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ざまぁフラグが立ってる王子様に転生した  作者:
王子様と悪役令嬢
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18 本筋のラノベ原作ではなく

「例えば、周囲が僕の悪評を広めることを見据えての対応だったら、これは罪になってしまう」

「ち、ちがうっ! 私、そんなつもりじゃなかったのっ!」

 途端に狼狽して混乱状態になるアインホルン公女に、落ち着くように声を掛ける。

「アインホルン公女、落ち着いて」

「でもっ!」

「僕はまだ、君のしたことに、結論を出しているわけではないよ」

「あ……」

 そこでようやく、公女はおとなしくなった。

「この話は一つの出来事に、いろんなことが絡んできている。一方的にアインホルン公女を断じたりしないから、そこのところはちゃんと頭の片隅において、落ち着いて話を聞いてね?」

「はい、ごめ、も、申し訳ございません」

「さっきみたいに口調は崩していいよ」

 もう今更だしねぇ?

「それで話を戻すけど、アインホルン公女を罪に問うとしたら、判断基準は二つ。さっきも言ったとおり、公女が自分の影響力を理解していて、シンパの貴族たちが憶測で僕の悪評を振りまくのを想定していた。もう一つは公女は僕に対しての悪意がある」

 僕がそういうと、アインホルン公女はしきりに首を横に振る。

「どっちも、違うわ」

「そっか、まず最初の方。公女は自分の影響力を自覚していた?」

「自覚は、してなかったわ。みんな……お茶会で顔を合わせる同じ年の令嬢が、私の周囲にいて、親切だったり、親し気にしてくれたのは、公爵家の娘だからだと思っていたもの」

 友達おらんのかい。えー、なんだろう、他者と一線を引いてるのは、イグナーツくんと似てるんだけど、こればっかりは何とも言えないか。比較するものでもないし。

 それに全員が全員、損得でアインホルン公女の傍にいたわけではないと、僕は思うんだけどなぁ。もし、公女がそばに寄ってくる相手に、何か隔たりのようなものを感じているとしたら、それは、相手も同じように思っている可能性もあるんだよなぁ。

「じゃぁ、アインホルン公女の態度で、僕の悪評が発生して、広まるとは思ってなかった?」

「……言い訳みたいになってしまうのだけど、私の話を聞いてくれる?」

「うん、いいよ?」

「最初、私の態度で第一王子殿下の悪評が出てることは知らなかったの。あの……陛下の側近の人たちが、第一王子殿下は我儘っていう話を広めていたのよね? 私はそっちの、第一王子殿下は我儘で癇癪持ちで、気に入らないことがあると周囲に八つ当たりするっていう話は知っていたわ。だから、私の周囲で広まった第一王子殿下の悪評は、その側近の方々が広めたものが、ずっと貴族間で話されているものだとばかり思っていたの」

「んー、ちょっといいかな?」

「なにかしら?」

「元愉快なお……、元側近たちの話が嘘で、彼らがわざとその流言を広めていたことも、アインホルン公女は知らなかったのかな?」

「うん、ごめんなさい。私、それも知らなかったの」

「じゃぁ四年前に王宮で何があったかも、その時点では知らなかった?」

「何かがあったというのは、知っていたわ。お父様は忙しそうにしていたし、それに、私や兄弟にも、継承権を持っていることを忘れるなって言って……、えっと、それはその羽目を外すようなことはするなっていう意味だと思ったのだけど、違ったのかしら?」

「合ってるよ」

「そ、そう。私、四年前に王宮で何があったかは、本当に知らなかったの。今は、その、ビリヒカイト侯爵からお話を聞いたから、ちゃんとわかってるわ。それで……」

 言いづらそうにアインホルン公女は、僕を見てそれから視線を外し、躊躇いながら話を続ける。

「記憶が戻ったのは、それよりも一年前、今から五年前の、イグナーツ殿下の最初のお茶会の時だったのよ」

 僕より早く記憶が戻ったのか。

「最初はね、『しいでき』の世界だとは思わなかった。ただ、異世界転生だ! って思うだけで、主催もイグナーツ殿下だったし。『しいでき』には第二王子がいることは分かってたけど、名前は出てこなかったから、ただの異世界に転生したんだって思って……。でも、私の名前が『しいでき』に出てきた悪役令嬢と同じで、そこで、あれ? って思ったの。もしかして『しいでき』の悪役令嬢に転生したのか? って。『しいでき』だと悪役令嬢のオティーリエは、リューゲン殿下の初めてのお茶会で、リューゲン殿下に一目ぼれしたのに、お茶会の主催がイグナーツ殿下だし、それで、そのお茶会で第一王子殿下の……我儘で癇癪持ちで、気に入らないことがあると周囲に八つ当たりするっていう話を聞いて……、そのあとも、同じだけど微妙に違うところもあって、そのうち、ここは『しいでき』の世界だけど、もしかしたら悪役令嬢が主役になる世界なのかな? って……思ったの」

 アインホルン公女はそう言って、膝の上にのせている両手をぎゅっと握りしめる。

「あ、あのね、怒らないでほしいんだけど、私、それで、投稿サイトで見た『ざまぁ』ものみたいだなぁって思ったの。投稿サイトのは『ざまぁ』ものってたくさんあったけど、『悪役令嬢』が婚約破棄する婚約者を『ざまぁ』するものがほとんどだったでしょう? 『ざまぁ』ものの原作になってる、本来の婚約者が『悪役令嬢』を婚約破棄するのは、ちゃんとした理由があるのだけど、でも『ざまぁ』ものの婚約者は、劇中劇の婚約者とは違って、性格が悪く改変されて、全然魅力的なキャラじゃないよね?」

「それは、清廉潔白な相手だと、『ざまぁ』しても、カタルシスがないからだろうね」

 僕の返事に、アインホルン公女は、驚きを隠すことなく顔に出した。


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