四神女達の居場所
四神女。
以前の彼女たちとは明確に違うところが多い。
「いきなり問答無用で殺そうとするような人格ではなかった。やはりかなり警戒しないとマズいですね」
そしてなにより
「……あんな能力を使われたら、神都にいるだけ脅威でしょう。龍姫のところに移動してもらえるか、少し相談します」
龍姫はハユリを「偽物だ」と断じた。
ある意味そうなのかもしれない。
本人達そのままではない。身体も違う訳だし。
憑依と言っていた。元の身体の影響があることも考えられる。
「……そうしてもらえると助かる。あの連中に寝込みを襲われたら避けようがない」
エウロバが憂鬱そうに言う。
龍姫には迷惑をかけるが、あそこには強力な龍族が大勢いる。
「……困ったらすぐに女性に頼る。リグルドの時からの悪癖だな……」
「えーーーーーーーっっっ!!!」
ハユリ
「せっかくリグルド様とご一緒になれたのにーーー!!! いやですーーー!!!」
リメイ
「あの女! 前の時から怖かったんですー!!! 私はのこりますーー!!!」
ネルフラ
「セックスしましょーよー」
アンリ
龍姫は「こちらからそれを提案しようとしていました。記憶を継承していたとしても、彼女は別物だと思います。ハユリさんだけではなく、ネルフラも私は知っていましたが、あのような性格ではありませんでした」
ネルフラ。
彼女はメイルが龍姫と名乗った後の時代の人間。
ハユリが亡くなった後に、後釜が必要となった。
その時に、神女の役職には付けなかったが女性幹部のトップとして神教の引き締めに動いてもらったのがネルフラ。
ただ、ネルフラは典型的なコネによる出世だったのだ。
王族の血筋があり、国家的な支援があったから若くして幹部になった。
だが、そのコネによる出世という出自のせいか、龍姫と上手くいかず彼女が在任時はかなりな苦労があった。
龍姫は貧民からの成り上がりだし、ハユリも元は孤児。
二人が仲良かったのは、その出自も理由としてあったと思う。
そして龍姫は自分を信仰に誘ったハユリを強く慕っていた。
姉のように、というが本当にそういう仲だった。
その後釜に座ったネルフラ。
王族の血筋で育ちが良い。それは良かったのだが、王族らしく選民思考が強く、また神教の本来の教えである『人外は仇』という教えに執着していたことから、龍姫との仲は良い訳がない。
幸い、ハユリが生きていたときに神教の混乱は収まりつつあったから、ネルフラはそこまでの出番はなかった。
しかしネルフラは神教トップの神皇との仲も悪く、神教最大の後援者の龍姫との仲も悪い。
幹部の中でも慕われるような態度もしていなかったので完全に孤立してしまったのだ。
任命したのは自分なので仲をとりもった。
龍姫は最大限譲歩はしてくれたが、ネルフラとの仲は改善しない。
ネルフラは途中から行事も出ないようになり、私とだけ喋るようになった。
もうこれは完全に破綻していると、神都から離れるようにしようとしたが
「いやです!!! リグルド様から離れません!!!」
と移動を拒んだ。
しかし女性幹部のトップなのに、まともに行事も出ないのは流石におかしい。
仕方がないので
「ネルフラは祈りに専念させましょう。代わりに権限は全て取り上げます」
地位はそのまま。だが完全なお飾り役職で幹部の権限も恩恵もない。
それでも「女性幹部のトップ」なのは変わらなかったので、彼女の支援をしていた国は問題にしなかった。
そしてネルフラはその事に強く感謝し
「ありがとうございます!!! ありがとうございます!!!」
何度も御礼を言われた。
だが、ネルフラはそのせいで表に出すことが出来ず、基本的にずっと室内に閉じ込もっていた。
日を浴びないと健康を害する。
だが、対外的には「常に祈っている」のだ。
あまりフラフラするのもマズい。
その取り扱いに困っていたのだが、彼女はこういう幽閉生活になって二年で深刻な病になった。
幽閉生活で身体の抵抗力が落ちて、病にかかりやすくなっていたようだ。
見舞いに行った時にはかなりやつれていた。
しかし彼女はその状態で祈っていた。
「リグルド様だけが、私の味方です!」
多分本心からそう思ってはいたのだろう。
表に出せず、幽閉生活にして結果的に病に追いやったのはリグルドなのに、最後まで慕っていた。
そして、闘病生活から一年で亡くなった。
それ以降は女性幹部を前に出して聖女と対抗ということはしなくなった。
流石にハユリとネルフラの二人の立て続けの死は堪えたのだ。
そんなネルフラ。
(記憶もそうだし、本質もネルフラだ。問題は細かいところが違う。ハユリと同じく選民思考が強すぎる……)
元々ネルフラは王族だから選民思考が強い。
しかし、それは王族としての選民だったはずだ。
今は違う。
口々に不満を漏らす4人に
「あの行為は皇帝の暗殺未遂に近い。宮殿であんな力を振るわれたら、この帝国は更に乱れる。ここにいるべきではない」
「そんなー」
「じゃあリメイだけ移動ということで」
「ふざけんなーーー!!!」
「そんなことよりセックスしましょーよー。リグルドさまぁぁ」
セックス、セックス言うアンリ。
ああ、そうだ。
「……そうですね。アンリは後宮に入りますか?」
後宮。
それにキョトンとする4人。
「それぞれの目的は分かりません。しかしアンリは私の性交を望むというならば側室になりなさい。今は3人いますが、一人増えても問題ない。そして、リメイは龍姫のところに必ず行きなさい。残るハユリとネルフラはどうしますか?」
「わーい!!! リグルド様とセックスしまくりってことですよね!!! さいっこうです!!! 喜んで!!!」
ハシャぐアンリ
「ず、ずるい!!! じゃあ私も!!!」
興奮するハユリに
「後宮に入ったら出れませんよ。外出は認めません。後宮内には庭もあるから健康は害しませんが、一度入れば出かけることは許さない。それが後宮の掟です。それでは困るのでは?」
「!!!???」
それに顔を歪めるネルフラ。
彼女はその苦痛を知り尽くしている。
「アンリは多分任務を理解出来ない。それに側室になることも私の手助けということにも繋がる。子を為すことは、皇帝の権力強化に繋がりますから。アンリの身体は結婚適齢期でしょう? アンリは最初から性交の話をしていた。だから構いません。でも四神女全員ここから出れなくなったら困るのでは?」
黙るハユリとネルフラ。
私はリメイの前に行き
「あなたは龍姫の所に行きなさい。この二人と違い、龍姫とは面識がない。上手くやれるはずです」




