表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ざまぁフラグが立ってる王子様に転生した  作者:
王子様の学園生活(四年生)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

382/386

70 フルフトバールで魔獣狩りだぁ! そのじゅう

「ヘレーネが、男子生徒と、デート……」

 今、イジーの頭の中は、いろんなことが渦巻いてるぞ。

「ネーベル。もうちょっと手加減して」

 ついついイジーを甘やかしてしまう僕に、ネーベルは厳しかった。

「だめだ。イグナーツ様はアルに輪をかけてこの手のことに疎い」

 刺さった! 鋭いなにかが僕の胸に刺さった!!

「それじゃぁ、イグナーツ様が利用される」

 更に痛いところを突かれた!!


 イジーが王太子になるってことは知ってる人は知ってるんだよ。

 そしてそういう情報を持ってる人は、イジーの婚約者が内々に決まってることもわかってるはずなんだけど、あわよくばという野心を持っているご令嬢が、全くいないとは言い切れない。

 だからネーベルは、イジーに自分の気持ちを自覚させたいんだ。


 ヘレーネは……、血筋的に問題があるわけではないんだよね。

 ヘッダがイジーの婚約者を降りたら、次の候補はたぶんヘレーネになると思うんだ。

 ヘレーネは、現ベシュッツァー侯爵の養女ではあるけれど、母親は侯爵の実妹。実父の方も経済破綻している貧乏貴族ではないし、一応領地を持ってる伯爵家で、そこそこ歴史のあるお家柄。


 ただなー、政に関わってる連中としては、何がなんでもヘッダを王妃に据えたいと思ってるはずなんだよ。

 血筋も良ければ、ジーニアスだし、カリスマ性もあるし、大抵のことは何でもこなしてしまう。

 もし、イジーが国王に向いてない性質であったとしても、ヘッダが王妃ならって考えてる連中は絶対いるんだよ。

 そういった人たちは、たぶん婚約者の入れ替えに難色を示すだろうし、ヘレーネの実母の件と、学園に来るまで引きこもりだったことを持ち出して、ヘレーネは王妃として向いてないって言いだすと思う。


 いや、今はヘレーネを王妃にできるかできないかって話じゃなく、まずイジーの気持ちだな。

 ネーベルに指摘されて、考え込んでしまったイジーへ手を伸ばして、頭を撫でる。

「今、ネーベルが言ったことなんだけどね。男子がヘレーネをデートに誘ったらどうするってやつ。イジーどう思った?」

「どう?」

「うん、ヘレーネが自分以外の人に笑顔を向けて、腕組んで歩いて、楽しそうな姿を思い浮かべて……って。イジー、魔力が漏れてるよぉ」

 話の途中でイジーから魔力が漏れ出て、天幕内の温度が下がってる。


 僕に指摘されたイジーは、自分の魔力の制御ができなくなった理由に思い至ったのか、珍しく顔を真っ赤に染め上げた。

「そっ、うっ。ちがっ」

「え~? 違うんですか? そんな顔真っ赤にしておきながら?」

 クルト、やめてー!!

 僕に魔力が漏れてること指摘されて、イジーは、今はじめて、自分の気持ちを自覚したんだよ。

 だから、そんな風に追い打ち掛けないでおくれよ。

「イジー、あのね。自分の気持ちを僕に教えてくれて、ありがとう。ちゃんと、約束守ってくれて嬉しいよ」

「……俺、わかってます。ヘレーネのことは好きだけど、でも諦めなきゃいけない」

 今の段階でイジーの婚約者はヘッダだからね。

 あと、ほら、アレだよ、アレ。

 どっかの誰かさんがやらかした、最大の汚点だ。

 婚約者がいるのに、他の相手を好きになるっていうのは、イジーにとってはみんなを不幸にすることって捉えてるから。

 アレと同じことは絶対にしないって、イジーは思ってるんだよ。


「なんでだよ!! 好きならいいじゃん! 諦めんなよ!!」

 知らないはずないのに、なんで、テオはそーいうことを……。

「テオ、君ねぇ。ヘッダとの障害を取り除きたいからって、イジーを煽るのはやめなさい」

「うっ!」

 図星か!

「テオの気持ちもわかるけど、でもイジーの気持ちだってわかるよね? イジーはね、同じことしたくないんだよ」

 具体的な名前を出してはいないけれど、聡いテオはわかるはずだ。

「でも。でもよ~」

「もー、でも、じゃありません! あのね、イジーとヘッダの婚約は、当人たちに好きな人がいるので解消しますって、そんな簡単な話にはならないの! イジーは王族で次の王太子なんだよ? それぐらいわかるでしょ?」

 途端にテオはグッと声を詰まらせる。

「二人の婚約には、いろんなことが動いてるし、準備だってしてるんだ。簡単に相手を入れ替えればいいって話じゃないんだよ」

「それは、わかってる」

 わかってるのに、デモデモ言ってるんかい。


「それからね、こっちでワーワーやってても、肝心のヘレーネの気持ちもあるってこと。これを忘れちゃダメだよ」

 僕の発言に、イジーの肩が揺れ、テオも息を呑んだ。

 ほら~、やっぱりそのこと頭にはいってなかったぁ。


「でも、いまヘレーネのことをあれこれ言っても、余計ややこしくなるから、まずそのところは保留。最終的に考えることだけど、まずはイジーの気持ちをさ……、わかってあげないと、ね?」

 そう言ってイジーを見ると、イジーは途方に暮れたように僕を見る。

 凄い、イジーの感情が、表情に出てる。

 恋って、こんな風に人を変えるんだね。

 それは僕も同じなんだけどさぁ。


「つくづく、後手に回っちゃったなぁ」

「後手?」

「ってなにが?」

 僕の呟きに、イジーとテオが訊ねてくる。

「んー、まずね。出会い」

「イグナーツ様とヘレーネ様の、ですか?」

 リュディガーの言葉に僕は頷く。

「ヘレーネ、ちょっと事情があって、幼少期は引きこもりさんだったんだよね」

 僕もそうだったからこの辺のことは強く言えないんだけどさ。

「だから他派閥の同世代との社交、全くしてなかったんだ。イジーの最初のお茶会にも出てなかったし、僕が同世代との関わりを始めた頃も出てこなかった。もっと早く出てきてたら、たぶんイジーの婚約者は、ヘッダだけじゃなくってヘレーネも候補に挙がってたはずだよ。だって、ヘレーネ侯爵令嬢だしね」

 その説明に、全員が「あぁ、そうだろな」と、納得の顔をした。


 イジーが恋をしたのは、とても喜ばしい。

 でも王族の恋は……特に、国王となる者の恋は、21世紀の地球と違って、そうそう簡単にはいかないよなぁ。

 21世紀の地球だって、某王国の国王陛下が、王太子時代に夫もちの女性と不倫してて、それなのに名門貴族の伯爵令嬢と結婚して、かなり顰蹙買ってたもん。

 そうならないように、何とかできないものかなぁ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ