はじまりの恋
あなたは元気ですか?
あなたは何をしていますか?
あなたは私を覚えていますか?
あなたは恋をしていますか?
私は今でもあなたに恋をしています。
今でもあの時と変わらない恋を・・・。
あなたと出会ったのは約十年前。
それまでいろんな人と出会い、付き合ってきた。
でもいつも心のどこかにあなたがいた。
私を呼ぶ声が今も懐かしい。
たとえあなたが遊びだったとしても私には本気の恋だった。
今でもあなたのそばにいたら何か変わっていたのかな。
今でもあなたのそばにいるのかな。
あなたの笑顔を見てるのかな。
そんなことを考えて、後悔してる自分がいる。
あなたに逢いたい。
夢でもいいからあなたの笑顔に逢いたい。
私はあの頃まだ十代だった。
まだ世間のことは何もわからない子供だったのかもしれない。
いつもあなたの周りには笑顔が溢れてて、遠くから見ているだけであなたに惹かれてる自分がいた。
あなたと出会えたのは共通の知人の紹介。
「どうも」
初対面の人が苦手な私は何を言っていいのかわからずにとまどっていた。
「名前は?」
気さくなあなたは笑顔で問いかけた。
「草加です」
慌てて答えた私に
「名字は?」
笑顔で私に聞いてきた。
「草加です」
くすっと笑ったあなたは
「草加草加って言うんだ。珍しいね」
ってわかってるのにわざとらしく言った。
「いえ。草加美和です」
うろたえた私を見て、大笑いしてた。
「俺は神田京司。よろしく」
それからあなたと話すようになり、親しくなり、ますます惹かれていった。
一緒にいると楽しくて京司といると時間が過ぎるのを早く感じた。
そのころあなたに妻子がいることを知ったけど、知らない振りをしたの。知りたくなかったから、現実から目をそらしてた。
奥さんがいない時あなたは家に招待してくれたけど、行かなければと思った。なぜなら玄関には二人の結婚式の写真、部屋には子供の写真が飾られていたから。
私は何も知らなかったけど、必死にあなたを誘った。大人のあなたにはバレバレだったみたいだけど、写真から目を逸らすように私はあなたに抱かれた。
暖かくて引き締まった体。
初めての感触。
目が開けてられなくて、あなたを体で感じてた。
京司の運転で道を覚えて一人でも行けるようになるくらい通った。
たまに苦手な料理を作ったり、ビデオを見たり、幸せな時を過ごした。
京司は別れてくれると言ってくれた。
それが本気なのかその場の嘘なのか今でもわからないけど、その時は嬉しかった。
すごく嬉しかった。