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世界に残る龍族

 クミルティアが消えてから、少し物思いにふけっていた。

「……よく考えたら、別に私じゃなくともこの結末になったのでは……?」

 あまり振り返らないようにしていたのだが。


 リグルドの意識があろうが無かろうが、事態は変わらなかったのではないか。


 帝国は滅んだ。

 エウロバ率いるアラニア公国が頂点にたち、公国制度は廃止に向かっている。

 ただ、皇帝としてはそのままでお飾りの名誉職として残ることになった。


 これはエリスを溺愛していたエウロバなら、同じような処遇をしていたはずだ。


 つまりリグルドの意識でいくら努力しても結果は変わらなかった。

 おそらくそうだ。


 ただ違うとしたら宗教。

 リャナンシー信仰を守る為に新しい宗教を作るというのは、エリスは考えないだろうし、教皇もそうだろう。


 ただ

「これに失敗したら、本当に私が来た理由がなくなるな」



 待っていた時間はどれほどだったのか。

 気がついたら目の前にクミルティアと、真っ赤な髪をした、浅黒い肌の少女がいた。


「……タチアナにはあまり似てませんね」

 この真っ赤な髪はあまり見たことがない。染めているのだろうか?


「母親似です。こいつの母親がまあ最悪で」

「母様の悪口を言うな!!! 母様がすべて正しいんだ!!!」


「……まあ、こんな感じで母親に洗脳されていまして。会話はするだけ無駄です。この洗脳術は強力でして。なにしろアラニア公国の諜報が母親ですからね」


「……それで? 無理矢理しろと?」

 どうみても同意で連れてこまれたように見えない。なにしろ縄でグルグル巻きされているのである。


「気絶させますから、穴としてお使いください」

 クミルティア、本当にこういうところがダメだと思う。


「知らない女性にいきなり突っ込むほど困ってるわけではないので……」


「そうなんですか? 女とするなんて、しごく穴があればとりあえずいいのでは?」


 極論すぎる。

「それで良いのならば他にもいますので」

「そうですか。陛下の子ならいい感じに混乱するからいいかなーと思ったんですが」


 いい感じに混乱する。


 その言葉に違和感を覚える。

 始めに聞いたのは「オーディルビス王国の混乱を抑える」目的だったはずだ。


 それの話が変わっている。

 それに元々違和感のある話だった。

 龍姫、龍族はオーディルビス王国とはそんなに関係がない。


 オーディルビスが乱れる心配をするならば、本来は真っ先にタチアナの親友である聖女ミルティアの方だろう。


 そして、この娘の母親はアラニア公国の諜報だと言った。

 つまりアラニアが、エウロバが動かしているのだ。


 アラニアとオーディルビス王国の仲は微妙な緊張関係にある。

 そして龍姫はエウロバ、アラニア公国の後援をしていた。

 つまりだ。本来の目的はオーディルビス王国の混乱をさせるのが目的。ただ、それをそのまま言うと乗り気にはならないだろうと。そのため名目を変えて抱かせようとした。


「……なるほど。私を騙して利用しようとしたと」

 それに「あ、やべ」という顔をするクミルティア。


「騙すなんてそんな」

「まあ、それを責めるほど私も清廉潔白な人間ではないですが」

 龍姫、龍族を無条件な味方だとは思ってはいない。彼女たちには彼女たちの思惑がある。だから多生の駆け引きなどあって当たり前。

 それに自分自身どれだけの人間を騙してきたのか。人を責めれるような生き方はしていない。

 後悔など今更だが。


「詫びとしてお仕置きでもしたい気分ですが、龍族に手を出すわけにもいかないでしょう。アルバラを連れて帰って……」

 帰ってください。

 そう言おうとしたら


「どうぞー」

 間延びした声。


 背後には当たり前のように龍族リーダー、エールミケアがいた。


 それに目を白黒させるクミルティア。


「どうぞーって!? 龍族が男としたら館から追放じゃないですか!!!」

 クミルティアが叫ぶが


「いや、基本的に龍族のみんなは眠りにつくのよ? ただ何人かの若い龍族は結婚とかで世界に残ろうかって話になっていて。クミルティアは若いし、理性も強いし。しかも陛下の側室だか、妾だか。最高じゃん。ちょうどそれ伝えにきたら、なーーーんかバカな事言って陛下に気付かれてるし。あんなアホなことやればそら陛下怒るわ。がんばってお仕置き孕ませセッ〇スしてねー」

 言い終わると同時に消え失せるエールミケア。


 ついでにアルバラもいなくなっている。

 そして呆然と口を開けているクミルティアを見下ろしながら


「こういうシチュエーションなら興奮します。さあ、あなたの言うとおり穴になりなさい」

 そのまま少年のような身体のクミルティアを押し倒した。


「へいかー! まってー! 私はそういうの嫌だから龍族になったのであってーーー!!!」

 そう言うのが嫌だ。


「それはそそりますね」

「無理やりでやる気になるならアルバラでいいじゃないですかーーーー!!!」

 それはそうなのだが


「知らない女を連れてこられて、さあやれ。というほど困ってはないのですが、知ってる女とやっていいと言うならば、それはやる気になります」

 押し倒したクミルティアの首筋を舐める。


「ひゃんっ!」

 色気もなにもない、単なる叫び声。

 押し倒した身体も、女性特有の柔らかさがあまりない。

 引き締まった身体というか筋肉質というか。


 龍族は基本的にはみな筋肉質で、引き締まった身体をしている。

 だが女性らしさもしっかり身にまとっている。


 女性らしさと、筋肉の美。それが両立する龍族。そんな中でクミルティアは女性らしさが全く無く、少年のようにしか見えない。

 とは言え、リュハへの性的な特訓はしていたわけで、知識はある。


 そんな少年のようなクミルティアだが、以前から

「性行為が嫌だからこんな格好しています」とは聞いていた。


 龍族は龍姫と逢瀬をする。それは問題なくするらしいが、龍族は女性同士、つまり龍族同士で逢瀬もする。


 そう言うのは忌避していたようで。

「あと男から迫られるのが嫌でしてー」

 そんなことも言っていた。

 

 龍姫の部下で、乗り気でない女を自分のモノにする。

 その興奮で私はそのままクミルティアに襲いかかった。

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