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ざまぁフラグが立ってる王子様に転生した  作者:
王子様の学園生活(三年生)
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54 大公令息の思惑は?

 ヴァッハが自分の身分をつまびらかにして、リトスの王族として立場を復権したいとか、自分だってリトスの国王になる資格があるとか、そういった野望も持ってないのは、まぁ……信用できるかな?

 もし僕らに言ったことが全部嘘で、本当はそういう野望があった場合、ソーニョからハニトラの手伝いをしろっていう命令をされたら、反発するんじゃないかなぁ? 大公の息子と先王陛下の息子とじゃ、国王の椅子に座る可能性が高いのはヴァッハの方だしね。

 ここまで僕がヴァッハに引っかかるのは、ヘッダがヴァッハのことを『バカの振りが上手い』って言ったからなんだよ。

 つまり相手に与える印象は違っていても、先王陛下のように相手の裏をかくのが上手い人間だったなら、善良なふりもうまいってことね。

「殿下ぁ……、えっと、俺ってこれからどうすればいい?」

「それは僕のほうが訊きたいんだけど?」

「え? だってさぁ、俺の不安は殿下が解消してくれたじゃん?」

「不安って、君の存在がリトスの国王陛下、ひいては王族に知られても放っておかれるってこと?」

「それもだけど、ヴァッハ家に変な罪状がかかったりしないってやつ」

 んー、ここまで言うってことは、ヴァッハ伯爵家のことは本当に大事に思ってるんだろうな。

「俺は家族に迷惑掛からないなら、あいつの言うこと聞く必要ない。だからとんずらしようと思うんだけど、あいつへんに勘がいいんだよ。もしかしたら俺が言うこと聞かなくなったら、殿下と手を組んだって疑うんじゃないか? そうしたら、殿下に迷惑かけちゃうじゃん」

「意外と考えてる」

「ひどっ! それぐらい考えるって!」

「いいや、ちゃんと考えることができる人はね、自分さえいなくなれば、すべて丸く収まるからって自己完結して、無責任な計画を立てたり、それを実行しようとはしない」

「うぐっ! それは悪かったよ」

「謝るのはご両親にしなよ」

「わかってる。それよりもジュスティスのこと、どうしたらいい?」

 う~ん、確かにヴァッハの言うことも一理あるんだよねぇ。

「ヴァッハはソーニョとそんなに仲良くないって言ってたけど、あっちはヴァッハのこと知ってたんでしょ?」

「うん、最初から知ってた」

 情報収集力はあるんだろうな。だからヴァッハに目を付けたんだろう。

「テオ……メッケル辺境伯子息のことね、テオが言うには、ソーニョって女子だけじゃなく男子生徒にも人当たりは良いって聞いたんだけど、でもヴァッハは脅されたんでしょう? どんな感じでの脅しだったの?」

「う~ん、確かにヒンデンブルクの言ってる通り、あいつ人当たりは良いんだ。脅されたって言ったけど、恫喝されるような脅しじゃなくって……、説得してくるみたいな言い方って言ったらわかるか?」

「あー、『言うこと聞けよ』って、頭ごなしに上から目線で言ってくるんじゃなくって、『ヴァッハが生存していたことはリトスの国王陛下に報告しなきゃいけない。自分に手を貸してくれたなら、ヴァッハのことは気付かなかったことにするよ?』って交渉してくるような感じ?」

「そう! そんな感じ! それから、俺には隠し事してないって意味で本名を名乗って、二人の時はジュスティスって呼んでほしいって言われたんだけど、あれも自分はリトスの大公子息で、伯爵家の俺とは立場が違う。持ってる権力も雲泥の差だって言ってるようなもんだ。あれ、気付かない奴は、ジュスティスは親身になって助けてくれる味方だって、勘違いすると思う」

 勘違いか……。実際対面してないから何とも言えないんだけど、何だろうね、それこそ本当に冒険モノのラノベの主人公みたいな、本人はちゃんと打算的な考え方とか、清廉潔白じゃない普通の人間だって思ってるけれど、でも周囲からは仲間想いで頼りがいのある『良い人』って見られるタイプに見えるなぁ。

 ヴァッハに対しての脅しも、目的があるから利用したと考えれば、そんなおかしな行動ではない。おそらく本人もヴァッハが敵か味方かわからないし、判明するまで利用させてもらおうって考えなんだろうなぁ。

 ちらりとヴァッハを見ると、神妙そうな顔をしてる。

 そしてネーベルとヒルトに視線を移す。

「どう思う?」

「ソーニョの件に関しては、情報不足だ」

「狙いがオティーリエ様だと言うことははっきりしてるんですけれど、それで? というところですよね。オティーリエ様と親密になって何がしたいのかと」

「そこなんだよなぁ……。正直なこと言っていい?」

 僕がそう言うと、ネーベルもヒルトも頷く。

「ソーニョがオティーリエのことが好きで、その気持ちに嘘はない。裏事情とかそういったこと全部なく、純粋にオティーリエと恋仲になって結婚したいって言うなら、それはそれでいいんだよ」

 ヒルトは何か言いたそうな顔をしてるけれど、余計な口をはさむことなく黙っている。

「要はそのやり方なんだよね。僕やイジーと言った、オティーリエに近しい人間を貶めて、恋を成就させるっていうのではないのなら、どうぞご勝手にって思うんだ」

 でも、ここに女神が関わってくるから話がややこしくなってくるんだよ。

 僕の話を聞いてネーベルは、だろうなという顔をし、ヒルトも考えこんで何度か頷く。

「そうですね。私はアルベルト様に被害がなければソーニョは無視してもいいです。あとはやはりオティーリエ様の気持ちも優先させたいですね」

 あの子の男性嫌悪症、本当に何とかしないと。どうしたらいいんだろう。

 頭を悩ます僕らに、ヴァッハがとんでもないことを言い出した。

「あの、ちょっといいか? 殿下ってアインホルン公女と付き合ってるんじゃないの?」

 はぁ?! どういうことだよ、それは。

 何処からそんな話が出てきた?



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