表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ざまぁフラグが立ってる王子様に転生した  作者:
王子様の学園生活(三年生)
238/362

42 リトス王国の先王陛下はやべー

 自分たちがちゃんと躾けられなかった、へっぽこ第二王子の面倒を、王家から出たその血縁者にさせるとは何事かと、先王陛下は二人の婚姻に関しては『王命』は出さないと宣言した。

 それは、ヘネロシダー公爵に、王妃様と大公殿下との婚約は、決まったとしても白紙撤回や解消、そして破棄はいつでもしていいと許可を出したのと同意である。

 王妃様と大公殿下との婚姻を進めたいのは、先王陛下とヘネロシダー公爵家以外の、王家の人間である。

 もっと言えば、国王陛下と王太后、そして子育てに口を出して、ダメ王子に仕上げてしまった生みの親である側妃、そして大公殿下に公務をさせなければいけない人たちである。

 最初から、何もできない大公殿下の代わりに、仕事ややらかしの後始末をさせるためだけの、婚姻相手だった。


「今にして思えば、リトスの国王陛下と王太后殿下……、当時の王太子と王妃ですが、彼らは、わたくしのことを思い遣っているかのように、『あの子が迷惑をかけて申し訳ない』と謝罪をされたり、横暴な態度の大公殿下を叱責したりはしていましたが、婚約そのものをなくすように取り計らうことはありませんでした。そういった方々とは逆に、先王陛下は下賜される領地の資料や、婚姻後すぐに大公の執務ができるように、その手の教師を積極的に派遣してくださったのです」


 一見、王妃様に教師の手配やらをする先王の行動は、『息子はダメで当てにできないから、息子の代わりに仕事が出来るようになれ』と、そう受け取りかねない。

 しかし婚約が決まってから年に一回必ず、このまま婚約を続けるかどうかの確認をされたそうだ。

 そうして、学園に入学する前に、王妃様は先王陛下に呼ばれた。

 先王陛下は、同席している王太后と国王陛下の前で、あることを王妃様に告げたそうだ。


『卒業後、二年以内にそなたらの婚姻を行う。そなたが学園に通うのは、学ぶためではない。大公家の家臣を見繕うためだ』

 それは暗に、第二王子の周囲にいる『側近』と名乗るお友達は、大公家の家臣ではないと言っているのだ。

『そなたには婚姻後、儂から王家に伝わる秘宝を贈ろう。そして儂がそなたに与える掃除の時間は五年だ。それだけ時間があれば、充分であろう?』


 王家に伝わる秘宝とは言っているが、それは門外不出の秘薬を意味している。

 つまり王家に伝わる毒薬を渡すから、婚姻五年以内に第二王子を始末しろ、と先王陛下は王妃様に言ったのだ。

 先王陛下が王妃様に大公としての教育を施したのは、婚姻後に与えられる大公位は、第二王子である大公殿下のものではなく、最初から王妃様のものになる前提だったからだ。

 忠臣である公爵家の姫君に、王家のゴミ処理を押し付けると言うならば、口先だけの良い人ぶるのではなく、これぐらいの命令をして見せろと、先王陛下は王太后と国王陛下に見せつけたのである。


 しかし、それは全部、叶わなくなってしまった。


 第二王子は卒業式後のパーティーで婚約破棄騒動をやらかし、諸外国の重鎮たちがいる前で、うちのあんぽんたんが王妃様にプロポーズをするという前代未聞の大スキャンダルが起こったからだ。

 リトス王家からの慰謝料は、本来王妃様に与えられるはずだった領地を金銭に換算され、そのため第二王子は領地なしの名ばかりの大公となった。


「アルベルト殿下。リトスの先王陛下のことをわたくしの口から説明するとしたら、真に賢い者は愚か者だと思わせることができると言うことです」


 リトスの先王陛下は、バカの振りができる。

 王妃様に冤罪を掛けただけではなく、婚約破棄という醜聞を犯した第二王子を真っ当に育てられなかったのは、先王陛下のせいだと思われ、次は異国の踊り子に老いらくの恋をして、爵位と離宮まで与えた。

 その先王陛下を玉座から引きずり落としたとして、リトスの国王陛下は周囲からの評判はうなぎのぼりだ。


 しかし事実は、先王陛下はちゃんと親としての責任は果たしていたし、寵姫を召したとしても、仕事を放り出して淫行にふけっているわけではない。

 僕が思うにリトスの先王陛下は、策略に長けた策士なんだと思う。

 無事に生まれたヴァッハを死んだことにして、ラーヴェに逃がしたのは、先王なんじゃないかな?

 アッテンテータが調べた報告書と、王妃様の話を聞いて、ますますそう思わずにはいられない。

 おそらくリトスの先王陛下は、リトスの国王陛下を信じていない。

 遅くに生まれた最後の我が子は、玉座についた我が子に、殺されると思ったのだろう。だから、伝手を使ってラーヴェ王国に逃がしたのだ。

 でも残念。

 せっかく逃がした可愛い我が子は、大公子息とズブズブの関係だ。

 正直、ヴァッハとソーニョがどうやって繋がり始めて、どんな関係なのかは不明なんだよね。

 もしくはソーニョ。どうしようもない大公夫妻の子息を、リトスの王家が野放しにしているか? 本人には知られないように監視がつけられてない? そこから辿られる可能性は?

 ならば、僕らはそこら辺を掘り起こして、リトス王家の目的を探ろうか。

 ハニトラを仕掛けて、ラーヴェを獲ろうとしているのか、それとも国ではなく、特定の人物に恨みつらみがあって、国を巻き込もうとしているのか。

 ついでに上手ーく情報引っ張り出して、リトスの先王に恩が売れるか仕掛けてみようかな?

 そんな事を考えて、にんまりと悪どく笑って見せたら、ヴァッハは怯えた顔をして顔をそむけてしまった。

 なんだい、ノリが悪いなぁ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ