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サザリィへの寵愛

 エウロバ拘束。

「……する気はないが。だが、このままでは戦争になる」


 公国の連合体である今の帝国は限界。元々はエウロバは帝国の公国制度を破壊し、帝国を一つにしようとした。


 しかし、幼帝として即位した私の治世で帝国はなんとか持ち直しつつある。これで子が生まれれば、この帝国はまだこの体制でいけるのではないか?


 そんな期待も感じはする。

 だが、実際はそれはない。

 帝国本国が小さいままでの、この連合体は続いていたのが奇跡。


 ではどうするべきか。

 それには結局アラニアと同じことを考えないといけない。


 帝国本国が大きくなる。

 公国を併合し、強い国となる。それしかない。

 そうなればぶつかるのは巨大国アラニア。


(でなければアラニアと一緒になるかだ)

 アラニアとの併合。合併。融合。様々な言い方はあるが


「どちらにせよ、以前考えた方針と変わらぬ。三勢力のどれかに着く。それだけだ」


 ちょうど今日はサザリィか。

 アラニアが推薦した側室。

 彼女を正妻にたて「生まれた子を皇帝とする」と決め、その母国を実質的に本国と同一化させる。


 その際にそれを推薦したアラニアも同じように入る。

 当然誰が主導権をという形にはなるが、そこでエウロバを推せば混乱は少ないだろう。


 そうなれば、エウロバとの対立は少なくなる。

 問題は


(そうなれば聖女と争うことになるな)

 エウロバは聖女と仲がいい。

 だが、私が遣わされた目的は「帝国の保持」ではなく「神教の勢力の維持」だ。


 聖女よりの治世で完全に実権を握られるわけにはいかない。


 今は後見人だから表立って神教の弾圧には動いていないが、実権を握れば一気に動くだろう。

 神教の人間を毛嫌いしているのは見れば分かる。


 そんなエウロバに、聖女との絶縁を求めなければならない。


「……サザリィを呼べ」

 どれを選んでも苦難しかない。

 それでもだ。なにかを選び、動くしかない。



 オシャレなサザリィ。

 今回は……なんというんだ。これ。

 肌が透けるような薄い羽衣のような物を纏っている。


 下着も穿いていないのが分かるぐらいには透ける。


「……凄い格好だな。いや、褒めてるんだ。とても嬉しいよ、サザリィ」


「はい! とびっきりの衣装で来ました!」

 ニコニコしているサザリィと、後ろに控えている侍女達。


 エウロバが

「あのバカ女に侍女達にサポートを頼めと強く話をした。教育係も入れるからな」

 と言っていたが、教育係りの人間も確かにいる。


「なんか後ろにいますが、気になさらずに……って、痛い!」

 教育係りがサザリィの髪を引っ張りフルフルと首を振る。


「……す、すみません。皆のサポートを受けながら頑張ります……」



 侍女達はラウレスと同じようにサザリィを抱える。


「いたいっ!!! 力込めすぎよ!!!」

「これぐらいは我慢されてください」


 侍女達と揉めるサザリィに

「サザリィ様。侍女達の指示に従ってください。エウロバ様の御命令です」

 サザリィの教育係が諭す。


 それにギリギリと歯をならしながらも、命令に従うサザリィ。


「まだ濡れておりません。で滑らせましょうか?」

「触んな!!!」

 侍女達が触れそうになった途端に叫ぶサザリィに、教育係りさんはため息をつき

「失礼します」

『スパーーーン!!!』


 なにか紙で出来た棒のようなものでサザリィをひっぱたく。


「いたーーーい!!! なにすんのよ!!! レメルディ!!!」


「侍女達の指示に従え。そんなに難しい話ですか? 濡れてなければ裂けます。陛下を血で汚すおつもりですか?」


「どちらにせよ、純潔でしたら血は出ますが」

「濡れてなければスレます。陛下を痛めてしまいます」


 侍女達もそれに賛同。


「……い、いやよ! 私は自分のペースで陛下としたい……」

「そのペースとやらでいつまでかかったのですか? 私も流石にここまでかかったのは侍女達の教育の問題もあるのだと疑いましたが、もうここまで陛下をお待たせして、誰のせいもなにもありません。私も侍女達に賛同します」


 涙目になるサザリィ。

「いいですか。サザリィ様は確かに王族。それも『洗練された都会の娘』です。なのですがここは後宮であなたは側室。現段階では妾にすぎません。陛下を喜ばせることが第一義です。洗練された都会のなんちゃらとやらは、性行為に慣れてからやってください」


 レメルディの発言に、うんうんと頷く侍女達。


「……じゃ、じゃあどうやるのよ! せっかく色々考えたのに!」

「その服はキッチリバッチリ陛下にガツンといってるんですから、後はサザリィ様だけです。だから侍女達は『唾で滑らせようか?』と提案しているんです。当たり前の話です。いいですか、基本的に妾なんて陛下を喜ばせる穴以外の価値なんてありません。それ以上の付加価値は今後の課題にしましょう」


 なんかワチャワチャしている女達を見ていると


「サザリィ、おいで」

「は、はい!」

 驚いて近寄るサザリィを抱き寄せる。

「都会的か。サザリィはセンスが良くて可愛いからね。そうしたらキスしてくれるかい?」

「……は! はい! キスをさせて頂きます!!!」


 そして、目配せをする。

 するとすぐに伝わったのか、侍女達が動く。


「……えへへ♡ キスも色々考えて来たんですよー♡ まずは唇……って!!! なにやってんのじゃーーー!!!」

 侍女の一人が潜り込んでくる。


「サザリィ。彼女たちはこれが仕事。さあ、キスしよう」

「……ま、まって、陛下! こんな……」

『スパーーーン!!!』

 レメルディが、サザリィに紙の棒で突っ込み。


「待ってではありません。都会的でセンスの良いキスをしてください」


 なんか喜劇みたいなことになっているが、まあこういうのも悪くない。


 そのままサザリィの唇に押し付けて舌を絡める。


「んんんんんっっっ!!!♡♡♡」

 いい匂い。

 それが最初の印象。


「サザリィ、なんでこんないい匂いがするんだ?」

「……あん♡ はい♡ 事前に口の中を1日清めて、その上で香りを付けた蜜水で満たしております♡♡♡」

 なるほど。なんか甘い気もするし。


 そのまままたキス

「んんんんんっっっ!!!♡♡♡」


「サザリィ、今度君が考えた性行為もしような。その服といい、その口といい。とても興奮するよ」

「……っっっ!!!♡♡♡ ありがとうございます!」


「その上で、お互いまだ性行為に慣れていないんだ。ちゃんとサポートは受けるように……準備はいいのか?」

 下にいる侍女に聞くと、そのまま頷く。


 そのままサザリィを抱こうとした瞬間


『ザッッッッッ!!!!!』

 大きな雑音が耳の中で鳴り響き、幻影が現れた。

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