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頑な少女は竜の騎士に暴かれる?!  作者:


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51.あかい竜の叱責


「せっかく楽しかったのに、何怒ってん」


ー 緊張した初めての任務がとりあえず無事に終わって、ミラにもたくさん褒めてもらえて美味しくて楽しくて幸せな気分だったのに!!



いい気分を邪魔されて文句を言おうとしたその時。



柔らかな感触が唇に触れた。

何が起こったのか理解できず目を見開く。と、すぐ目の前のあかい綺麗な瞳と目があった。




「……んんっ!??」


流月は咄嗟に体を離そうとするが、いつの間にか後頭部を抑えられていて逃げられない。


「んむ!!むーーー!!!」


ロキの胸元を押し返すがまるで効いていない、と言うか丸無視の態勢だ。それどころか僅かに離す唇を角度を変えて合わせてくる。


ー キス、されてる?!なんで??


事実を理解しても意味は分からない。意味のわからないまま目を白黒させているとふいに唇を食まれた。自分の意思とは無関係にぞわぞわと全身が粟立つ。このまま流されるのはマズいと本能的に感じ取った流月は何とか抵抗を試み、


ガリッ


「いっっ!!!」


控え目、とは言い難くロキの唇に噛み付いた。



唇から滲む血液を親指で拭い、すぅっとあかい瞳が細められた。

暗闇の中、月の光に照らされた瞳が光っているように見えて、えも言われぬ色気にぞくりと背筋が震える。が、負けてはいられない。



「なに、すんの「危機感持たないなら次は襲うって言った筈だけど?」


叙任式の時にロキが言っていた。危機感を持てとも何度も色んな人から言われた。

それでも、『元の場所』では特段気にすることも無かったし、そのままの心づもりでいた。いてしまった。




「酔っ払って男所帯を平気で彷徨くとか流石に文句は言えないだろ。騎士団内だって変な奴は居るんだ。今日だってブローベル卿がどんな人間なのか分かってないのに、おっさんが行ってなかったらどうなってたかちゃんと想像出来てる?」



怒りをはらんだ低い声に反論するほどの理由はない。

『向こうでは大丈夫だったから』だけだ。『ここ』ではそう言う危険性があると、教えてくれたにも関わらず本気にしなかった自分は正当化できない。




「騎士団長以前に、女である事ちゃんと理解しなよ」

「そんなっ………」


ー そんな事言われたってどうしようもない!



反射的にそう反論しようとした。

子供の姿(弱い立場)で生きてきたロキにとって、どうしょうもない事など数えられない程あったのだろう。

だからこそ流月を本気で心配してくれている。流月にも漸くその真剣さが理解できた。

流月より流月のことを心配してくれていたロキや、恐らく同じ感情を持ってくれていたセルジュに申し訳なくなって、流月はワンピースを握りしめ俯向いた。



「…………ごめん、なさい」


しょんぼりと反省したであろう様子を見たロキは小さくため息をつき、あえて軽口っぽく声をかける。



「はい、これで警告八割はおしまい。早く部屋入りな」



「…………………………あ、との二割は?」


まさか突っ込まれるとは思っていなかったロキは目を真ん丸くした。流月は拗ねているのか泣きそうなのか、何とも言えない表情でロキを見つめている。どうせ酔っているのだろうと、ロキは誤魔化すことを諦めた。



「あとの二割は…………あんな可愛いかっこしておっさん共の前に出てくる流月への八つ当たり。無理矢理やな事してごめん」



流月が警戒していないか確認しながら、わざとらしい程ゆっくり一歩前へ出る。流月はその場から動かなかった。


流月の唇を手の甲で優しく拭う。

元団長代理の事が好きな彼女にとっては不本意だったであろう。ロキは黙って親指で桜色の唇をなぞった。

黙ったままの流月の顔を見るとぷるぷる震え耳まで真っ赤に染まっていた。



「手、つきがヤラシイ!!ロキのバカっ!!!」



そう言って流月は両手で唇を隠し、数歩後ずさった。距離は取ったものの警戒も嫌悪も感じられない態度にロキは安堵して笑う。

笑いながら自分の感情を押し付けることしかできない成長のなさに嫌気が差した。流月を傷付けたあの時と何も変わっていない。流月の左頬に残る傷が目につき、苦しくなった。




どんっ


突然の衝撃に見下ろすと、何故か数歩距離を取ったはずの流月がロキへ抱きついていた。行動の意図が読めず、触れていいものか迷い、ロキは両手を浮かせた。


「…………流月?」

「心配してくれてありがとう……」

「ん」

「いきなりで驚いたし、無理矢理だったけど」

「……ん」




「…………や、じゃなかったよ。だから、そんな顔しないでよ」


最後はロキの胸元に顔を埋めての台詞だ。

ロキじゃなければ聞き取れなかったであろう小さな呟きを残し流月は自室へ走っていった。




「あーーーーー……くそ、ズルい奴……」


ロキは赤くなった顔を両手で覆い呟いた。

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