第7話 キアラ
起きると朝になっていて、僕の後ろから昨日のメイドに抱きしめられていた。メイドのほうを向くと目を瞑って待っているのでキスをしてやると頭を僕の胸に擦り付けてきた。
「あの…新しいご主人様ですか?」
「はい。ミロと言います。」
「私はオルテンシアと申します。今日からよろしくお願いいたします。」
亜空間屋敷にオルテンシアを置いて、エリザベッタ達がいる建物へ転移する。イレーネの母親以外は一階で掃除と片付けをしていたので、イレーネとトリニダを2階の奥の部屋の前に連れて行く。
「イレーネ、ここに亜空間の屋敷とゲートを繋ぐので、トリニダ以外は出入りしないようにしてください。トリニダは必要なものを屋敷からら持ってきたり、補充をお願いします。」
「はい。ご主人様。」
鍵のかかるドアの向こう側をゲートの入口として亜空間とを繋ぐ。
作業をしているエリザベッタの所へ行く。
「ご主人様、おはようございます。このお屋敷でいろいろな方の診療をしていきたいと考えていますがいかがでしょうか。」
「エリザベッタがそうしたいならそうしたらいいですよ。大工を呼んで改装してもいいですし、必要な初期費用は僕が出しましょう。」
「何から何までありがとうございます。」
建物を出ようとするとトリニダが腕にしがみついてついてきた。
「ご主人様、ご一緒させていただきます。」
そう言って背伸びして目を閉じるので、抱きしめてきて、軽くキスをしてあげた。
素材買い取り所へ行き、サイクロプスとオークを大量に出すと買い取り所のおじさんは目を白黒させて驚いていた。サイクロプスは一匹1600シーロ(16万円相当)もしたので8万シーロ(800万円相当)以上の買取額になった。
その後、トリニダと食料品や服などの買い物をして診療所へ送り届けた。トリニダからまたキスをおねだりされ、応えてあげた。
診療所から昨日の森へと転移する。昨日よりもサイクロプスが増えているように感じる。これだけのサイクロプスが街を襲ったらひとたまりもないだろう。歩きながら遭遇するサイクロプスを収納していった。
3時間ほど狩りをしていると、スラムの組織から連絡があったため街に戻ることにした。
「どんな依頼ですか。」
「依頼は教会のシスター誘拐で、エドモンド男爵からの依頼です。この男爵からは誘拐の依頼が多く、全て綺麗な女性の誘拐です。」
「ありがとうございます。教会と男爵の居場所を教えて下さい。」
頭に男爵と教会を案内してもらい、依頼料の3000シーロ(30万円相当)を支払う。
教会は街の外れで木々に囲まれている、古く、小さな教会だった。
教会に入ると若いシスターが雑巾で椅子を拭いているところだった。
「どのような御用でしょうか…」
僕を見つけると怯えるように声をかけてきた。
「寄付をしたいのですがいいでしょうか。」
「えっ…あっはい!ありがとうございます。」
収納から白金貨で1万シーロ(百万円相当)を渡す。
「えっ…これ白金貨じゃ…いいんですか…ありがとうございます!」
シスターは喜んで笑った。
キアラ
「私はキアラと申します。最近、変な貴族がここに来るようになって警戒していたんです。ここは私と子どもたちしかいませんし、心配で…あなたはどうしてここへ?」
「知り合いに頼まれまして。」
「キアラねえちゃん、この人だれ?」
5〜6歳くらいの女の子がキアラの後ろに隠れながらこちらを見ている。
「この方はみんなのご飯のお金をくれたんだよ。」
「やったー!ご飯食べれるー!みんなー!」
そう言って、奥へ走って行った。キアラは子ども達に好かれているようで3人の子どもに抱きつかれて困っている。
「良かったら食事を持ってきたので皆で食べませんか?」
「いいんですか…ご寄付まで頂いたのに」
「やったー!」
子どもたちは痩せていて碌な食事が食べられなかったんだろう。3人ともお祭騒ぎになっている。
食堂に案内され、縦長の大きなテーブルに食事を並べていく。トリニダに野営用に大量に料理を作ってもらっていたのが役に立った。
「えっこんな…すごい料理…」
子どもたちも大興奮でよだれを垂らして目をキラキラさせて眺めている。
キアラが手を合わせると全員が静かになり、手を合わせている。俺も習って手を合わせた。
「いただきましょう。」
キアラがそう言うと、待ってましたと言わんばかりに料理を口に詰め込んでいった。
「お金がなくて最近は芋ばかりでしたので…こんなに嬉しそうな顔をしているのは久しぶりです。」
涙ぐむキアラにスープをすすめ、泣きながらスープを飲む、幼さの残るその姿を眺めていた。
「今日は本当にありがとうございました。」
「1人では大変でしょう。あとから僕のメイドを手伝いに寄こしますよ。」
「そこまでしていただくわけには……でも、助かります。ありがとうございます。」
診療所へ転移してトリニダを呼ぶ。トリニダは走って抱きついてきた。顔を胸に擦り付けできたので頭を撫でてやる。トリニダに事情を説明すると、僕の手を引いて、亜空間のゲートを潜り、屋敷の寝室に案内された。
「あの……ミロ様……行く前に私をかわいがってください。」
トリニダと風呂に入って、教会に送り届ける。別れ際に目を閉じて顔を近づけていだので軽くキスをすると笑顔になり、教会に駆けていった。
教会の外から様子を伺う。トリニダが入っていくと子どもたちが、わっと声が上がって、一緒に遊んでいるのがわかった。日が沈むと、灯りの燃料を節約しているのか、急に静かになった。
しばらく経つとドアが開き、トリニダが出てきた。僕はトリニダの横に転移して中に入る。子どもたちの寝室を通り過ぎて、ドアの隙間から中を確認してベッドで寝るキアラを見る。
その後、準備をして、エドモンド男爵の屋敷の前に転移した。
「誰だお前は。」
「シスターを連れてきたと伝えて下さい。」
「待っていろ。」
少し待つと走って先程の門兵が戻ってきた。
「来い。」
中に案内されて屋敷に入り、奥の部屋の前に立つ。
「エドモンド様、連れてまいりました。」
「入れ。」
中に入ると、原色のセンスの悪い服をお腹の出た中年の男性がソファに座っていて、横には目が虚ろになっている、胸元の大きく開いたドレスを着た女性が腰に手を回されて弄ばれている。
「お前新顔だな。女はどうした。」
「はい。寝室に寝かせてあります。」
「わかってるじゃねーか!」
そう言うとエドモンドは巨乳のおねえさんを投げ捨ててドアを開けて早足で歩いていく。巨乳のおねえさんは時間停止亜空間に収納した。
姿を消す腕輪で体を透明化させて、エドモンドの後ろに転移する。寝室の扉を開けた瞬間にキアラをベッドに出現させた。
「お!本当にいるじゃねーか!」
「えっ…何…」
キアラは理由がわからず周りを見回しているが、体の大きな男爵に上に乗られる。
「いや!やめて!誰か!」
「ここは俺の屋敷だから誰も来ねーよ。ひひひひ」
キアラは一生懸命抵抗するが体重差が3倍はありそうなエドモンドを払いのけることが出来ない。
「いや…やめて…お願いします…」
「最初から俺の言う事を聞いていればこんな乱暴なことはしなかったのにな!」
そう言うとシスターの服をを縦に引き裂いて、キアラの白い肌を露出させ、両手をベッドに押さえつけて舌を使って華奢な白い体を丁寧に舐め始めた。
しばらく二人のやりとりを眺めていていたが、エドモンドを時間停止亜空間に収納した。
ギシギシ音を立てていたベッドは静かになった。キアラはぐったりとうなだれてシクシクと泣いている。
椅子から立ち上がってキアラを抱き上げる。
「きゃっ…えっ…ミロ様…」
亜空間屋敷の寝室に転移してベッドに寝かせる。キアラは僕を離そうとせず、シクシクと泣きながら一緒にベッドで過ごした。