第13話 ユース
チェチーリアは僕の手を取って色々な店に入ったり、建設中の建物を見て楽しそうにしている。
多くの若者が働く一方、少し路地に入ると整備されていない道には食べ物に困る子供たちがたくさん見受けられた。 他の街から流れ着いたのか、親を亡くしたのか。チェチーリアはそんな子供たちを不憫に思っているようだった。
「あの……ご主人様……こんなことをお願いしてもいいのかわかりませんが、少しお小遣いをいただけませんでしょうか。」
真っすぐに僕の目を見て、僕の手を自分のたぷんたぷんする胸に当てておねだりしてきた。
僕はチェチーリアの手に金貨10枚を握らせてあげた。
「こ……こんなにたくさん……ご主人様ありがとうございます。」
そう言うとチェチーリアは僕の手を放して街のどこかに走って行ってしまった。
僕は遺跡のギガンテスを狩り、診療所へと向かった。診療所には多くの患者さんが待合室に待っていた。
「あ!ミロ様!エリザベッタ先生、ミロ様が来てくれたよ!」
入口で患者の案内をしていた小さな子供が中に駆けていき、エリザベッタを呼びに行く声が聞こえた。
「ありがとうミュレー。ミロ様来てくださりありがとうございます。もうすぐ午前の診察は終わりますのでもう少しお待ちください。」
エリザベッタは黒髪の少女の頭をぐしゃっと撫でるとミュレーと呼ばれた少女は嬉しそうにエリザベッタに抱き着いた。
診療所の中を覗くと5人ほどの人が長椅子に腰かけていた。どの人も裕福な感じではなく、どちらかというと生活に困っているような感じの人たちだ。エリザベッタがどんな人でも診療しやすい料金設定をしているからに違いない。
病状を聞いて患部に治癒魔法をかける方法だ。つまり、医療を学んでいなくてもできる。治癒魔法は初級だとかすり傷を治す程度だが、エリザベッタは病気や重症も治すことができる。
エリザベッタが治療をしている間に二階に行き、カーラの部屋に入る。
「ミロ様!わざわざ来ていただきありがとうございます!」
カーラは僕の手を取り、体を密着させて顔を僕の顔に近づけてきたのでキスをするとベッドに押し倒されてしまった。
カーラに搾り取られて再び診療所へ降りていくとエリザベッタが診療を終えて書類事務をしていた。
「ミロ様、お待たせしてすみません。」
「いえいえ、僕は特に用事はありませんから大丈夫ですよ。診療所の運営はいかがですか。困ったことはありませんか。」
「はい。この子達とキアラのおかげでとても助かっています。ただ、あまり多くの人を治療することができなくて……これは単純に私の力不足なので仕方ないのですが。」
「そうですか。これ以上の力が欲しいのならば与えることもできますがどうしますか。」
「えっ……そんなことが……治癒の力をあげるには何十年も魔物を狩り続ける必要がありますが……もしも可能であればその力、与えていただけませんでしょうか。」
エリザベッタを亜空間の屋敷に転移してベッドに寝かせる。
「エリザベッタ……まだあまり試していないからわからないけど、これをするといろいろな体液が溢れ出して体がおかしくなってしまうかもしれないから覚悟してください。」
「わ……わかりました。」
エリザベッタに少しづつギガンテスの魔素を流し込んでいく。
「きゃああ!ミロ様!体が熱いです!」
エリザベッタは体をビクンビクンと痙攣させてベッドをのたうち回った。
「お……お願いです……もっと……たくさんください……」
少しづつ勢いを増して魔素を流し込んでいくと体中から汁を噴き出した。
エリザベッタに魔素を注入していたら、エリザベッタは白目になり、気絶してしまった。
次の日ユースの街に転移して、チェチーリアを探す。
「ご主人様!」
チェチーリアは食料を大量に買い込んで子供たちに分け与えていたようだ。
「あの……勝手なことをしてすみません。私は子供のころこの子達と同じで道端で生活していました。それをあの貴族に買われて……」
泣き出してしまったチェチーリアを抱きしめてやると大声をあげてさらに泣き出した。
「チェチーリア、この街にあの子供たちの受け皿になる孤児院を建ててあげるよ。」
「えっ…ミロ様……いいんですか……私のために……」
「はい。君のために。その孤児院はあなたに任せます。」
「ミロ様……ありがとうございます……私頑張ります。」
チェチーリアと建築中の素材買取所に向かう。
「あの、すみません。この街で建物を建てたいのですがどなたにお話し伺えばいいのでしょうか。」
「あぁ、それだったらこの先の商会に行くといい。今領主様から移民者のとりまとめをしている。」
街道を歩き、新しく大きな屋敷に入る。
「いらっしゃい。」
「この街に建物を建てたいと思っています。」
「そうでしたか。どれくらいの大きさの建物を予定していますか。」
「子ども30程度が入る孤児院を建てたいと思っています。」
「それでしたらこのこの区画がよさそうですが、その規模ですとお金が少し張りますがいいですか。」
商人に案内されて土地を見る。中心街からそれほど離れておらずいい条件のように思える。10万シーロ(1000千万円相当)を商人に払い土地の権利書を貰い、大工を紹介してもらった。
チェチーリアを交えて、大工に建物の構造について話す。食堂は皆で集まって食べれるように長いテーブルにし、キッチンも大きく何人も入れるようにした。子供部屋は2段ベッドでなるべく多くの子が寝ることができ、管理する大人は別室とした。
大工に先払いで20万シーロ(2000万円相当)を支払い、半分は完成払いとした。亜空間屋敷からトリニダを連れてきて、チェチーリアのサポートをするように命令し、完成払い分の金を渡しておく。
「旦那様、わかりました。今日も注入お願いします。」
トリニダは目をキラキラさせてエッチなことを言ってきた。