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ざまぁフラグが立ってる王子様に転生した  作者:
王子様の学園生活(三年生)

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106 問題は山積みだ

 いや家のアッテンテータが調べ切れていない、ってわけではないんだよ。

 ヘレーネ嬢が言ったように、現在のギーア男爵家に女子がいないのは間違いないんだ。

 現在のギーア男爵夫妻の間にいる子供は、男子は二人。二人とも成人済みで、一人は二年前に結婚していて、代替わりの準備中。もう一人は去年王立学園を卒業し、領地持ちの友人のところに文官として雇い入れてもらっていた。

 問題は、このオクタヴィア・ギーアという存在が、どこから出てきたのかという話だ。


 ゾマーに相談を受けた時に聞いた話では、身体が弱くて他の国で治療を受けていた。だいぶ良くなったので、ラーヴェ王国に帰国して、上学部から王立学園に通うことになった。ってことだった。

 でもアッテンテータの調べによると、ギーア男爵家の子供は男子が二人だけ。ギーア男爵家の親戚から娘を引き取ったこともない。

 ギーア男爵家と付き合いのある貴族も、あの家の子供は子息が二人だけで、女子が生まれたと言う話は今まで一度も聞いていないと言っている。

 子息の友人知人たちも、兄弟の話は聞くけど、妹がいることも聞いていない。

 そして誰も、ギーア男爵家が女子を養子に入れたということも、聞いていないし知らないと言っているのだ。

 なのに、オクタヴィア・ギーア嬢の保護者……、親はギーア男爵になっていて、夏の長期休暇も当たり前のようにギーア男爵家のところに帰省し、それが当たり前のように迎え入れられている。

 もうこの時点でおかしい。

 アッテンテータには引き続き、オクタヴィア・ギーア嬢の正体、正体というかどこからやってきたのかということ、そしてギーア男爵のことを調べてもらっている。


 おじい様もオクタヴィア・ギーア嬢のことは、要警戒だと思っているようだ。

 だから僕にギーア゠フォルトシュリット伯爵家とギーア男爵家に起こった、詳しい話を聞かせてくれたのだろう。

「もし本当に血の繋がった娘であるなら、『オクタヴィア』という名前など付けんだろう」

 もしかしておじい様、ヒントを出してくれている?

 オクタヴィア……、男性名だった場合は、オクタヴィアン。

 これは『八番目の子供』という意味がある。

 例えば初代の代から八番目に生まれた娘なら、一人娘でも名付けられたかもしれない。もしくは一族の特徴的なものを持って生まれた場合とかね。

 でも貴族の娘で、子沢山でなかった場合、最初の子供や長女に、オクタヴィアという名前は付けないだろう。

 オクタヴィア・ギーア嬢は、元は子だくさんの家の生まれであるか、もしくは名前を付けられることもなく孤児院に捨てられていた可能性が高い。

「孤児院……探ってもらうか」

 偽名だったとしたら空振りになるけれど……、しないよりはまし。


 正体不明なオクタヴィア・ギーア嬢なんだけど、やってることは、逆ハー狙いの転生ヒロインっぽいことなんだよなぁ。

 なんだろうこの違和感は。

 でもまだ何もわかっていない以上、あまり踏み込んだことはしない方が良いような気もするんだ。

 情報収集大事!

 それにまだソーニョの件もあるしなぁ。

 そして一日目は終了時間になるまで、おじい様たちと一緒に時間を過ごすことにした。

 おばあ様に、年に一回しか会えないから、もう少し一緒にいてちょうだいとお願いされたからだ。

 仕方ないよねー。僕おじい様とおばあ様のお願いには弱いもん。


 二日目も基本的に自分の持ち回りは一日目通りで、オクタヴィア・ギーア嬢が突撃しそうな気配を感じたら交代というシフトだ。

 今年はネーベルとヒルトが別々のクラスになったから、一人で回るのはちょっと寂しい。

 でもみんながワイワイガヤガヤ騒いでるのを見るのは好きなんだよね。


 学園祭期間はみんなのシフトもばらばらだ。なのでガーベルのお弁当ではなく、屋台か学食か学食で売っているバゲットサンド。

 本当は外での食事は気を付けなくちゃいけないのはわかってるけれど、僕はすでにガーベルによって毒慣らしをしているし、服毒した場合は一口口に含めば大体はわかるから、そこまでギチギチに警戒はしていない。

 無味無臭の毒というのは、この世界では発見されていないしね。

 なので屋台で串焼きやホットサンドを購入して、広場の芝生でおひとりさまランチを楽しむことにした。

 時々、顔見知りの生徒が僕の姿を見たら手を振ったりしてくれるので、気が付かないわけじゃないと思うんだけど、誰もそばに寄ってこない。

 休憩中だってわかってるから、気を使ってくれたのかな?

 そんな風にのんびりとしていたら、テオとヘッダが、二人で楽しそうに笑いながらどこかに向かって歩いていく姿を見てしまった。


 いや、ね……。うん。テオがヘッダのこと好きなのは、前々から気付いてたよ。

 最初にフルフトバールで出会ってから、なんかずっとヘッダのこと見てたしさ、学園都市に来てからだって、気にしてないふりをしながら気にしてたもん。

 それにさ、前に公言してたじゃない。ヘッダは自分の好みのタイプだって。

 イジーはテオの発言に反応が薄かったけれど、あれはまだ、婚約者の自覚がなかったんだと思うんだよね。あと、やっぱりヘッダのことは、婚約者って意識よりも友人って感じなんだよね。もしくは知らないことを教えてくれる先生。イヴが言ったお姉ちゃんもあるのかも。

 そういった意味では、ヘッダじゃなくって……。

 溜息出ちゃう。

 困ったなぁ。どうしたらいいんだろう。イジーの気持ちを大事にしたい。けどたぶんイジーは、まだ自分の気持ちに気づいてない。

 それからヘッダだよ。

 あの子は、女の子って言うのもあるけれど、隠すのがうますぎる。

 言わなければ嘘にはならないを体現してくれやがって。もー、やってくれやがったなぁ。



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