおさん、皆が思ってることを言ってくれてありがとう。
確かに、一部活がこんなに武器装備は持てるはずがない。
「あーそれはね、うちの部活の部費が多いから、先輩たちの趣味で集まったらしい、詳しくは知らんが」
「ちなみに銃とカメラは、学校が占拠されたっていう妄想をした先輩の置き土産」
「よく知ってんな、そんなこと」
「あんたも仮にも部員なんだから、会計のことくらい知ってなさいよ」
「努力しまーす」
「それよりも、時間軸のやつは?」
「多分、魔法で転送時に戻る設定があったか、あっちの世界の空間が完全に違うかだな」
「でも、時間の航行って、エネルギーの消費量やばくない?」
「おー、齋藤もたまにはまともなこと言うじゃん」
「確かに、時間の航行は大変だろうから、多分、世界の軸そのものが違うんだろうね」
「それだったら、魔法を使うために行かないとならないアカデミーってやつにもいけるんじゃない?」
「お、なおさん行きたいのか?」
「いや、そう言うわけじゃないけど」
「友達が魔法使いってすごくない?」
「うちの彼氏には、才能がなかったっぽいけど」
「おーい、お前もだろ」
「そんなこと言うなら、こうしてやる」
齋藤がなおさんのほっぺをつまんでいちゃつきだした。
まあ、いろいろ有りすぎて、疲れたんだろうな。
「とりあえず、アカデミーの話は今度かな」
「もう暗いし」
「そうだな、帰るか」
こうして、俺たちの長い1日は終わった。
と思ったら、たにしが耳打ちをしてきた。
「今日、電話していい?」
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