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ざまぁフラグが立ってる王子様に転生した  作者:
王子様の学園生活(三年生)

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109 どんな君でも可愛い

 どんなイヴだって好きだよと、伝えたいけど、まだイヴの話は終わってないから、最後まで我慢。

「私、嫌な奴なのよ。アルベルト様に告白されて返事してないのに、アルベルト様が他の女の子のこと気にかけたり、連れてきたりしたら、嫉妬したの」

 し、嫉妬、してくれたんだぁ! う、嬉しい!

「いろんなことを理由にして、アルベルト様に返事しないし、このままでいる方法ないか逃げ道を探そうしたりしてるし」

 え? もしやこれはお断りパターン?! 持ち上げて下げるやつ? なんて高度なテクニックを使ってくるんだ!

「気持ちは決まってるの」

「え?!」

「でも、まだ返事できない。ごめんなさい」

 息をのむ僕に、イヴが視線を向ける。

「今言った『ごめんなさい』はお断りの返事じゃないからね。すぐに返事ができなくてごめんなさいってことだから、そこ勘違いしないで。変な妄想して、勝手に私の返事を捏造しないでよ。私、狡い女だけど、こういうことは、ちゃんとするって決めてるから」

 イヴの言葉に何度も頷く。

「えー、あー、んー、とりあえず、今まで通りってことで良い?」

「うん」

「僕がイヴを口説くのも?」

「だから、そーいうとこ! は、恥ずかしいのよ! いちいち確認しないで!」

 えー、だって……確認しておかないと、僕、自分の都合のいいように考えちゃうよ?

 はっきり断られてないから、口説き続けるとか。まぁ断られても、諦められるまで口説くと思うけど。

「もうっ、またやっちゃったじゃない」

「また?」

「だから……、言い方」

「言い方?」

「私の言い方、きついでしょ。これでも気を付けてるの」

「あのね、イヴ。僕、ちゃんとわかってるよ? イヴがきつい言い方するときって、相手に対して本当に怒ってるときか、恥ずかしくって照れてるときだって」

 いいじゃん、別に。

 それで誤解する人は誤解させとけばいいんだよ。特に男子! そうしたら僕のライバル減るしね。

 イヴの良いところは、僕だけ知ってればいいんだもんね。いいじゃん照れ隠しできつい言い方しちゃうの。可愛いじゃん。


 イヴとのお昼休憩に癒されて、教室に戻って受付に入ろうと思ったら、イジーとヘレーネ嬢が、二人並んで受付に座っていた。

 ぎこちない感じだったけど、そのぎこちなさはお互いと一緒にいるのが嫌だというものではなく、時々衝突し合ってることを気にしてる感じのぎこちなさ……。

 それでもそのぎこちなさを解消しようと、会話してる。

 えー、あー、どうしよう? 困ったねぇ? テオとイジーとヘッダとそれからヘレーネ嬢。

 ややこしい感じになってきちゃってるよ?

 いやこれは四人で何とかうまく収まってくれるなら、それに越したことはないんだけどなぁ……。

 まぁ今しばらく静観かな?

 余計な口出しはしない方が良い。何かあったら相談してとイジーには言ってるんだし、一人で勝手に暴走することもないでしょ? ないよね?

 イジー、僕は君を信じてるからね?

 僕は二人に近づいて声をかける。

「イジー、ヘンカー嬢、交代するよ。二人とも休憩に行ってきていいよ」

「兄上は?」

「僕は今終わったところ。二人とも、まだお昼食べてないんでしょう? 遅くなっちゃったけど食べてきな」

 遠慮している様子の二人をさっさと休憩に入らせて受付に入ると、すぐにブルーメ嬢がやってきた。

「あ、すいません。遅れてしまいました」

「大丈夫。僕も今来たところだから。オティーリエはどうしたの?」

「寄子家のご令嬢と一緒です」

 なら大丈夫かな?

「変な奴、近づいてきた?」

 学園祭期間はなるべく女子組と距離をとるようにしているから、何が起きてるかわからないから、ちょこちょこと様子を聞くことにしているのだ。

「オティーリエ様にですか?」

「うん」

「そうですね。例の私とオティーリエ様を間違えた」

「ギーア男爵令嬢?」

「はい、そうです。ギーア男爵令嬢。どうやらあの方、オティーリエ様を目の敵にしていると言ったらいいのでしょうか。何かにつけて言いがかりをつけてくるんです」

 そっちかー。

 僕はてっきりソーニョがうろついてくると思ったけど、そうじゃないのか。

「ヴァッハからは接触あった?」

「はい、私とヘレーネ様がご一緒の時に、下学部の時にオティーリエ様に言い寄ったときのことと、上学部に進級してからの付け回しを謝っていました。それで、時々あいさつ程度に声をかけられてきます」

「ヴァッハが声をかけてきたときに、周囲に様子を窺ってる男子生徒はいる?」

「何名かはいますね」

 んー、それがソーニョの手先で、探りなのかどうかは不明だな。

「なんか、いろいろ面倒掛けて悪いね?」

「いいえ、私もご迷惑をお掛けしてしまいましたので」

「いや、ブルーメ嬢に迷惑を掛けられたってことは」

 ないはず? ないよね? 女神にちょっかい掛けられてるのを確認しただけだし。

「あの……、アルベルト様」

「なに?」

 何か言いたそうなブルーメ嬢に返事をかえすと、言いにくそうな様子を見せる。

 も、もしやイヴのこと気づかれた?!

 いやいや、いつかは、って言うか、イヴからちゃんと返事を貰ったら話す気でいたんだよ。そ、そんなわかりやすかったかな? どうなんだろう?

「あの……」

「なに?」

「い、今更感もあるのですが、できれば、名前の方で呼んでいただきたく」

「え?」

 いや、本当に今更って感じだなぁ。

「他意はないんです。アルベルト様は他の女子……オティーリエ様たちのことも名前で呼んでいらしてますし、イヴのことも……、呼び捨てですし」

「イヴは自分で、名前で呼んで、嬢もつけないでって言ってきたしね。でも、大勢の人がいる場合は、嬢をつけるようにしてるよ?」

 イヴだけじゃなく、オティーリエやヘッダにもそうしてる。ヒルトはネーベルの婚約者だし僕の側近の一人だから、呼び捨てにしちゃってるけど、公式の場所ではギュヴィッヒ侯爵令嬢か、ヴュルテンベルク嬢って呼ぶようにしてるんだよね。

「はい、それは、わかっています。烏滸がましいのは承知なのですが、アルベルト様だけではなくほかの皆様とも、学友としてのご縁をいただいて、充分、誉と思っているのです。でも、その私だけファミリーネームで呼ばれていますので、疎外感があります」

 あー、そういうね? 

「わかった、大勢の人がいる前なら今まで通りブルーメ嬢で。僕らだけの場合はアンジェリカ嬢でいいかな?」

「は、はい。あ、嬢もつけなくていいです。ありがとうございます」

 礼を言われるほどでもないのだけど、でも、あれ? これってもしかしたら、イヴに誤解されるパターン?! 

 やだー! 誤解される前にちゃんと話しておこー!! 僕はイヴ一筋だからね!!



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