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ざまぁフラグが立ってる王子様に転生した  作者:
王子様の学園生活(二年生)

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13 この世界にも土下座があった

「お願いします!!」

 さっきから土下座で同じことしか言わないシューレ先輩を、ネーベルが無理やり立たせて、クルトが椅子に座らせ、リュディガーがフォークを持たせる。

「食事中にやめてください」

「そうですよー、美味しいお弁当も食べた気がしなくなるじゃないですか」

「お話は、食後にしてください」

 ショボンとしているシューレ先輩の前に、いろいろなおかずを盛ったお皿を置いて、僕らはもりもりとお弁当をたいらげる。


「んで、イジー、勧誘って何?」

「シュタム会です」

 あー、シュタム会ねぇー。

「シューレ先輩、ブラットなんですね。ん? ってことはイジーも誘われたの?」

 僕の問いかけに、イジーは頷く。

 この様子だとお断りしたんだろうな。


 公務は長期休みだけになってるけど、直轄領からの問い合わせとか連絡はきてるから、学園都市内から代理人に指示を出してるんだよ。

 学園での勉強に直轄領の采配、あと王宮から次期王太子用の作法、王妃様から与えられている王太子教育、等々。

 ただでさえ次期王太子になるっていうんで、そういった業務があるイジーに、シュタム会に入って学園内生徒運営に携わる時間は、ない。そんなことしてたら、テオたちとわいわい騒ぎながら学園生活を楽しむ時間がなくなってしまう。

 だからお断りしたんだろう。


「僕のところに来たのも、ブラットに勧誘ってことですか?」

「お願いします! シュタム会に入ってください!」

 シューレ先輩はまたしても頭を下げる。

「殿下方なら来年の選挙でヴルツェルになれます!」

 イジーは顔をしかめて首を横に振り、テオも両手で×印を作る。

 まぁねぇ……、跡取りでもうすでに領地経営に携わってる生徒なんかは、シュタム会に入って生徒運営の仕事やったって旨味なんかないしねぇ。

 そもそも、人選が間違ってるんだよなぁ……。


「お断りします」


 きっぱりとそう返事をしたら、シューレ先輩は下げていた頭をすごい勢いで上げると信じられないと言わんばかりの顔をする。

「全校生徒の頂点ですよ?」

「だから?」

「だか……え?」 

「僕もイジーも、王立学園に入学したのは、同級生との親睦を深めるためです。シュタム会に入って、特定の人たちとだけ交流して、学園の雑用に奔走する日々って、学園に来た意味ないでしょう?」

「が、学園は貴族社会の縮図で、次期国王になられるならば、シュタム会に入って経験を」

「人を使って何かを行う。運営する。そういうのはもうすでに、ほかでやってます。僕ら王族が、わざわざ学園でその手の予行練習をやる意味がないんです。学生として学ぶ以外に、王族としての業務をしていて、それでシュタム会に入って雑務に忙殺される。僕らはいつ、息を抜いて休めばいいのでしょうか?」

 王族だって人間ですからぁ? 超人的に学生業、王族としての業務、シュタム会で学生自治運営、全部できるわけないでしょ? 明らかにオーバーワークだよ。

 だからお断りしたんだけど、シューレ先輩は納得してくれなかった。


「……イグナーツ殿下もリューゲン殿下も、どうしてシュタム会に入ってくれないんですか? 王立学園の生徒なら栄誉だと思うものですよ。王族なら、ふ、普通は入りたがるものでしょう?」

 へー、入りたがるものなんだ?

 過去、王族がシュタム会に入っていたとしたら、それこそ普段はシュタム会の仕事なんかなーんにもしないで、表に出るところだけのいいとこ取りだったんじゃない?

 真っ当な王族なら、絶対にシュタム会なんぞには入らねーぞ? 自由時間が減るじゃねーか。


「先輩、その理由を押し通すなら、人選、間違ってますよ」

「え?」

「王族は栄誉を与えるもので、受けるものではないですからねぇ」

 僕の言葉にシューレ先輩は何も言えないようだ。

「シュタム会が将来の予行練習の場なら、そこに入っていくべきなのは、将来文官となるべき人たちじゃないですか? 貴族の跡継ぎは、自分の家の領地の手伝いをやってるんで、わざわざ学園内で予行練習する必要ないんですよ」

 まぁ、なかにはさぼりまくってる跡継ぎもいるだろうけれど。

「先輩がプラトに勧誘するべきは貴族の跡取りではなく、貴族社会で職につこうと思っている相手ですよ」

 そう言う相手こそ、将来の為の予行練習必要じゃないか。

 高位貴族の子供だからーとか、王族だからーとか、そんなん学生自治させる条件にさせるんじゃないよ。

 自主性、やりたい、やってみたいと思う人にやらせるんだよ。


「イジーはともかく、アルを入会させるのはやめといたほうがいいぞ」

 落ち込んでいるシューレ先輩を見かねたテオが、慰めともつかないことを言い出す。

「あのさぁ、王立学園って良くも悪くも伝統を重んじる風潮があるじゃん? その筆頭はシュタム会なんだろうけど。そこにアルをぶっこんでみろよ。まずシュタム会の組織そのものを全部一新するために、今までのやり方は廃止されるぞ」

「……え?」

「上位貴族が名前だけでシュタム会に入ること自体を禁止して、シュタム会内部の平等性を会則に入れて、シュタム会に入る条件を決められるだろうな。先輩たちが大事にしてる伝統壊されるぞ?」

 失礼なこと言うなぁ。

「いやだって、なぁなぁ体質を一新しないと、何のための学生自治なのかってなるじゃん」

 伝統は大事だけど、形骸化した伝統を残す意味とは?

 それならもう、一回全部壊して、新しい学生自治を作り直したほうがいいじゃないか。

 ヘッダのご先祖様だって、そう思ったからこそ、この学園都市を作ったんだとおもうよ?




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モチベ上がりますのでよろしくお願いします。

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