第14話 マリカ
チェチーリアとトリニダに孤児院の設立は任せ、診療所へと向かう。
「どうして、診療所をするのに教会の許可を受けないといけないんですか!」
「決まりだから守ってもらわないと困ります。」
「あなた達が勝手に作った決まりなだけで、私には関係ありません!」
「わかりました。今日は帰りますがどうなっても知りませんよ。」
真っ黒な服を着た男二人組が診療所を出ていくところだった。
「あっ…ミロ様。実は昨日から教会に診療所を閉めるように言われていまして……」
教会は国とは全く異なる自分たちだけの法で動いていて、自分たちだけが他人の治療をしてもいいと思っている。
冒険者で治癒士の肩書を得ようと思うと教会に寄付をし続けて神官の職を貰わないといけない。治療は基本教会で多額の寄付をしてもらわないといけないからこの診療所が邪魔なのだろう。
「大変でしたね。今後はイレーネたちにも護衛してもらいましょう。」
エリザベッタは大量の魔素を流し込んだが、僕が治癒能力に特化するように念じたので戦闘力はさほど上がっていない。
イレーネに診療所に来る不審な輩は追い払うように言い、遺跡の中に転移する。
遺跡の中の探索はその後何日も通い、黄色のギガンテスよりもさらに大きな個体がうじゃうじゃ出現するようになった。僕は空中を転移し、落下しながら魔力感知で黄色のギガンテスの位置を把握して一斉に収納し、再び転移する方法を繰り返した。
しばらく進むと森の中にまた遺跡があった。遺跡は人が通るほどの小さな回廊が続き行き止まりになった。亜空間で切断しようとしても傷をつけることができないため、諦めて外に徘徊する黄色ギガンテスを収納し続けた。
レウスの街の素材買取所で一部のギガンテスを買取してもらっていると隕石魔法を使える少女の話をしている男たちがいた。
「すみませんが、その話良く聞かせてくれませんか。」
そう言って金貨(1万円相当)を渡すとびっくりした男たちが金貨を受け取り、話し始めた。
「前のスタンビートのときに空から巨大な岩が降ってきただろう。あれは隕石魔法といって、召喚魔法だそうだ。それでその魔法を使ったのは教会専属魔法士の少女だったらしい。教会もなりふりかまっていられなかったんだろうな。」
僕は買い取り所を後にして教会まで転位し、窓から中を確認して中に侵入した。教会の中は広く、造りも豪華だ。
見つからないように透明化と、転移で教会内を探していると、鍵がかかっている部屋を見つけた。その部屋へは一度外に出て窓から転移して侵入する。
「あなたが隕石魔法を使うという方ですか。」
「きゃ!あっあなたは…?」
「僕はミロと言います。驚かせてしまってすみません。」
「私はマリカと言います。おっしゃるとおり私は隕石魔法を使うことができます。私に何か用ですか。」
「私も魔法使いのためあなたの魔法に興味がありましてこうして会いに来たのです。」
「そうですか。私は母親が教会に洗脳されて凶徒にさせられてしまい、私も教会のためにと協力させられています。ずっとこの部屋に閉じ込められていて……」
「そうでしたか。ここから抜け出すこともできますがどうしますか。」
「それだと母を置き去りにしてしまうので……あの外の話を聞かせてもらえませんか?」
僕はその日から毎日夜にこの部屋に来て、マリカにその日の出来事や、これまでの討伐の話をした。それが段々とベッドの中になり、マリカもそれを望むようになった。
マリカ