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ざまぁフラグが立ってる王子様に転生した  作者:
王子様の学園生活(三年生)

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97 聖女らしき人物の思惑

 ベーム先輩が僕を怒らせたから謝りたいと言ってきた、その内容を伝えると、ルイーザ先輩は目を吊り上げて、ぶるぶると怒りで震える。

「……昔から、そう、昔からそういうところがあったのよ」

「そういう?」

「気が利かないどころじゃないの。配慮がない。そういうところが、ウルリッヒにはあったのよ。ウルリッヒに対して気持ちがあったときはね、『男の子って細かいところに気が付かないから仕方がないわ』って思ってたの。だけど、離れてからそのことを思い返せば、男の子だから、じゃないのよ。人間性の話なんだわ」

 ほら見ろ、やっぱり女性の恋愛感情は上書き保存なんだよ。恋心がなくなると冷静になって、今まで見えなかったことを見て、『あいつ、ねーわ』ってなるんだよ。

 もー、女性はこの辺が本当にシビアだからな。

「イヴさん。ごめんなさいね。ウルリッヒが酷いことをしたわ」

「え? いえ、あの、もう、済んだことですし……」

 最後、言いよどんだイヴは、一拍おいてから続けた。

「突き飛ばしたのは、ルイーザ先輩ではないのですから、謝罪なさらないでください。悪いのは、あの時、突き飛ばした先輩なので」

「そうね、悪いのはウルリッヒだわ。ほんと、最低な人」

 最低だってさー。あ、もう解消したんだっけ。

「そうだわ、あの女生徒。彼女はいったいどうしたの? アルベルト君の知り合いなの?」

 あんな頭おかしい人物と知り合った覚えはないよ。

「ルイーザ先輩たちはご存じではありません? 淑女科の三年生に女神の神託を受けたと吹聴している女生徒がいる話なのですけれど」

 にっこりと微笑みながら訪ねるヘッダに、ルイーザ先輩は首をかしげる。

「女神の神託?」

「えぇ。彼女、王子殿下たちを導くようにと女神の宣託を受けたと、一時期言いまわっていらしたんです」

「あぁ、三学年に聖女がいると聞いたことがあるわね」

 聖女なのかどうかは不明だよね。教会の人間がどこまで動いてるのかわからんしなぁ。

「もしかしてシュテラが言っていた子かしら?」

「シュテラ先輩?」

 前にルイーザ先輩に付き添いで一緒に来てくれた先輩だな。

「シュテラは淑女科だから、今、淑女科の三年生のお手伝いに入ってるのよ。それで、変な子がいたと……」

 ヒルトとイヴを見ると二人して頷く。

「手伝いに来ていた先輩に絡んでるの。いまはもう、クラスのみんなから遠巻きにされてるから」

 やりすぎたんだろうな。

「オティーリエ。彼女から何言われたの? って言うか何があったの?」

 まずは、オティーリエたちからの事情聴取だよね。

 オティーリエに説明を求めると、絡まれたときのことを説明してくれた。

「ヘレーネ様を落ち着かせるために、食堂の隣にあるフリースペースに向かおうとしたのです。その途中、あの場所ですね。彼女……ギーア嬢がすれ違いざまに、アンジェリカ様にぶつかって、倒れ込まれた後に……」

 言いよどむオティーリエの代わりに、ルイーザ先輩が続ける。

「足を引っかけられたと言い出したのよ。でも、あの子の方が前方から走ってきたのよね。こっちはそんなに急いでなかったし、あの子がこっちに向かってくる感じだからよけるように歩いていたのよ」

 それでブルーメ嬢にぶつかった、と。

「そのあと彼女がアンジェリカさんに向かって、『わざと足を引っかけるなんてひどいです』とか、『公爵令嬢だからってこんなことするなんて』とか言い出して」

「もしかして、ブルーメ嬢をオティーリエだと思ったんですか?」

「あの流れを見るとそうなのよ。それで、オティーリエさんが、アンジェリカさんは公爵令嬢ではなく伯爵令嬢ですよと言ったら、一瞬、驚いた顔をして、アンジェリカさんとオティーリエさんを見比べて、自分の間違いに気が付いたのね。それからはもう、間違えたことを隠そうとしたのか、『取り巻きを使って嫌がらせするなんて』とか、とにかく酷い酷いって繰り返し喚いていたところに、アルベルト君たちが来たのよ」

 うえ~、なんだそれは。

 まんま逆ハー狙って悪役令嬢を貶めようとする、転生ヒロインみたいじゃないか。どうなんだろう? 彼女、僕やオティーリエのように転生者なのか?

「これから、ああいったことが多発するかもしれませんね」

 戸惑っていたオティーリエは、少し冷静になったのか今後のことを漏らした。

「小説で読んだから、ああいったこともあるってわかっていたけど……」

 オティーリエは誰にも聞こえないような小声でぼそりと呟くと、深いため息を吐くと気を取り直して僕に告げた。

「たぶん、彼女の狙いはアルベルト様とイグナーツ様だと思うのですが、そこにわたくしの存在を利用しようと考えているのでしょう」

 ヒロインには悪役令嬢が付きもんだからね。だけど本物のヒロイン、ここにいるんだよなぁ……。

 ブルーメ嬢は自分がオクタヴィア・ギーア嬢にぶつかってしまったから、こんな騒ぎになってしまったと、しきりに恐縮してしまっている。

 いや、あのあたおか令嬢は、オティーリエに付け入る隙がなかったら、ブルーメ嬢にも突っかかっていったはずだ。

 まぁ、面倒だけど、あの程度だったら、躱し続けていればなんとかなるでしょう。

 ただひたすらに、鬱陶しいのを我慢すればいい……。我慢できるだろうか?

 ちらっとイヴを見ると、イヴはなんだか難しそうな顔をして、プイッとそっぽを向かれてしまった。

 ルイーザ先輩連れてきたから怒ってるの?

 も、もももも、もしかして嫉妬? やきもちとか、やいてくれちゃったりして?! 脈あり? これって脈ありなのかな? どうだろう?



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