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ざまぁフラグが立ってる王子様に転生した  作者:
王子様の学園生活(四年生)

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30 情報報告はディナーの後で そのさん

 ソーニョの事情を説明したけど、一番大事な話をまだちゃんとしてなかったな。

「それから、あともう一つ。みんなに伝えておくことがあるんだけれどー。んー、この話はネーベルとイジーは知ってるけれど、みんなは初耳の話になるかなぁ。テオは心当たりがあるはず」

「俺?」

 テオの聞き返しに頷きながら、話を続ける。

「ソーニョはオティーリエと同じなんだよね。あいつたぶん、魅了チャームっていうのを持ってる」

 聞きなれない言葉にテオたちは首をかしげる。

「魅了って?」

「特に交流をしていたわけでもないのに、ちょっと話をしただけで、相手のことを好意的に感じて執着してしまう、現象、かな? オティーリエのことを例に出すと一番わかりやすいんだけど、前にテオが言ってたでしょう? お姫様の時のオティーリエとソーニョが似てるって」

「そーいや、言ったな」

「昔のオティーリエって、異様に異性に好かれたよね。それで、オティーリエのためなら何でもやるって人が、たくさんいたの。テオはそのこと覚えてるよね?」

「あぁ、もちろん。すげー異常だったじゃんあれ」

「マルクスは覚えてる?」

 話を振られたマルクスも、小さく頷く。

「なんとなく、ですが。姉様の周囲にはいつも人がいました。特に兄様たちが……」

 途中でマルクスは言葉を区切って、躊躇いながらも再び話し出した。

「あの、今まで誰にも言ってなかったんですけど」

「どうしたの?」

「実は僕が姉様に構ってもらっていると、兄様たちに邪魔、と言ったらいいのでしょうか、さりげなく用事を言いつけられて、姉様から引き離されることが頻繁にあったんです」

 マルクスの話に思わずテオを見ると、テオは最初からそのことを知っていたのか興味なさそうにそっぽを向いている。

「僕には乳兄弟が居ないので、僕のことを構ってくれるのは、姉様だけだった。それもあって、僕は姉様に依存していました。姉様が同世代の交流を始めると、傍にいてほしいと駄々をこねて引き留めていたんです。そのうち、お茶会に呼ばれるのではなく、招くようになったんですが。同世代の令嬢たちと仲良くしているのを見て、寂しくなったんですよね。自分の傍にいるよりも楽しそうにしているので、やきもちというよりも、自分の存在を忘れられたくないという意識が強かったんだと思うんです。それでよくお茶会に乱入していました。今思うと、すごく恥ずかしいですね。貴族の子供であるのに、自制が利いてない」

 しょんぼりしてしまうマルクスの頭を、また撫でまわす。


 いや、でも、う~ん。その頃ってオティーリエが七歳から十歳の間の頃でしょう?

 そうすると、マルクスも三歳から六、七歳の間の頃だ。

 周囲に同世代の友人がいなくて、構ってくれるのは姉のオティーリエだけとなったら、マルクスの気持ちはわからないでもないよね。

 それに、たぶん終盤辺りは、そろそろ本格的に貴族教育を受け始めるころだったはずだ。

 まぁ、マルクスがオティーリエにかまってちゃんだったのは、魅了の影響もちょっとはあっただろうけれど、どっちかというと末っ子で唯一構ってくれるおねーちゃん大好きって感じだったんじゃないかな?

 魅了はおそらく補助的な役割で、他の誰かではなく、オティーリエに構ってもらいたいって言う執着をブーストさせるようなものだったのかも。

「マルクスの場合は、同世代が近くにいなかったのもあると思うんだけど、上の公子二人はばっちりおかしな行動とってたでしょう? 自分の婚約者よりも、実妹のオティーリエを優先させるとか、そういう事ね。あと、オティーリエに侍ってた貴族子息もそうかな?」

 この辺のことはみんな記憶に残ってるはずだ。

 特にイジーとリュディガー、そして僕と一緒にいたネーベルも、お茶会でオティーリエに侍る子息たちは何度も見ていたからね。

「で、ソーニョの場合。彼に対して敵愾心を持っていても、傍にいれば彼に絆されるんだって。第四王女殿下を害したって話したじゃない? その時、王宮の一室で監禁状態にしたそうなんだけど、見張りの人がソーニョの味方をして逃がしてしまったらしい。その見張りは王家に忠誠を誓っていたから、第四王女殿下を害したソーニョに良い感情は持っていなかった。しばらくすると、なんでそんなことをしてしまったのだと正気付いて、ますますソーニョのことを嫌いになったそうだよ。オティーリエのとは微妙に違うところもあるんだけど、周囲から好意的って言うところは共通してるでしょう?」

「アルが言いたいことは、何となくわかった。昔のお姫様時代だったオリーの周辺は確かに変だったし、あの状態がオリーが持っていた魅了の仕業だったってことでいいわけな? それで、ソーニョが人に好かれるのも魅了が関係してるってことだろう?」

「おおむねそんな感じだね」

「でも俺は、あのお姫様だった頃のオリーは、気持ち悪ぃって思ってたし、ソーニョと一年同じクラスだったけど、絆されるっていうのがわかんねー。っていうかますますうさんくせーっと思う。アルの話通りなら、なんで俺は魅了に影響されてないんだ?」

 テオの言い分もわかる。

 オティーリエの時もそうだけど、ソーニョに関しても影響されない人もいるんだよね。

「オティーリエに魅了されなかったのは僕も同じ。リュディガーとマルクスは少しだけ影響あったと思う。ソーニョは遠目でしか確認したことがなかったからよくわかんない。でも同じクラスのテオなら、クラスメイトの反応は知ってるでしょう? どんな感じ?」

「傾倒してるやつもいるけど、近づこうとしない奴もいる」

 みんながみんな、影響されているわけではないんだよね。

「影響される人とされない人の違いなんだけど、僕は一つだけこれかなぁって考えたことがあって。けど、確証がない」

「何だよ」

「シュッツ神道の信徒か、ウイス教の教徒か」

 魅了の影響にあるのは女神との親和性が高いからだと思ったんだよね。



次回更新は6/10です


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