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ざまぁフラグが立ってる王子様に転生した  作者:
王子様の学園生活(四年生)
314/362

02 勝手にシュタム会に所属させられていた

 僕の一つ目の疑問の回答は?

 再度質問しようと思ったら、オクタヴィア・ギーア嬢がおずおずと声を出した。

「あの……。リューゲン殿下は私を助けてくださらないんですか?」

 おめー女神から僕らを導くっていう神託を聞いたって言いふらしてるのに、なんで導く相手に助けてもらいたいんだよ。

 矛盾してるって気が付きなよ。

「どうして僕らに助けを求めるんですか?」

「え?」

 声を上げるオクタヴィア・ギーア嬢を無視して、僕はそのまま話を続ける。

「この学園生活において助けを求めるなら、それは学生自治会であるシュタム会に依頼するべきことです。わざわざ王族に助けを求めるならば、それはギーア男爵令嬢がラーヴェ王国に影響する、国家的な重要問題を抱えているために、王族である僕らの手を借りたいということになります。重要な問題を抱えているなら、王立学園を自主退園してもらって、ウイス教で保護してもらうのがもっともな話ではないのでしょうか? 違いますか?」

 バウチ司祭に向かってそう訊ねると、彼らは戸惑った様子を見せた。

 聖女になったから命を狙われてるとか、そういう話じゃないんかい!

「いえ……、国家的な大問題ではありません」

「では、王族である僕らにサポート……いいえ、この際はっきり言いましょうか? 世話役をやらせるとは、どんな了見なのでしょうか?」

「だ、だって、リューゲン殿下たちは、シュタム会のヴルツェルじゃないですか。なら」

「聞き捨てならない」

 オクタヴィア・ギーア嬢の発言に、ここで初めてイジーが口を開いた。

「誰がそんなことを言った?」

 イジーの言うとおりだ。僕らはたしかに、下学部の時に何回か勧誘はされたけれど、しっかりとお断りした。

 上学部に進級してから何も言ってくれなかったし、卒業した元シュタム会のシューレ先輩だって、去年の学園祭準備期間の時に『もう諦めた』って言ってたじゃん。

「シュタム会の委任選挙。僕らは立候補してませんよ。なんで僕らがシュタム会に入ってることになってるんですか?」

「お待ちください。殿下方がシュタム会に入っていないとはどういうことですか?」

 ここでトーア学長が二人の生徒へと視線を向ける。

「今年のヴルツェルは殿下方だと言っていませんでしたか?」

 責められるように問い詰められた二人の生徒は、怯えたような顔をしていた。

 ってことは、ヴルツェルかブラットか知らんけど、この二人シュタム会の人間か? 

「ブラットとして所属してもいないんですから、当然ヴルツェルになるわけないじゃないですか。っていうかヴルツェルは五年生じゃないんですか?」

 ブラット自体は勧誘で選ばれるけど、その勧誘自体僕らは蹴ってる。ヴルツェル(長)になるにはまずブラットとして活動していなければいけない前提があって、特例はさっき言った委任選挙での立候補だ。

 僕らはブラットとしても活動していない。

「お待ちください!」

 そこでようやくトーア学長が意見の食い違いが起きてると気づいたようだ。

「殿下たちはシュタム会自体に所属していない。そういうことですか」

「そういう事です。下学部の時に何度か勧誘はされましたが、お断りしました」

「な、なぜ?」

 またこの質問かい! シューレ先輩や勧誘してきたヴルツェルだった先輩たちにはちゃんと説明したぞ。

「さっきもトーア学長が仰ったでしょう? 僕らは学業の他に王族としての公務がある。僕とイジーは学園に通ってるうちは、学友たちとの交流を積極的にしていきたいんです。シュタム会に所属したら、自治の雑務に追われて、学友たちと交流どころじゃないでしょう」

「で、でも過去の王族の方々は……」

 それだよそれぇ……。

「詳しい話は知りませんけど、過去の王族や王族に近い血を持つ生徒は、自動的にシュタム会に所属していたようですね?」

 僕の問いかけに、トーア学長とシュタム会の生徒たちが何とも言えない顔をする。

「よくないです」

 はっきりとそう言ったら、ますます混乱した顔をする。

「王族だからと言って勝手にシュタム会に所属させるのは良くありません。今回もそういった暗黙の通例があったから、僕らがシュタム会にいると思われたんですよね?」

「……そ、それは」

「その暗黙の通例は、現時点から無くしてもらいます」

 も~、僕こういうの、本当に嫌なんだよ。

「シュタム会の会則に、明記してください。シュタム会に所属できるのは、シュタム会の人間からの勧誘、そして委任選挙で立候補して当選した生徒だけだと。王族や上位貴族を勧誘し、その勧誘を当人が受けた場合は、他の生徒同様に、勧誘してブラットから雑務の活動させること。シュタム会の活動を一切せず、何かの催しにおいて代表スピーチしかしない生徒は、王族だろうと上位貴族だろうと、シュタム会から除籍する。会則に記載してください」

 組織の腐敗ってこういったところから起こるんだからね。

「この先、王立学園に通う王族や上位貴族の生徒が、何か言ってきたなら、リューゲン・アルベルト・ア゠イゲル・ファーベルヴェーゼン・ラーヴェ第一王子が、そう抗議してきたので新たに会則を追記したとお答えください。この件に関しては僕が責任を持ちます。今後、王族だから上位貴族だからといった理由で、勝手にシュタム会に所属させること、そう思う生徒が出てくることは僕が許しません」

 僕はシュタム会の二人を見る。

「今日のことはここにいないシュタム会のメンバーに周知させてください。今後、知らなかったなんてことが起きないように、シュタム会でも徹底するようにお願いします。この件で何か言いたいことがあるなら、いつでも僕のところに来てください。疑問や質問あれば何でもお答えします。いいですか?」

 するとシュタム会の二人は黙って、コクコクと頷くだけだった。

 おい! ちゃんと返事しろ!



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