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ざまぁフラグが立ってる王子様に転生した  作者:
王子様の学園生活(四年生)
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41 留学生である自覚を持て

 ソーニョが僕らのいる寮館に移動してきたのは、あの話し合いから三日後の休日だった。

 話し合いの時エウラリア様は、明日にでもって言ってたけど、なんかあったんだろうな。まだ性懲りもなく抵抗したのかもしれない。

 エウラリア様にくっついていた護衛を兼務しているお付きの男子生徒が、大荷物を運んでくる使用人たちと一緒に寮館にやってきたのだ。

 エウラリア様のお付きの男子生徒は、使用人たちにあれこれ指示を出し、ソーニョのために空けた部屋に荷物を運び入れさせていく。

「立ち合い、感謝いたします。後ほど、本人もこちらにやって来るでしょう」

「ご苦労様」

 最後に引き継ぎ相手になにやら通達事項をしてから、僕に挨拶してあっさりと帰っていった。

 ふむ。実力行使をしたんだろうな。

 あの男子生徒は、エウラリア様との最初の話し合いの時も侍女と一緒に傍にいたし、側近のひとりなんだろう。

 残された使用人たちも、エウラリア様の指示でソーニョのお世話をするって感じっぽいしなぁ。

 ソーニョに付く使用人たちには、うちの使用人たちと連携をとってくれと伝えてある。

 ソーニョが魅了を持っているかいないかは不明だけど、魅了防止の魔導具を寮館のいたるところに設置させてもらっている。

 この世界、魅了っていう概念がないから、魅了に影響されないものというよりも、魔力を無効化する魔導具なら、すぐに用意できるとヘッダに言われたのだ。

 魔力の影響を受けない魔導具って言うのは、いろいろ条件付けが発生するらしい。

 だから、微量でも魔力の使用が検知されたら、即座に魔力を相殺する方向に切り替えて作ったそうだ。

 念のため、魔力を無効化するアクセサリーも、作ってもらったんだよね。

 魔力対抗に弱めの使用人に、アクセサリーを身に着けてもらっているけれど、一応僕とイジー、ネーベル、テオ、クルト、リュディガー、マルクスにも、身に着けるようにしている。

 アクセサリーの形はネックレス、バングル、アンクレット、指輪、ピアスと様々で、僕とネーベル、イジーは服の下に隠れるネックレス。テオはピアス。クルトとリュディガー、マルクスはアンクレットにした。

 アクセサリーが魅了をキャンセルするものだと気づかれないための対策なんだけど、テオはねぇ……。

 ネックレスは首が締まるようで嫌。バングルと指輪は剣を振り回すのに邪魔。アンクルは足枷みたいで嫌。と、あれこれ注文つけてピアス。

 テオはもともとピアスをつけてるし、辺境伯の子供という立場であるなら、身を守るアミュレットを持っていてもおかしくない。

 ソーニョにピアスが何かの魔導具だとばれたところで、テオは痛くもかゆくもないだろう。むしろ煽りそう。


 で、肝心のソーニョなのだが。

 あいつ、ディナーの時間過ぎても寮館にきやがらねぇ!

 なってねーな。団体生活、舐めんじゃねーわ。

 そんなわけで、僕は寮館のエントランスで、奴の帰りを待つことにした。

 表から帰ってきても、他の入り口から帰ってきても、どのみち一階には厨房と接客用の応接室が二室に食堂、それから談話室しかない。

 それ以外は全部空き部屋で、そこには使用することがない家具が無造作に置かれているか、何もない空っぽ状態にしているので、常に鍵がかけられている。

 二階が従業員スペースで、三階に僕らの部屋。上の階に行くには、防犯を考慮した造りのため、玄関前のエントランスにある階段からしか行けないようになってる。

 ここまで僕らと顔を合わせることを避けるってことは、あいつはこの先、寮館には寝るためにしか戻ってくる気ねーんだろうな。

 それならそれで構わんのよ。

 だけど、ここは団体生活してる場所なんだよ。自分はこうしますって一言があってしかるべきだろうが。

 あと、自分の部屋も知らないでどこに寝る気だよ。

 どうせ僕らが寝静まったと思った頃に帰ってきて、寮館内を物色するんだろうね。

 物音で起きてこられると困るって考えるだろうし、二階三階まで上がってこないんじゃないかな?

 だから、一階にある応接室か談話室で寝て、朝早く出ていく可能性もある。

 なので応接室と談話室には鍵をかけて、中に入れないようにさせてもらった。

 みんなには先に休んでいいよと言ったんだけど、なぜか自分たちも待つと言って、僕と一緒に待機。

 そうしたら、シルトとランツェ筆頭に、使用人たちがエントランスに仮設の休憩スペースを作り出してしまったのだ。


「皆様、どうぞこちらでお待ちください」

「すぐにお茶をお持ちします」


 僕の執事と侍女、超有能。

 仮設で用意されたテーブルセットに、お茶の用意をしてくれた。

 テオとイジーそれからリュディガーとマルクスで、カードゲームをしている横で、僕とネーベルとクルトはその様子を見ている。

 っていうか、この世界。トランプカードもだけど、リバーシやチェスもあるんだよねぇ。

 絶対、過去に転生者いた! 確定だよ。


 ボードゲーム系は特に人気があるから、これならTRPG流行るんじゃないか?

 基本、紙と筆記具とサイコロがあればできる遊びだし、ルールブックをいくつか作って、それからシナリオは、劇作家さんか、もしくは作家の卵に作ってもらうのもありだよな。

 TRPGよりももっと簡単なゲームなら、人狼ゲームだ。

 ただなぁ、僕が知ってる人狼ゲームって、初期の人狼と村人と占い師のシンプルなものだったんだよねぇ。

 だんだん役職とか増えて、その時点で人狼ゲームはやらなくなったんだよなぁ。

 大人数でやるなら役職がたくさんあった方が面白くなるんだろうけれど、その分システムが複雑化するんだよ。

 人狼ゲームって結局のところ心理戦ゲームだから。


「アルベルト様」

 シルトに名前を呼ばれる。

「あぁ、帰ってきた? なに裏口から?」

「はい」

 バッカだねぇ。僕とイジーの二人がいる場所なんだよ?

 僕らがいる間は、使われている出入口すべてに、警備兵が配置されてるに決まってるじゃないか。もちろん使用頻度が少ない場所もあるけれど、そういった場所は鍵を閉めて、出入りできないように厳重に封鎖されている。

 誰かが隠れて寮館に出入りするなんて、そんなことできるわけない。

 王族がいる場所で、油断を許す警備兵がいるか。





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