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ざまぁフラグが立ってる王子様に転生した  作者:
王子様の王城生活は気楽じゃない
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21 そして王妃様も容赦がなかった

「そのお言葉が、陛下がアルベルト殿下に対してなさった、すべてにおいての免罪になるとお思いですか?」

 国王陛下の自惚れを叩き潰したのは、王妃様だった。

「カ、カティ……」

 擁護するのではなく、冷たい口調で問いかける王妃様に、国王陛下は何故自分の思いが伝わらないんだと、そんな表情をする。

「だが、リューゲンは、そう、リューゲンは王にするには心許なかっただろう?!」

 それは、そう。回線が繋がるまでは、僕は頭の足りない王子様だった。確かにそれでは、国王になるにはという憂いがあっただろう。

 だけど、国王陛下はそれに気が付いていたのか?

「まともにお話をなさったこともないというのに、何故そう思うのです?」

 ほら、王妃様に突っ込まれてしまった。

「いや、そんなことはない! 側妃の宮に用があって訪れた時にはちゃんと声をかけていた」

「お声をかけることと、会話をするということは、まったく違います。陛下はアルベルト殿下とお会いした時に何を話されましたか? アルベルト殿下のお話を聞いたことはございましたか?」

 ねーよ。いつも上から目線で、ちゃんとやれとか、王族の人間として恥じない行動をしろとか、そういうことを一方的に言われただけだ。僕から国王陛下に何か話したことなんて一回もねーんだわ。

 そのことに気が付いたのか、国王陛下は王妃様の言葉に明確な言い返しが出来ない。


「もし、陛下の仰る通りだったとします。アルベルト殿下が国王になるには心許ない。そうであるならば、なぜそこでアルベルト殿下を排除しイグナーツを国王にする方向に動かれたのでしょうか? まず、親であるというならば、国王として次代の国王を憂いるならば、何がおかしいのか、矯正は可能なのか、それを先に調べるべきでございましょう。アルベルト殿下の能力に懸念がおありならば、アルベルト殿下の身に何が起こっているのか、魔術塔の魔術師たちに診てもらい助言をしてもらうのが、先ではないのですか? そうなさらなかったということは、陛下はあの状態のアルベルト殿下を国王としての素質がないという言い訳に使われたのです」


 おめーのやったことには誠実さがないと、王妃様にガツンと言われてしまった国王陛下は、深く項垂れる。

「しかも陛下は、元側近であった方々がなさったことをお諫めにならなかった。それらは陛下のあずかり知らぬところで起こったと。ですが、発覚後のあれを悪意と思わず、側近の方々の処分をなおざりにされようとしました。陛下、貴方のそのような甘さが、アルベルト殿下の要望を通してしまったのです」

 六歳児の掌の上で踊らされてるんじゃねーよという、遠回しの嫌味だなこれは。

「今更、たらればを言っても、陛下がなさったこと、アルベルト殿下が誓約したこと、それらすべてを覆すことはできません。この件では、もう、後戻りはできないのです」

「だ、だが!」

 それでもしつこくあきらめの悪い国王陛下に、王妃様は諭すように告げる。

「陛下に、アルベルト殿下に関する承諾のサインをしていただくのは、父親としての体裁を残しただけにすぎません。本来なら、それさえも必要なかったと、わたくしは思います。フルフトバール侯の慈悲に感謝してください。これ以上、陛下がアルベルト殿下の父親としてできることは、なにもないのです」

 王妃様の言葉に、国王陛下は俯いたまま、両手で顔を覆った。





 王妃様のお言葉は、国王陛下に響いたようで、僕がおじい様と退出するときに、国王陛下から謝罪の言葉を貰ったのだが、申し訳ない、これぽっちも感じなかった!

 なんか、あー、そうなんですかーって感じで、全然、心に響かなかった。

 僕に対して悪いことをしたと、そういう思いは伝わったんだけど、それに対して僕の気持ちは他人事のようにしか思えなくって、『やっと謝りやがったか!』とか『謝ったところで許されると思うなよ!』とか『過失を認めさせてやったぜ!』とか、そう言うのが全くなかった。

 唯一思ったのは、理解したなら変なちょっかい出さないで、大人しくしていて下さい。 だった。


「僕って、薄情なのかな?」


 おじい様と一緒に、シュトゥルムヴィント宮(忘れてると思うけど、僕が滞在してる宮の名前だよ)に戻る途中で、そんな言葉を零したら、おじい様に頭をなでられた。

「薄情、というならば、お前はリーゼをフルフトバールへ戻そうとしなかったのではないか?」

「え、だって、ほら、母上は可哀そうでしたし」

「そう思う心があるのなら、薄情、ではなかろう? 陛下はご自分の甘さのツケを払っただけのこと。それに対してお前が心を砕く必要はない」

 あ、はい。つまり、これ以上国王陛下にかかずらう必要はないってことですね。

 国王陛下は僕に謝ったけれど、おじい様の気はそれで晴れるかといえば、そんなことはないだろう。


 きっと明日、四年前と同じく、王宮は大騒ぎになるだろうと思った。



王子様の王城生活は気楽じゃない編はこれにて終了になります。

本日同時投稿で登場人物紹介があります。

次からは新章に入ります


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