アリスとユリシアの間で、調教愛を叫ぶ
「どういうことオオオオ雄雄雄!? いくらユリシアでも、私の譲司くんをオオオオ怨怨!!」
文化包丁を手に仁王立ちするアリス。
死。殺意。
ここで返答を誤れば、僕は死ぬ。
「誤解よ、アリス」
ユリシアが先に言った。
「記憶を失ってしまっている譲司が・・・あまりに不憫で哀れで・・・そしてただ『思いやり』の感情からよ。ね?」
目配せをするユリシア。
「そ、そうだよ。僕、この子のことをすっかり忘れて・・・」
「へーえ」
アリスは、包丁をぐさりと机に刺し、
「それで舌を絡ませ合う、ディープキス・・・? あのユリシアからだと、さぞ気持ち良かったでしょうねえ? ・・・私より、良かったんじゃない?」
「まさか、それほどでは・・・」
言った瞬間、
文化包丁は首元に突きつけられていた。
「それほどでは!? じゃあ、少しは気持ち良かったのね! このド変態!!」
「ひっ、いや全然! ただの友情のキスだよ! ほら、欧米でよくやるハグと同じだよ!」
首筋にひんやりと押し当てられる包丁。
「ふうん、あのユリシアのキスで・・・? 調教NTR念力では世界で五本の指に入るとされるユリシアから、舌を絡められてねえ・・・」
(ちょ、調教NTR念力・・・? なんて卑猥なワードなんだ・・・)
「そ、そうだよ。あんなの気持ちよくもなんともな・・・・はっ!?」
僕は、背後から灼熱の太陽のように燃える殺気を感じた。
「ほう・・・譲司、この私のキスをそこまでよく言ったな・・・だが、今のは流石にプライドが傷ついたぞ!」
ユリシアは、カツンカツンとヒールの音を響かせた。
「ぐ・・・い、いや・・・」
「あれだけ本気で、私の”調教の接吻”を与え、少しでも記憶を取り戻してやろうと思ったんだぞ!?」
「ちょ、調教の接吻・・・?」
月の雫のような銀色の髪。
「全く、これっぽっちも気持ちよくなかったとでもいうのか!?」
「そーよねえ・・・確かにそれはそれで、ユリシアに失礼だわ。こんな美人で、あの鏑木家でも最高の調教NTR念力の持ち主なのに、ね?」
「じゃあ、どっちを答えれば・・・」
僕は二人のとんでもない美少女に迫られる。
「決まってるでしょう、譲司くん。私に告白しておきながら、ちょっと目を離すとすぐにユリシアとイチャつき始めて・・・しかも、憧れの人ってユリシアのことだったのね?」
「なかなかくすぐったい気分だな・・・あの”調教の天才”から憧れられていたなんて、ゾクリとくるほどだ・・・しかし」
「いい加減で、言葉を濁さずに、私とユリシアのどっちかを選びなさい!」
黒髪を綺麗にお姫様カットにしたアリス。
一見、クラスの優等生に見えながら、とんでもないHENTAIぶりで、僕に「私を寝取りなさい!」と、迫ってくる。
けれど、それは僕の失われた記憶を取り戻させてくれるためらしい。
一方、僕にとっては憧れだった、フェランリス女学院の銀髪の美少女。
ユリシアは、この一族の中でもとんでもない「調教NTR念力」を持っているという。さっきのディープキスの蕩けそうな味は今でも唇に残っている。
「りょうほ・・・・」
僕は正直に答えた。
「うん?」
アリスは耳に手を当てる。
僕はゆっくり考え直した。
「・・・アリスのことは好きだったよ。学園一の美少女で、誰にでも優しくて・・・鈴木に取られる前に、思い切って告白して・・・まさか「OK」が出ると思わなくて、すんごく嬉しかった・・・!」
アリスはぱっと顔を輝かせる。
「それと・・・僕が酷い目に遭っていた時に、見かけたのが・・・このユリシアだったなんて・・・御四家の中でも、物凄い力を持っているんでしょう? ユリシアは僕に「生きる力」をくれたんだよ・・・!」
ユリシアはにこりと笑った。
「だから・・・」
僕は、あくまで「両方大切だけど、ユリシアは憧れで、好きなのはアリスだよ」と答えようとした。
アリスは天使スマイルを、一瞬で悪魔のそれに変化させ、
「だから・・・だから、二人とも愛人にしてあわよくば二重、三重、NTRプレイを楽しもうとしてたのね! このドヘンタイ!! そこまでのヘンタイは許さないわ!」
アリスは、いきなり素早く鞭を取り出し、僕の両手両足を縛りつけた!
とんでもない達人芸で、身動きも取れない!
アリスは僕を、大きな机に押し倒し、さらに手足を机の両端の足にくくりつけた。
「あ、アリス!? 何を?」
「何を、じゃないでしょう! いつもいつも、私という恋人がいながら・・・!
『両方好き』ですって? よりによって、親友のユリシアを?」
「ち、違うよ。あくまで好きなのはアリスで、ユリシアは人として憧れてるだけって、言おうとしたら・・・」
「ウソを言いなさい! 『りょうほう』って言おうとしたクセに! もう、怒ったわ!」
ユリシアは、コクコクと頷き、
「調教はいくらでも許そう・・・しかし、不倫は断じて許さん! まして、親友のアリスと同時になどと!」
冷徹な視線だ。
「ぼ、僕をどうする気・・・?」
アリスはニヤリと微笑した。
「罰として・・・そうねえ、私たちが見ている前での『放尿かけっこプレイ』ってのは、どうかしら? どの道、この後で鯨料理を振舞うんだし、ちょうどいいわ・・・」
ユリシアも、
「なるほど、譲司のオシッコがどっちにかかるか・・・それで勝敗をつけるワケか・・・」
「そ、そんなおかしなプレイしたくないよ、アリス! 解いて! 人が来るよ!」
かなり長い廊下の外で、ザワザワとおじさんたちの声が聞こえる。
「そんなに時間はかからないわ、オシッコを出しやすくしてあげる」
アリスは、小瓶から軽く水を含み、そして僕にそのまま接吻をした。
「あ・・・」
軽い電流と共に、何かが喉に入ってくる。
「それは、オシッコ専門の下剤よ」
「ええええ!?」
「さあ、オシッコで示しなさい! 私とユリシアのどっちを選ぶの!? もうじき、”御四家”のお偉方がいっぱい来ちゃうわよ!?」
アリスは僕のズボンのチャックを降ろす。
「おおお! あの時よりも、随分と成長して・・・フフ、私が過去『逆調教』を食らいそうになったのも無理はないな・・・ここからオシッコ恋愛聖水が出るワケか・・・」
「な、なんだよ『オシッコ恋愛聖水』って、そんなもんエロゲーの中でも出てこないよ! あ・・・」
ぶるっ、と叫んでいる僕は急に背筋に震えを感じた。
「ほらほら、ツッコミを入れてる場合・・・? それより、いっぱいいっぱい出しちゃいなさい! ほらほら! 譲司くんの得意プレイでしょ! さあ、私にオシッコいっぱいかけて!!」