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ざまぁフラグが立ってる王子様に転生した  作者:
王子様の学園生活(三年生)
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66 不正内容の説明

 オティーリエの怒りの表情に、アインホルン学長はビビり散らかしている。おーおー、やっぱりこの人にとっては、僕や周りの矛盾の指摘よりも、オティーリエに睨まれたり嫌われることのほうが堪えるのか。

「お兄様! ちゃんとお答えください」

「か、カンニングだと聞いた!」

 はいはい、カンニングね。

「では、そのカンニングはどの教科で行われたんですか?」

「ど、どの教科?」

「上学部の学力テストは、国語、算術、国内歴史、国歴史、四項目です」

 この四項目は、領地経営科、文官科、淑女科、騎士科の四クラス共通で取り入れられている科目で、公平性の観点から、共通科目のみのテスト試験となっている。

「そのうちのどれでカンニングが行われたんですか? 全部というわけではないでしょう?」

 全項目でカンニングされていたっていうなら、それはそれで構わんのだけどな。

 僕の問いかけに、またしても、アインホルン学長は不愉快そうな顔をして悪態をついてきた。

「そんなこと、君のほうが知っているのではないかね?」

「やってないのだから知りませんよ」

「なっ! なんて態度だ。ふてぶてしいにもほどがある!」

「僕が生意気だというのは、不正の話とは関係ないでしょう。いまは不正をしたかしてないかを話す場で、僕の態度が気に入らないっていう話は後にしてください。それで、どの教科でカンニングを見たと密告があったんですか?」

 暗におめーの機嫌取りなんざする気ねーよと言ったのだ。伝わってるかなー? あ、その顔は伝わってねーな。ますます生意気でむかつくって顔ですわ。

「そこまでは聞いていない!」

 偉そうに言ってるんじゃないよ。

 ほらぁ、ミュッテル先生とツェルヴェッゼ副学長が、あんぐりと口を開けて、驚愕の視線をアインホルン学長に向けている。

「そうですか。わかりました」

「認めるんだな?!」

「何をですか?」

「カンニングをだ! 今、言っただろう?!」

「そんなこと一言も言ってませんが?」

「わかりましたと言ったじゃないか!」

「その『わかりました』は、アインホルン学長が、僕がカンニングをしたという密告だけしか聞いておらず、それ以外のことを何一つ調べていないということについてですよ」

 会話の流れから見てわからんのか。相手にすると疲れる人だなぁ。

「いいですよ。そこまで言うなら、僕だけテスト試験しなおしましょう」

「え……?」

 僕の発言に、アインホルン学長は呆けた顔をする。

「テストの問題作成は、四項目すべてアインホルン学長が作ってください。ただし、内容は王立学園の三年で習う内容に限定させていただきます。作った問題内容は、ミュッテル先生をはじめ、三学年の授業を受け持っている先生方に確認をお願いします。もし、当日僕が受ける問題内容に、教わっていない問題があった場合、その時点で試験監督に報告しますのであしからず。採点も、アインホルン学長だけではなく、ほかの先生方も確認してください」

「なぜ私がテスト問題を作成しなければいけないんだ」

「密告内容をちゃんと調べず、僕を呼び出して糾弾したということは、その密告をした人物と内容が信用に足るものだったからですよね? つまりアインホルン学長は、僕はカンニングする人間だと仰ってるわけですよ。ですから、僕が不正をできない状態を作ってテスト試験をしなおす必要があるでしょう? 問題を作って管理したのがアインホルン学長であれば、僕があらかじめ問題内容を入手するという不正は防げますよね? 次にテスト試験中のカンニング。これについてはアインホルン学長とそれからツェルヴェッゼ副学長、担任のミュッテル先生が試験監督を務めてください。僕がカンニングしたかしていないか、ご自分の目で確かめればいい」

 アインホルン学長にとってこの流れは予想外の展開なのだと思う。

 だってアインホルン学長はさ、僕を遣り込める口実が欲しかっただけなんだもの。だから、実際不正があったかなかったはどうでもよくって、単純に僕を遣り込めて泣きっ面を見たかっただけなんだよね?

 思い通りにならなくって残念だったな。

「そ、そこまでしなくたって」

 ほらね。本当に不正の疑いを持っていたなら、そんなこと言うわけないんだよ。

 むしろさ、やろうやろうって、乗り気になるはず。

「疑いがかけられている僕が『そこまでしなくたっていいじゃないか』っていうんじゃなく、疑っているアインホルン学長がそんなこと言うのはおかしいんじゃないでしょうか?」

「全くですわ!」

 ノックもせずに扉を開けはなち、学長室に入室してきたのはヘッダだった。後ろに年配の男性がくっついている。執事かな? っていうか、どこから話を聞いていたのかな? このお嬢ちゃんは!

 僕の疑いの眼差しなど、ヘッダはものともせずに、続けて言い放つ。

「アルベルト殿下の仰る通りですわ。そこまでアルベルト殿下をお疑いなら、アインホルン学長、貴方が四科目の問題をお作りになってくださいませ。もちろん試験監督もしていただきましてよ」

 そして今度はミュッテル先生とツェルヴェッゼ副学長へ向けて、ヘッダは告げる。

「ツェルヴェッゼ副学長、ミュッテル先生。お二方も関係ないでは済まされませんわよ? アインホルン学長がここまで仰ってるのですもの、アインホルン学長の元に来た密告が正しいものであるという証明をしていただきますわ。アインホルン学長から、密告者と密告内容の聞き取りしていただいた後、詳細に調べてくださいませ」

 なんで自分たちまで?! と言わんばかりのミュッテル先生とツェルヴェッゼ副学長だけど、まぁ当然のことでしょ?

 僕を呼び出す前に調べるということを怠ったのは、不正の話を聞いていた教職員もなんだよね。

 アインホルン学長が僕を呼び出せと騒いだとしても、まず先に調べてからだと押しとどめることができなかったのは、ツェルヴェッゼ副学長の失態でしょ?

 公子相手だから逆らえなかった、なんて言うのはなしだよ? そんなこと言いだしたら、じゃあ、なんでそんな逆らえない相手を学長に据えたって話になっちゃうじゃないの。

 オティーリエの話によると、アインホルン学長は張りぼて。実質的な学長の仕事をしているのはツェルヴェッゼ副学長だって聞いたよ?

 なら暴走するアインホルン学長の手綱も握れなきゃ意味ないでしょ?


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