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ざまぁフラグが立ってる王子様に転生した  作者:
王子様の学園生活(三年生)

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83 不正疑惑の調査結果

 イヴは週一で僕と一緒にお出かけすることを了承してくれた。

 えへ。えへへへへ。やったー!! 週一デート取り付けたぞー!! 

 浮かれてる僕に、ヒルトはもの言いたげな視線を投げつけてきたけれど、特に何か言ってくることはなかった。

 そんな残念な子を見るような目で僕を見ないでよ~。まだまだ先があるのに浮かれるなって言いたいんでしょ?

 だけどさぁ、週一デートは進展だよ? そう思わない?! 僕は少し進んだって思うよ!


 まぁ、その前に、不正疑惑の解明があるんだけどね!


 イヴとデートして数日後。僕が不正しただろうという呼び出しをされてから、ちょうど一週間。

 うやむやにすんじゃねーぞという僕の脅しが効いたのか、帰りのホームルームが終わった後、青い顔をしたミュッテル先生に声をかけられた。

「アルベルト様、一緒に来ていただけますか?」

「ネーベル・クレフティゲと一緒に伺います。どこに行けばいいですか?」

「では、学長室でお待ちしています」

 あの不正疑惑の呼び出しから、もうずっとミュッテル先生の顔色悪かったんだよね。僕の顔を見ないようにしていたし、声をかけられるのも避けてるみたいだったし。

 悪いと思ってないなら、堂々としていればいいのに。


 今回は僕だけ出向くことにして、イジーと女子組はお留守番か先に帰寮してもらおうとおもったんだけど、まずオティーリエが自分の兄が関わってるから同行すると言い出した。

 そうしたらイジーも、なら自分も兄弟なのだから兄上と一緒に話を聞くと言い出してしまった。

 心配してくれるのはありがたいけれど、自分の後始末は自分でできるよ。あとお兄ちゃんにかっこつけさせてほしい。

 イジーには悪いんだけど、今日はリュディガーと一緒にヘレーネ嬢とブルーメ嬢を女子寮に送って、二人もそのまままっすぐ帰寮してほしいとお願いした。

 戻ったら結果をちゃんとお話するから寮で待っていてと伝えたら、少しごねられはしたものの、最終的にはわかりましたと頷いてくれた。

 イジーが時々こうやって『やだやだー』って言うの、ちょっと嬉しいんだよねー。甘えられてるってわかるから。

 ネーベルとリュディガーが迎えに来て、僕とネーベル、オティーリエは学長室へ、イジーとリュディガー、そしてヘレーネ嬢とブルーメ嬢は帰寮してもらうことにした。

 ネーベルとオティーリエを連れ、学長室をノックすると内側から扉があく。


「リューゲン殿下、お待ちしておりました」


 そう言って出迎えてくれたのは、見たことのない女性。年齢はシルトとランツェと同じぐらいかな?

「どうぞ中にお入りください」

 入室を促され、ネーベルとオティーリエも中に入る。

 学長室の執務机には、老齢の男性が一人座っていたが、僕が入室すると椅子から立ち上がり僕らの方へと近づいてきた。

「お初にお目にかかります、リューゲン殿下。私はアドミストラ・トーア。ご挨拶を申し上げます」

 胸に手を当て一礼する。

「私どもの説明はすぐに。まずはあちらにお座りください」

 アドミストラ・トーア卿に促されたソファーには、しなびた様子のアインホルン学長に、キラキラ……いや、ギラギラとした視線を向けているヘッダがいた。

 そしてヘッダの背後にはクラウディウス、そしてアインホルン学長の背後には、これまた顔色の悪いザルツ秘書が立っている。

「どこに座ればいい?」

「アルベルト様は上座にお座りくださいな。かまいませんわよね?」

 アインホルン学長に視線を向けたまま、軽やかな口調でヘッダは告げる。

 見るからに、獲物は逃がさねーぞって感じだな。

 ヘッダに言われて、一番奥の一人掛けのソファーに腰を下ろすと、すかさずネーベルが僕の後ろに立つ。オティーリエはヘッダの隣に座った。

 アドミストラ・トーア卿は、ミュッテル先生の逆側、アインホルン学長を間に挟むように腰を下ろし、その背後に先ほどドアを開けた女性が立っている。


「では話し合いを進めさせていただきます。まず私がなぜこの席にいるのかというご説明をさせていただこうと思います」

 話を切り出したのは、アドミストラ・トーア卿だ。

「私アドミストラ・トーアは、来月より上学部学長に就任することになりました。本来なら、この場を仕切ることになるのは、ツェルヴェッゼ副学長だったのですが、先週から身体の不調を訴えられており、しばらく休養ということになっております。少々早いのですが、新学長としての最初の仕事として、今回の件の進行役を務めさせていただくことにしました。よろしくお願いします」

 滔々と語りだすアドミストラ・トーア卿、トーア新学長はにこやかに笑みを浮かべた。

「上学部の学長に就任、ですか?」

 そう言って、僕はアインホルン学長へ視線を向ける。

「まずリューゲン殿下にかけられた不正疑惑に関して、調査結果をお伝えさせてください。結果から申し上げますと、リューゲン殿下の不正は認められませんでした」

 当たり前だ。やってないんだからね。

 僕が聞きたいのは、僕がカンニングをしたという密告が本当にあったのか。密告が本当にあったとして、それを言ってきたのは、誰だったのかだ。

 守秘義務? プライバシーと個人情報の保護? そんなん知るか! 二十一世紀の日本じゃねーんだぞ!

 僕に冤罪をかけようとしたのは誰だったのか。それを知る権利が僕にはあるはずだ。

 一言も発しない僕に、トーア新学長は困惑気味だが、話を続ける。

「リューゲン殿下が一番お知りになりたいのは、カンニングをしたという密告のことかと思います。関係者各位に話を聞きましたところ、そもそも『密告』ということ自体がなかったのです」

 でっちあげか?

 テオも言っていたけど、そんな嘘をついてまで、僕に嫌がらせをしたかったのか。なんて人間性の小さなやつなんだ。



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