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ざまぁフラグが立ってる王子様に転生した  作者:
王子様の学園生活(四年生)
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29 情報報告はディナーの後で そのに

 順番に説明するには、ソーニョがやらかしたことも話すか。

「まずね、ソーニョはラーヴェ王国に移住したいと考えてるみたいなんだ」

「親の件で不当な扱いを受けてるからですか? 身の置き場がないのでラーヴェ王国に移住したいってことでしょうか?」

 そんな可愛げのある性格じゃぁないと思うよ?

 移住はもっと打算的な考えがあるからね。

「それは理由の一つかな。ソーニョがラーヴェ王国に移住したい理由は一つだけじゃなくって、いくつかある。マルクスが言ったのは理由の一つだね」

「他にもあるんですか?」

「うん。まずさっきマルクスが言った理由。親の件で故国では身の置き場がない。次に彼にはリトス王国内では将来がない。大公位は一代だけのもので、今の大公が亡くなったら没収される。ソーニョが大公を継ぐこともできないし、爵位を落としての継承も、たぶん無理かなぁ。この辺の事情はあとで話すね」

 奴は親以上にやらかしてるからな。

「継承できる家門がなければ、いくら大公子息といえども、婚姻を打診してくる家は出てこないだろうね。貴族の結婚は一に血統の存続、二に利益だからね。あとやっぱり『あの親の子供だから、親と同じことをするんじゃないか』と厳しい目もある。ソーニョがリトス国内で婚姻する場合、婿入りするしかないんだけれど、どの家だって爆弾は抱えたくない。娘が『あの人が好きなの。結婚したいの』って騒いでも、親は絶対反対する。ソーニョもその辺のことは理解してる。だからリトス王国内で婚姻相手を見つけるのではなく、ラーヴェ王国の貴族に婿入りを狙ってるわけだ。これが親のことを隠したい動機だね。リトスでさえ親のせいで婿入り先がなかったんだ。このラーヴェで自分の親のことがばれてごらんよ。うちの王妃殿下に婚約破棄突き付けた、あのバカ王子の子供かっ!ってなるじゃない。そんな相手を婿に入れたがる? リトス以上に婿入り先見つからないよ」

 僕の説明に、なるほどとマルクスは納得した顔をする。

「移住したい三つ目の理由。さっき大公位の爵位を落としての継承は無理って言ったことに関係するんだけれど……。ソーニョは親の件でリトス王国内での待遇が悪いって他に、彼自身が故国で騒ぎを起こしていたんだよね。彼ね、リトス王国の第四王女殿下を害したそうだよ」

 この話はテオも目を見開いた。

「まじかよー。うさんくせーのはあたってたってことか」

「うん、テオの直感は外れてなかった」

「それなら確かにリトス王国には居れねーだろう? んじゃ、第三王女殿下は罪人のあいつを捕まえに来たってことか?」

「それがねー、どーもフワフワしてるんだよね。あの国の王族」

 僕の返事にテオもマルクスもわからんって顔をする。

 だよね、わからんよね?

「罪人扱いではないそうだ」

 イジーがそう告げるとテオは声を上げる。

「ソーニョのことだよな? どういうことだよ? 王族を害したんだろ? その害ってどんなもんだったのか聞いて良いのかわからねーけど、直系王族に手を出したなら、親戚だろうと処刑一択じゃねーの?」

「そこが甘いって言うか、黒に近いグレーだから処分できませんって感じ? ただそれなら罪状でっちあげて処分しちゃってもいいじゃんって僕も思った。だけど、それができないんだよ、あそこの王家。甥がグレーになったのは弟のせい。グレーだから処分が躊躇われる。って感じかな。これさ、ちょっと嫌なこと言っていい?」

 僕に慣れていないマルクスと、側近のネーベル以外が身構える。


「ソーニョの扱いに困ったというか、持て余してるリトスの王家、特に国王陛下とその側近や宰相辺りが、ソーニョの処分をこっちに丸投げしてるように見えない?」


「っかー! クソ! そう……っ! あ~っ、なんでそれ……」

 テオの言いたいことは何となくわかるよ。

 なんでそんなことに気づくんだよって言う僕への文句と、あっちの狡猾さに思い至らなかった不甲斐なさと、あと単純にリトス王国に対しての憤りだね。

「次から次へと碌なことがないですね。あの国、うちのこと舐めてません?」

 クルトは相変わらず辛辣だ。

「舐めているというか、兄上風に言えば甘えているんだ。母上がリトス王家の血を引いているから、リトスの問題を解決してくれるだろうと思っている」

 問題を解決ってマイルドに言ってるけど、実際のところは、自分たちの後始末をやれって、無言で押し付けてきてるんだよね。

「それって、リトス王家が上から見てる感じですね。なんだか、ラーヴェ王国は自分のところの属国だと思ってるみたいです」

 イジーとリュディガー、鋭い。

 その通り。

「ア、アルベルト兄様。そ、それ本当に……?」

 話を聞いて一人泡を食ってるマルクスの頭を撫でる。

 挟んで座っていたイジーも、僕の真似をしてマルクスの頭を撫でる。

「あっちがどこまで知ってるのかわからないけれど、ラーヴェ王国は王族からして害になりそうなものはさっさとお掃除する気質じゃん? こっちに投げとけば勝手に掃除してくれると思ってる気がするんだよね」

「ラーヴェをゴミ捨て場と思ってんのか。バカにするにもほどがあるだろうよ! クソが!」

「テオ。マルクスがいるから言葉遣いに気をつけようね。とにかくリトス王国……王家は、ソーニョを自分たちでコロコロする気はない」

「こ、コロコロ?」

 抽象的な説明は、マルクスには通じないか。

「ズシャァーでもいいよ」

「ずしゃぁー?」

 これでもわからんか。

「最果ての門を潜ってもらうってことです」

 見かねたネーベルが解説してくれた。

 ネーベルに説明してもらったマルクスは顔を青くさせる。

「そ、そんなこと、するんですか?」

「リトスの後始末をする義理なんてラーヴェにはないんだからやらないよ」

 ゴミ出しルールは正しく守れって、警告シールをバシバシ張り付けて、持ち主に送り返すのが一番いい落としどころだよ。



次回更新は6/3です


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