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ざまぁフラグが立ってる王子様に転生した  作者:
王子様の学園生活(四年生)

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11 ご令嬢たちの予定

 シルバードラゴンといえば次に会いに行くときヒルトも紹介したいって思ったんだよね。

 今年の夏の長期休暇、どうしよう。

 ヒルトを誘うのは全然いいんだけれど、女子一人だけって言うのはどうかな? ヘッダも行きたいって言ってくるだろうし、そしてここでオティーリエを誘わないのもなぁ……。

 えぇい、悩んでも仕方ない。先に行きたいかどうかだけ聞いておこう。

「ヒルト」

「何でしょう?」

「今年の夏の長期休暇、イジーを連れてフルフトバールに行くつもりなんだ」

「はい」

「ヒルトはどうする?」

「そうですね……、今年の夏はヘッダ様のところに、みんなで集まろうかという話が持ち上がっているんです」

「ヘッダ?」

「はい。オティーリエ様、ヘレーネ様、アンジェリカ様、それからイヴも含めて」

「え?!」

 ヒルトの話にイヴが声を上げる。ってことは、イヴはこの話を知らないってことかな?

「いわゆる……女子会?というものをやりたいと、オティーリエ様が仰いまして、ヘッダ様が面白そうだとのってしまいました」

 あぁ、まぁ、うん。その光景が目に浮かぶわ。

「ですので今年は男子と女子で別れて、夏を過ごしましょう」

 にっこりとほほ笑むヒルトを見て、僕とネーベルは気が付いてしまった。

 おそらくこれは伯爵として頼りないアンジェリカと、そして淑女としてのマナーをより厳しくイヴに叩き込む、夏の強化合宿だと!

「わ、かった。あのね、本当はヒルトに紹介したい相手がいたんだ」

「私はネーベル以外には興味がありません」

「そーいうんじゃないよー!! 会わせたかったのは、不帰の樹海にいる奴だよー」

「あぁ、それはまたいつでも機会がありますよ。そうですね、アルベルト様が成人なさった後でもいいのではないでしょうか? 私とネーベルはアルベルト様についていくと決めていますしね。それに、会いに行くなら三人ではなく四人の方が良いではありませんか?」

 あ……、それはイヴもってことか。

 まだ、返事貰ってないし、僕を選んでくれるかわからないけれど……。でも、そうだね、イヴが僕を選んでくれるなら、ヒルトとそれからイヴも一緒に、シルバードラゴンに会わせたい。

 僕の運命共同体であるヒルトと、それから僕の最愛の子だよーって、紹介したいよね。

 ほわほわしながらそんなこと考えている僕とは裏腹に、イヴは切羽詰まった表情で、ヒルトに語り掛けている。

「ヒルト、ねぇヒルト。女子会って何? ヘッダ様、オティーリエ様、ヘレーネ様の三人にヒルトも一緒って。四人よりも上の令嬢いないの、私、知ってるわよ。アンジェリカはともかく、なんで私まで? 私に何をさせる気なの? ねぇってば!」

「うちの馬車で迎えに行くから、着替えだけ準備していてくれ」

「ヒルト! 答えてないわよ?!」

「ご両親と一緒にいるのが嫌なのだろう?」

「……うん」

 イヴ、自分の両親のこと凄く嫌ってるんだよねぇ。

 まぁ、ブルーメ伯爵代理はさぁ、人としても中途半端って言うか、小者感満載なんだよねぇ。

 悪人は悪人なんだけれど、安い感じのやられキャラ。噛ませ的な悪人。

 本当の悪人はさぁ、好きな相手との子じゃないからって、虐待っていう安易な行動はせんのよ。自分だけが味方だって顔をして、バカに育つように甘やかしまくって、こいつに家督は任せられねぇって感じに育てて、家督簒奪するよ?

 まぁ、ブルーメ伯爵代理は、家督を簒奪したとしても、自分で領地経営やるってタイプじゃないみたいだしねぇ。

 つまりブルーメ伯爵代理は、伯爵の地位と、自分は働かず誰かに働かせて金を稼いでもらって、贅沢生活を送りたいっていう、も~、砂糖と蜂蜜と果糖をぶち込んで、さらに糖度が増すように煮込んだぐらいに甘い考えをしてるわけだよ。

 人生そんなに甘くないんだって。

 まず地位と、働かずに贅沢な暮らしって言うのは、両立できない。

 伯爵って言う地位が欲しいなら、その伯爵位に相応しい労働をするべきだし、働かずに贅沢な暮らしをしたいって言うなら、貴族じゃなくって金持ちのヒモになればいい。

 どっちか一つを選ばないとね。

 ブルーメ伯爵代理が突き抜けた悪人だったなら、イヴももうちょっと踏ん切りがついたんだろうなぁ。

 いや本当に、中途半端が一番よくないんだよ。


 デートの終わりはイヴたちを女子寮まで送るんだけど、その帰寮途中でイヴがネーベルたちには聞こえない声量で訊ねてきた。

「ねぇ、アルベルト様」

「なに?」

「アルベルト様は……、こ、婚約者いないの?」

 どうしてそんな質問をしてくるの? 僕、期待しちゃうじゃん。

「婚約者がいたら、イヴに好きだって告白しなかったよ」

「っ! そ、そうなの。ご、ごめんなさい。変なこと聞いて」

 焦るイヴに僕は笑顔を見せる。

「変なこと、じゃないよ。気になったんでしょう? 同じ王子でもイジーにはいるんだもん。僕がいても当然だって思うのも、無理ないよ」

「おかしいなぁって、ちょっと思ったの。でも聞いたらダメなのかもって。だから今まで聞かなかったわ。その……イグナーツ様の婚約者の名前も、言っちゃダメなんでしょう?」

「ダメってことはないけれど、言わない方がイヴの身のためだね。こういった情報をイヴが知ってるってことは、それだけ僕らから信用されてるからだって思われるし、なら利用してやろうって考える人もいるからね」

「うん」

「イヴならわかると思うけれど、悪い人ほど良い人のふりが上手いんだ」

「それは、よくわかるわ。人買いはいつだって、優しい顔をしているもの」

 さらっと言ってるけれど、たぶんイヴは何度かそういう目にあってるんだと思う。育った場所が場所だしね。

 こうして無事でいるのだから、うまく逃げたり助けてもらったりしたんだろうけれど、それでも腹が立つな。

 今は、イヴが無事だったことを、素直に感謝しよう。



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