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頑な少女は竜の騎士に暴かれる?!  作者:


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46.出逢い


「……おねーちゃん、あたらしいきしだんちょーさんなの?」



ソフィアと名乗る少女は流月に抱っこされ、すっかり落ち着きを取り戻していた。

流月が庇いはしたものの、水色のドレスの裾が濡れてしまったためこのままソフィアの宿泊している部屋まで連れて行くところだった。


「そうなの。凄いね、そんなことまで知ってるの?」

「父さまとおじさまがおしえてくれたのよ」


泣いているソフィアに気を取られ、連れがいることを失念していた。


「大変、ソフィアちゃんのお父様か伯父様に一声かけてこなくちゃ……」

「大丈夫よ。おじさま、好きにしてていいって言ってたもん」



来賓者がそんなに自由にできるものなのか、と不思議に思うがこの国の常識を知らない流月はとりあえず黙って頷いておく。

セルジュに説明された来賓者向けの宿泊棟へ向かおうとしたところ、ソフィアのストップがかかった。


「おねーちゃん、違うの!こっちよ!」


ソフィアが指差したのは主催者の住まう本館だった。


「え、ソフィアちゃん、お客様じゃないの?」

「ソフィアのおじさまが『ほすと』なのよ!」


ソフィアは自慢気に流月に伝える。


ー この場合のホストは主催者ってことだよね。確か元老院側の主催だったような……じゃあソフィアちゃんは関係者??


元老院側の人間とは極力関わりを持つなとセルジュからお達しが出ている。



「…………おねーちゃん?」



考え込む流月へソフィアが声を掛けた。くりくりした空色の瞳で流月を見つめる。

いや、関係者とはいえ相手は子供だ。この場合は致し方無いだろう。

流月は意を決してソフィアの指示するまま右へ左へと廊下を進んでいった。




「ここよ!おねーちゃん!」


ソフィアはある扉の前で流月の腕からぴょんと飛び降りた。


「わっと!………一人で大丈夫?」

「ふふ、侍女がいるから大丈夫よ」


流月はソフィアの前でしゃがむと、ブロンドの頭を優しく撫でる。


「ドレス、守ってあげられなくてごめんね」

「ううん、いっぱい助けてくれてありがとう。きしだんちょーさん」


ソフィアはにっこり笑うとスカートの裾を持ち上げ可愛らしくお辞儀をし、そのまま扉の中へ入っていった。

ソフィアが部屋へ入ったことを確認し、流月は満足して踵を返す。




「さてと、戻らなくちゃ…………あれ?どっちから来たっけ???」




……………………





『おいっ、誰か応答を!』


いつもの警護より次から次へ来る令嬢達をなんとかあしらってセルジュはようやく廊下に出ることができた。いつからか通信器は無音のままだ。急にホール内の人数が増えたような気さえする。流月も他の隊員の姿も見当たらない。

大声を出すことも闇雲に走る事もできず、焦りだけがじわじわと募っていく。



「おっさ…………んんっ、隊長」




振り返るとこちらも焦燥を滲ませるロキの姿があった。

珍しい呼び方なのは人目を気にしてだろう。



「ロキ…………流月は?」


何を言われずとも流月から離れる事はしないであろうロキの傍らに、流月の姿はなかった。


「トラブルがあってはぐれた……フォロー呼びかけたんだけど、応答が無いことに気付けなかった……悪い」

「いや…………『音』は?」


ロキが苦い顔で首を振り、耳を手の平でトントンと叩く。


「ホールにはいなさそうって事しか……なんかやたらガチャガチャしてて上手く聞き取れない」

「気配とかは追えないのか?」

「『アッチ』なら余裕なんだけど、こっちじゃ音が拾えないと無理…………ちょっと見てくるか……」

「駄目だ。リスクがでかい」



「じゃ、どーすん………」



手っ取り早く確実な方法を否定され、ロキは唇を尖らせ文句を言おうとして止まった。セルジュが無言で目を瞑っていたからだ。非常事態らしからぬ様子にロキは思わず苛立ちを覚える。

が、セルジュの握り締めた拳に異様なほど強い力が込められていることに気付いた。


「おい……」


そう声をかけた瞬間、セルジュの魔力が大きく揺らいだ。

ゆっくりと目を開けるセルジュの瞳には、見たことのある独特な模様が浮かんでいる。


「アンタ、何した?その目は……」


アイスブルーの虹彩が金色に染まっていた。十字にくっきりと模様が入っており、その周辺に二重の輪が浮かんでいる。それは竜の持つ瞳と同じ物だった。



「感覚に限定して能力を使った……これなら流月の気配が追えるはずだ」



後は頼む、と言い残しセルジュは本館の方へ向かっていった。



「そんないいとこ取りがありなワケ?……(オレ)より使いこなすとか、どーゆーことだ、ったく……」







………………………






「お嬢さん。もしかして迷子、かな?」



闇雲に歩き続ける流月の背後から穏やかな声がかかった。

流月は驚いて振り返るが声の主は見当たらない。


「こっちだよ。さっきからこの辺うろうろしてるの何度も見かけてて。もっと早く声をかけてあげればよかったね、ごめんね」


声の元を追って頭上を見上げる。

そこにはウェーブのかかった柔らかな金髪と空色の瞳を持つ男性が、人の良さそうな笑顔を浮かべていた。

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