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ざまぁフラグが立ってる王子様に転生した  作者:
王子様の学園生活(二年生)
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08 学園都市に七不思議がある

 オティーリエの話からしばらくの間は平和だった。

 しかしその平和も、すぐに終了してしまうのである。


 先にリザーブしていた空き教室で、イジーたちが来るのを待っていたら、元気よく駆け込んできたテオが、僕の顔を見た途端、興奮した様子で開口一番に、誰かから聞いた話を報告してきた。


「アルー!! この学園都市に七つの不思議があるんだって!!」


 いつかはこの手の話を誰か(主にテオ)が持ってくるだろうなぁっとは思ってたけど、やっぱりあったか、七不思議。

 学校の七不思議って、大体学校ごとに違ってくるけど、トイレの花子さんと、音楽室のピアノ、作曲家の肖像画、人体模型、北校舎の階段の鏡、体育館のバスケットボール、この辺りは定番だよね。

 ちょっと遠い目をしていると、遅れてやってきたイジーが、テオに向かって怒っていた。

「テオ! 勝手に変な話を兄上に聞かせるな!」

「変な話じゃねーよ!!」

 またもやぎゃーぎゃー言い合ってる。随分仲良くなったもんだ。


 リュディガーが言うには、イジーもテオのおかげでだいぶ周囲と馴染んで、今ではクラスメイトも気軽に話しかけてくれるようになったそうだ。

 そもそもイジー自身が、ボッチでも気にしない性格だからなぁ。

 積極性がないというわけではなく、誰にも誘ってもらえないとネガティブ思考になるのでもなく、他人と一緒が嫌だと言うのでもない。

 単純に、一人でも平気だし、気にしないっていうタイプ。輪の外側から、ワイワイしている人たちを見るのが好きって感じ。

 俯瞰的にものを見るのは、王としてはありなんだろうけれど、でもまだ国王になっているわけでもないのだから、友人たちとの体験だって貴重なものになるはずだ。


「七不思議があるんだって? どんな不思議なの? ホラー系? それともミステリー系?」

「ななふしぎ?」

「七つの不思議なんでしょう? なら、七不思議だよね?」

 僕がそう答えると、確かにそうかもとイジーは納得する。

「ほらー、って? みすてりー、って?」

「テオ、君は少し本を読みなさい。幽霊とかお化けとかそんな感じの怪談系なのか、それとも神秘的な現象とか、人力や人智での手が及ばないものなのか」

「知らねー! でもそう言う話があるんだって!!」

 僕の説明を聞いたら元気よくテオが答え、そんなテオを見てイジーはむっとしている。

「本当にあるかわからない、噂話です」

 七不思議はそんなもんだよ。

 それにしても、こういった不思議に食いつくのはヘッダだとおもったんだけどな。まぁ、ヘッダはこの学園都市のことはよく知っているから、その七不思議も、すでに独自で解明してるのかもしれないね。


「だからさぁ……って、アル! 聞いてるのか?」

「ん? なに? 聞いてなかった」

 僕の返事にテオがぶぅっと頬を膨らませる。

「ちゃんと聞いてくれよ!」

 あ、なんか嫌な予感。

「一緒に七不思議、探そうぜ!!」

 ほらぁ~、そう来ると思った。

 でも、確かに、学園都市の七不思議なんて、どんな不思議なのかって、今までこういったことになじみがなければ、心が躍るだろう。


「だから、そんなの勝手に決めるなって言ってる!!」

 イジーも七不思議自体には興味があると思うけど、自分の立場を考えてるかな? 王子だからこそ、羽目を外すのはいけないと思ってるのかもしれない。

 それでもテオは引きさがらなかった。

「なんでだよ~。いいじゃんか。こんなことできるの下学部の時だけだぞ? 三年は別々になっちゃうじゃん。俺はみんなと一緒になんかしてーの」

 ここでイジーに対して「ノリが悪い」とか「つまんねー奴」と煽るのではなく、素直に自分の心情を言うのがテオなんだよなぁ。

 そして、三年になったら別々というのは、学科のことか。


 僕とイジーは領地経営コースだけど、ネーベルとリュディガーは文官コース。おそらくクルトも文官コースかな?

 問題のテオは……、この様子なら騎士科に行く気でいるのだろう。

 五人兄弟の末っ子だし、自分は跡継ぎじゃないからって気持ちなんだろうけれど、でもさぁ北方辺境伯が、爵位一つだけしかもってないってことは、ないんじゃないかなぁって、僕は思うんだよね。

 辺境伯の領地の他に周辺の領地も持って、管理してるでしょう?

 うちのおじい様だってそうだもん。おじい様、自分が持ってる男爵位を結婚祝い(再婚なんだけど)として母上に渡してるんだよね。それ以外にも、あともう二つほど、爵位持ってんのよ。

 メッケル北方辺境伯だって、いくつか爵位を持ってるはずでしょ? あそこだってうちと同じく建国から続いてる家門なんだしさ。


 まぁ本人が、領主やりたくないって言うなら、選ぶのは軍部か王宮騎士団かの二つに一つになるんだろうけれど、いや、テオのことだから、それこそ武者修行だとかなんとか言って国外に出るかもしれない。ウキウキで冒険者や傭兵になりそうだ。


 テオの話を聞いて、イジーも思うところがあるのか、黙ってしまう。

 いや、ほんと仲良くなったね二人とも。

「テオ、探すって言ったって、闇雲に駆け回っても、情報は手に入らないよ。こういう時は頼れる人のところに行かなきゃね?」

「頼れる……ヘッダに聞くのか?」

「それもいいけど、ヘッダのところに行ったら、ネタバレまでされると思うけど、それでもいいの?」

 大抵のことは一緒に乗ってくれるヘッダだけど、イジーが一緒で、かつ危険そうだと思ったら、あっさり七不思議のネタバレしそうな気がする。

 それは嫌だと思ったのか、ぶんぶんと首を振って、それじゃぁどうするんだと言いたげなテオに、僕は周りを見回す。

「僕らよりもこの学園に慣れ親しんでいる人がいるでしょう?」

 誰のこととお互いの顔を見るイジーとテオに答えを告げた。


「上学部のルイーザ・ランゲ先輩だよ」



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