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頑な少女は竜の騎士に暴かれる?!  作者:


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23/64

23.その熱さは


「は?!!帰る家がない??!!」



王城へ戻りロキはちゃんとした処置のためミラに処置室へ連れてかれていた。セルジュと流月は処置を待つ間、休養室で待機していた。そしてロキの話になった。


「うん…馬車の中で言ってたよ?セルジュ聞いてなかったの?」

馬車の中は大人気なくも、ロキの流月に対する振舞いに振り回されていたため、会話なんてイチイチ聞いていなかった。が、それを悟られまいと誤魔化す。

「あ………あぁ、ちょっと考え事してて。それにしてもアイツ、城下の外れに住んでて今は両親が旅行に出かけてるって言ってた癖に……」



「両親はずっと前に亡くなったって、物を売りながら宿を転々としているって言ってたの。今日も買取って貰ったあとに襲われちゃったんだと思う……」

セルジュは流月の話を聞いて考え込む。


確かに国中の孤児の管理はまだできてはいない。孤児院で登録されていない子供達も大勢いる。地方で見た子供達の生活はもっと深刻だった。

そんな子供が宿で生活出来るほどの収入をどうやって得ている?ロキもせいぜい14、5歳だろう。何か裏があるのか…



ふと、視線を感じて顔を上げる。

流月がキラキラした目を向けていた。

その顔を見て今までのロキの話と流月の性格と、何度か見たこの顔から何を言われるのか想像ができてしまった。『両親を亡くして独りぼっち』のロキを流月が放おって置けるはずがない。


「だから、暫くここに置いてあげることはできないかな」


ーやっぱり…


盛大に溜め息をつきたい気持ちをぐっと我慢する。

騎士団関係者が巻き込まれた事件の被害者で、未成年で、行く場所がない。それならばまずは騎士団で保護するのが当然の事だ。更に不審な点が多い。暫らく様子を見て自警団か孤児院に引渡すのが定石だろう。


それなのに溜め息をつきたくなるのは、全てセルジュの大人気無さのせいであることも自覚している。

ロキは明らかに流月に対して特別な感情を抱いている。

ロキの素直な感情を見るとどうしてもモヤつく感情が制御しきれず顔を出してしまう。

更にセルジュへの敵対心が余計に感情を逆撫でする。流月絡みかと予想はするが、流月とセルジュの間に何があるわけでもないし、ありようがないと自分で分かっている。


ー俺は流月へ向う感情を気にする資格なんてないのに…


「……未成年で家がないと分かった以上、そのまま帰すことはできないな」


やったぁ、ありがとう!と流月が自分の事のように微笑む。一先ずはこの笑顔が見れただけで良しとしよう、と既に手遅れな感情で余計な思考に無理矢理蓋をした。


「それにしても……迷い猫が捨て猫を拾ってくるとは…」

セルジュの呟きを流月は聞き逃さなかった。

「もー…猫扱いしないでよ!!」

そう言って左手でセルジュの肩をポカっと殴る。



違和感に流月の左手を掴んだ。



「え、何??怒った??」と流月が目を丸くしているがセルジュの耳には入らない。


ーわざわざ左手で?右利きだろ

 そういえばさっきから右手を隠してなかったか…?


流月はセルジュの左側に居た。当然右手の方が殴りやすいはずだろう。そう思い流月の右手を掴む。


「痛っ…」


流月の声が漏れた。一瞬の驚きの後、じろりと流月の顔を睨む。不自然に目線を外されたが、その顔は気まずそうに引きつっている。そのまま隊服の袖を捲る。右手首が赤く腫れていた。流月はそれでも目を合わせなかった。

セルジュは流月の手を離すと何も言わずに休養室を出ていった。




セルジュが出て行ってから流月は袖を捲り手首を見てみる。

馬車でこっそり確認した時より腫れが酷くなっていた。バレる予定の無かった流月は小さく溜め息をついた。



ーなんでバレちゃうかなぁ…また怒らせちゃった



休養室の扉が開いた。慌てて袖を戻す。振り返るとセルジュが部屋に戻ってきたところだった。何やら白い紙袋を持っている。そのまま流月の正面に椅子を運び、静かに座った。


「手、出して」


数秒を要したが、手当をしてくれるのだと理解し流月は慌てて腕を出した。


セルジュが袖をめくり上げると流月の白く細い腕が露わになった。セルジュは流月の右手をそっと掴むと、怪我の様子を診るために優しく手首の可動を確認する。

「結構腫れてる…痛かったんじゃないの?」


「ぜ、全然!気づかなかったよ」

本当はずっと痛みがあった。だけど嘘をつく。


「セルジュ……なんで分かったの?」

手首の確認が終わったのか、セルジュの大きな手が流月の腕に触れ、腕の内側を上向きにするよう動かした。

普段は隠れている場所だからなのか、まじまじと見られて変に恥ずかしくなる。大事そうに包み込む掌の熱が余計に緊張感を煽った。



「……見てたからな、分かる」



そう言いながらセルジュは親指で白い腕の内側をなぞる。

筋を痛めたのか、触れられて痛む場所があった。

だけど痛みよりも、皮膚の分厚くなった少しざらつく指が腕を優しく這う感覚が落ち着かなくて、息が詰まりそうになる。ぞわり、と躰が震えた。

それを痛みと勘違いしたのかセルジュが真剣な眼差しを流月へ向けた。アイスブルーの瞳と視線が絡む。



その瞬間、ぶわぁっと全身の血液が沸騰した気がした。


ーズルい……


赤く染まったであろう顔を見られたくなくて、左手で顔を覆う。



「……あ、暴かない…でよ……」



セルジュはきょとんとした後、くくっと笑いながら流月が反応を見せた場所を中心に湿布を貼り、包帯を巻き始めた。


「キミが思ってるよりキミのこと分かってるよ、皆」


セルジュは流月の反応を、『見透かされたから拗ねている』と思っているようだ。くるくると丁寧に包帯を巻き終え、テープで止める。そして流月の手を開放した。

「いい加減怪我を隠そうなんてすぐバレる事は諦めるんだな」


まだセルジュの顔を見れない流月は、顔を逸したまま小さな声で「ありがと」と呟く。セルジュは何も言わずに後片付けを始めた。

セルジュにバレないように包帯の巻かれた右手にそっと触れる。

あんなに緊張したのに、優しく包む大きな手が離れて、その熱が引いてしまうことが少し寂しい。

沸騰した血液と共に体中を巡るその熱さが何なのか、流月はまだ気付かないふりをした。

またまたお付き合い宜しくお願いします。


色気!を目指しましたが…精進致します。

いや、セルジュ隊長色気出しちゃ駄目な人ですね…


可能な限り毎日更新頑張りたいですが、そろそろ際どくなってきました…

更新の際はお付き合い頂けると嬉しいです

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