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ざまぁフラグが立ってる王子様に転生した  作者:
王子様の学園生活(三年生)

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81 君に好きだと言いたい

 イヴをデートに誘うことができてホクホクしていたけれど、かといって不正疑惑の話が解決したわけじゃない。

 本当は憂いがなくなった状態で、デートしたかったけれど、チャンスは逃すなというネーベルとヒルトのありがたいアドバイスに従うことにする。

 あー、でも、もやもやする! 早く不正云々のことは片づけたい。

 いやここは、このもやもやを晴らすために、イヴに癒してもらうという変換をすればいいのだ。

 イヴの可愛さで英気を養って、めんどくせーアインホルン学長と対面すりゃぁいいのだ。


 というわけで、イヴをデートに誘った二日後の休日。

 僕とネーベルは女子寮までイヴとヒルトを迎えに行った。

 デートに誘ったときに、イヴだけではなくヒルトもお洒落をしてきてとお願いしたので、二人とも夏のワンピースドレス姿だ。

 可愛い。

 イヴは鮮やかな黄みが強いサンフラワー色で、ヒルトは赤みの入ったオレンジ色。デザインも何となく似ていて可愛い。

「わ~! イヴ、とっても可愛いよ」

「あ、ありがとう。なんだか照れちゃうわ」

「照れないで。本当に可愛いよ」

 イヴの私服姿、めちゃくちゃ可愛い。

「男装の方がよかったか? でもよく似合ってるぞ」

「ううん、ネーベルと一緒に出掛けるならスカートも嫌いじゃないんだ。イヴもいるしな」

 僕がイヴに見惚れている横で、ネーベルとヒルトもイチャイチャしてる。

 羨ましくないよーだ! 今日はイヴがいるんだからね!

「それじゃあ、イヴ。お手をどうぞ」

 エスコートの手を差し伸べる僕を見て、イヴはパチリと瞬きをすると、にっこりと微笑んで僕の手を取ってくれた。

 あぁ、やっぱり、僕はイヴが好きだ。


 実は今日、中央公園の方で行商人の露店が来てるんだよね。

 行商人の露店は月一でやっていて、詐欺やぼったくり防止のため、露店販売の値段も学生が出せる金額という決まりがある。

 こういった決まりがあっても年一の割合で、詐欺騒ぎが出てくるのだ。

 学園都市は平民の子供もいるけれど、ほとんど貴族の子供が占めているから、金があるだろうと悪徳業者に狙われやすい。

 ホームルームでは月一の割合で注意喚起もするけれど、貴族の子供をターゲットにしたぼったくりはなかなかなくなることはない。

 こればっかりはねぇ、何とも言えないよなぁ。

 詐欺をする方だって手を替え品を替えで、巧妙になっていくから仕方がない。

 あっちこっち回って、何か買ってあげた方がいいかな?と思ったんだけど、イヴの品を見る目が意外に厳しい。


「ここはいいわ。あっちに行きましょう?」

「いいの?」

「うん、欲しいのがなかった」

 女の子が好きそうな華やかな髪飾りを取り揃えていた露店だったけど、サーッと見た後、あっさりと露店から離れていく。

「アルベルト様、あの露店ぼってるわ」

 露店から離れてからイヴが小さな声でボソッと呟いた。

「あれ全部、色ガラスでしょう? でもクズ宝石って店主は言ってたし、店の看板にも書いてあったでしょう? クズ宝石で小銀貨一枚なら、まぁまぁお値打ち品だとは思うけれど、でも造りも甘そうだったしすぐに壊れるわ。色ガラスに技術料を上乗せしても、銀貨一枚は高いわよ」

「いくらなら、イヴは買う?」

「そうね~。色ガラスのカッティングは良かったのよ。だから色ガラスの素材にあのカッティング、それからデザイン料、銅貨五枚から小銀貨一枚の範囲内ね」

「目利きだね」

「アルベルト様。あの店の品物が全部色ガラスだったの、気づいてたでしょう?」

 おや、鋭い。

 イヴが欲しいなら、値切って買おうと思ったんだけどなぁ。いや、でもあのお店のデザインは確かに良かったけど、イヴには似合わなかったから、買わなくて正解か。

 途中で警らしている警備騎士に店の情報を伝えて、僕らはおなじみのカフェ店へと向かうことにした。


 例のカフェで食べられる氷のお菓子。それはかき氷のことだ。

 夜店なんかで売ってるようなシロップ掛けのかき氷ではなく、果肉を使ったボリューミーなかき氷である。

 夏場はねー、やっぱり冷たいもの欲しいよねー。タンフルとかも売れそうだ。


「わぁ、おいしそう!」

 運ばれてきたかき氷を見て、イヴが歓喜の声を上げる。

 イヴはベリーミックス、ヒルトはパパイヤと柑橘ミックス、僕とネーベルはメロンのかき氷を頼んだ。

「おいしい! でも頭がキーンとなる。なんで?」

「冷たいものを食べると、いきなり口とか喉が冷えるでしょう? そうすると喉にある神経を刺激する冷たさを脳は痛みと錯覚しちゃうんだ。それで頭痛が起きる」

 あともう一つあったけど、専門的な説明になっちゃうからやめとこ。

「へ~、アルベルト様って物知りなのね?」

 ズルしてるんだよ。イヴに言えない秘密を持つのはつらいなぁ。

「私、こんな氷のお菓子があるなんて知らなかった」

 このお店、本当に新規のお客さん少ないんだよねぇ。だから常連客ばっかり。

 でもお茶も軽食もそれからスイーツもおいしいんだけどなぁ。

 僕らは最近、菓子類じゃたりなくって、こうガツンとくるものが欲しいから、飲食街の軽食カフェの方に行っちゃう。

 でも夏はやっぱりここのかき氷を食べに来ちゃうよね。だってほかのお店にはないんだもん。

 きっと卒業まで、毎年夏はここでかき氷を食べるだろう。

「イヴ」

「なあに?」

「来年も一緒に、ここのかき氷食べに来ようよ」

 僕のお誘いに、イヴはきょとんとした顔をする。

「アルベルト様?」

 情緒がないかな? 告白はもっとロマンチックを演出した方が良い?

 確かにそういうのも大事かもしれないけど、僕……、そういうの向いてない。

 それに、チャンスは逃がすなと、ネーベルとヒルトに言われた。

 さぁ、ここが僕の決め所だ。



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