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かつて手を出すか悩んでいた最愛の弟子

「へいかー。およびでしょうかー?」

 少年のような姿のクミルティア。

 基本的にはこの神都にいるために、よく話をするのだが。


「リュハはどうですか?」

 それに呆れたように手を広げ


「ぜーんぜーんですねー。お時間かかりますよー」

 首を振る。


「最初に孕んだ娘を正妃として立てます。流産の有無は問いません。そのため妃との接触は今まで以上に厳重にします。それを龍姫……とりあえずはエールミケアですか。伝えて頂けませんか?」


「わかりましたー。私はいいんですよね?」

「あなた以外の龍族と接触は認めません。例え相手が龍姫だとしても、フェルラインだとしても。またエールミケアにも釘をさしてください。もう入るなと」


 エールミケアは世界最高峰の諜報。

 誰にも気付かれずどこにでも入り込む。


 今までも側室の動きはそのまま伝わっていた。

 だが

「正妃に立てるということは、帝国本国はその勢力に着くということです。まあここまで話をしなくとも伝わるとは思います。よろしくお願いいたします」



 ハユリ。

 リュハにそっくりな彼女はかつて私がリグルドとして生きていた時に可愛がっていた女性だった。


 信仰は純粋無垢。

 天真爛漫で私を父のように慕ってくれていた。


 なのだが、やたら無防備でその大きな胸を押し付けてくるわ、仕事が大変になってきたら

「仕事辞めたいので孕ませてくれ」とお願いしてくるわ。


 当時の私の立場では手を出せるわけもなくずっと我慢をしてきた。


 本人はそれを分かっていた訳ではないのだろうが、「手は出されない」みたいな信頼感はずっと感じていた。


 どんな我が儘を言っても優しくしてくれて、最後の一線は越えない。


 そんな信頼できる上司という立場だったわけなのだが

(……もうあんな我慢をする必要もない。なにしろ皇帝だからな)


 かつての立場と真逆。

 性行為を我慢しなければならないリグルドと、性行為をして子を残すことを望まれる皇帝。


「最悪は無理矢理やるか」

 リグルドの時に何度も妄想していたこと。

 ハユリや、自分を慕う女達に襲いかかる妄想。


 戸惑いながら、怯えながらも、神教に仕えている以上逆らえない。

 言われるがままに陵辱される。


 それがリュハで果たせると思えば愉悦感が出てくる。

(……私も下衆だな)


 リグルドだった時の記憶。

 薄れそうになるたびにあの夢を見る。


 神が私を遣わした夢


(……同じ夢を何度も見させる……)

 具体的にどうしろ、という指示もない。

 夢を見せる事はする。成長を促したりもする。


 だが指示はしない。

 出来ないのか、敢えてしないのか。


(神のお心など探るだけ無理だ。リグルドの時からそうだった)

 自分が為すべきことをするしかない。


 側室の問題、そして帝国の問題。


「……三勢力のうち、どこかと手を組み、他の二勢力を大陸から追放する。これしか方法はない」


 =====================

【龍姫サイド】


「陛下からの最終通告じゃない」

 憂鬱そうな顔をする龍姫。それに申し訳無さそうにしている龍族のエールミケアとフェルライン。


「……まだ他二勢力にはこのお話をされていないようです」

 エールミケアの言葉に


「現状は私が一番陛下の擁護をしているからでしょうね。でもこれでしくじれば、帝国本国は他二勢力の力を頼むと」


 龍姫は大きな溜め息をつき


「それで? リュハの現状は?」

「……クミルティアの報告では、性知識も薄ければ積極的でもない。致命的なのは身体です。年齢は13にしても、リュハは若干育ちが遅いです。今の育った陛下を受け入れるには……今の状態では難しいです。そのためクミルティアは徹底的にリュハに柔軟をさせています。身体を柔らかくすれば多少は無理も出来ますし」


 エールミケアの報告に天を仰ぐフェルライン。


「……柔軟ね。それで出来ればいいけれど。それで出来ればもうやってるわね」


「エールミケア、クミルティアに伝えなさい。『三日以内に出来なければ、媚薬でも使って無理矢理濡らしてぶち込め』と」


「了解しました。しかし、嫌がるリュハを送り込んでも陛下に不敬を働く恐れが……」


 それに少し悩みながら

「かつて手を出すか悩んでいた最愛の弟子。そいつそっくりの生意気な女を無理矢理レ〇プするシチュエーションというのもそそらないかしらね?」



 クミルティアは龍族の館に呼び出された。

「いそがしいのにー」

 クミルティアはリュハの教育だけではなく、神都全体の諜報もしていた。


 特に神教の幹部。

 殆ど神都から離れず仕事をしていたのだが


「クミルティア、これが骨が溶けて限界まで足を広げられる薬。痛みはなくなるけど、立てなくなるわ。まあ、些細な問題ね。次はこの媚薬。常時マンコが濡れっぱなしになるわ。その代わり脱水症状が常に続いて、頭の巡りが悪くなるけど、あの馬鹿にはお似合いでしょ。次にこの薬が……」


 クミルティアが館に着くなり、毒にしか見えない薬品を並べて説明をするフェルライン。


「……えっと……???」

 混乱するクミルティアに、溜め息をつくエールミケア。


「フェルさーん。正妃ですよー。正妃が歩けないとか、廃人とか、そんなの即追放されますよー」


「じゃあ、どの薬ならいいのよ?」

「薬はやめてくださーい。特にフェルさんの薬はヤバいんですから。……んで、クミルティア。陛下の話は要は『あんなの送り込んでお前ら馬鹿にしてるのか?』というメッセージなの。今は我々を頼みにしてくれてはいるけれど、今後は他の二勢力につくことも考える。そんな最終通告なわけ」


「そ、そうなんですか? 陛下はお優しいですし、とてもそうには見えないのですが……」


「お優しいし、我慢強い方ですけど、セッ〇スもまともに出来ない側室送り込むって、基本的には即縁切り案件ですよねー」


 エールミケアは溜め息をつき

「薬はともかく、リュハの失敗は龍姫様の失敗。龍姫様が陛下に不敬を働いたことになるわ。急に身体が大きくなった、という要素があるにせよ、もうお待たせすることも出来ない。正直レ〇プに近い形でも構わない。とにかくリュハに性交させなさい」


「……龍姫様の恥になることは理解しました。必ずや成し遂げます」


 フェルラインはクミルティアを横目に見ながら

「ティア、優しいミケアがここまで言うことの深刻さをよくわきまえなさいね。私なら毒を盛ってでも事を為すわよ。出来なかった時には……」

 少し目を瞑り


「3人で自害するわよ」

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