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ゾンビが蠢く世界  作者: ありがとう君
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第44話 ありがとう

「・・・あの~ナイフがめっちゃ刺さってる様な気がするけど・・・当然痛く無いんですよね・・・」


右胸に深々と突き刺さるナイフを指差しながら慎吾は血塗れの瑠偉ちゃんに聞く。


「な”あぁぁぁに”イィィィか”アァァァァァ」


『何が?』と聞き返す様に呻く。


「・・・こ・れ・で・す・や・ん・・・」


右胸に刺さるナイフの柄をチョンチョンっとリズム良く指で弾いて教える。


「た”アァァァい”イィィィじ”イィィィふ”ウゥゥゥう”ウゥゥゥゥゥ」


『大丈夫』と呻くと下を向き、刺さるナイフに目線を移すと左手で柄を握り『ブチッブチッ』と血と肉が擦れる音をさせてナイフを引き抜くと無表情で突然左胸も刺す。


「「・・・・・・・・・・」」


慎吾と希唯依は何も言えず左胸に新しく刺されたナイフをガン見する。


「た”アァァァい”イィィィじ”イィィィふ”ウゥゥゥう”ウゥゥゥゥゥ」


『大丈夫』と再び呻く。


「・・・・・はい大丈夫です・・・問題は無いです・・・」


「・・・・・瑠偉ちゃん姉さんは・・・大丈夫っス・・・」


予想外の信じられない行動に声のトーンを最小にして出すと、瑠偉ちゃんは2人の声が聞こえなかったのか納得していないと判断したのか左胸に刺したナイフを引き抜くと今度は首に刺そうとしたので慎吾と希唯依は慌てて止める。


「・・・もう分かったから・・・瑠偉ちゃんは大丈夫大丈夫や、ナイフが身体に刺さっても痛く無いし全然大丈夫・・・勿論首も他の部位も刺さなくても全然大丈夫やで・・・」


「・・・そうっスそうっス・・・瑠偉ちゃん姉さんは身体に穴が空くぐらいは平気っス・・左胸刺すとか心臓っスから・・・」


慎吾と希唯依は必死に納得すると瑠偉ちゃんの無表情で自分の身体に次のナイフの先端を突き刺す行為を止めさせる事に成功する。『キツいな瑠偉ちゃんの身体にナイフが刺さるのも・・・それに自分で自分を刺すのもキツい・・・全然平気で痛覚無いみたいやけど・・・』も思っていた。






「それじゃあ~、瑠偉ちゃんお食事はちょっと待って愛車ここに持って来て瑠偉ちゃんのお食事中に配送車の荷物積むから」


慎吾はそう言うと3人で愛車まで戻り取って来ると配送車のリアドアに愛車をバックで駐車させる。


「はい、瑠偉ちゃんお待たせ~そしたらお食事どうぞ~」


愛車から降りるとそう話し希唯依と2人で配送車の荷物を積む作業に入る。瑠偉ちゃんは配送車の運転席に向かうと新鮮判定したフロントガラスから頭を突き出して絶命している若い男の死骸から引き千切り砕きながらお食事を始める。







「おっ!瑠偉ちゃん早いなお食事終わったのね、もう少し待ってて後少しやから」


慎吾と希唯依は汗だくになりながら段ボールを積んでいると血塗れの瑠偉ちゃんが無表情で立っていて一言入れる、それから暫く無言で積み込みを続けると愛車の後部座席が段ボールで埋め尽くされた。


「ふぅ~希唯依お疲れやったね、愛車パンパンやしこれで終了しよか、配送車にまだ段ボール残ってるけどしゃーない諦めよ」


「はいっス、分かったっス、これだけあれば数ヶ月はいけるっスね」


「せやな、俺達の中に大食いおらんしな、瑠偉ちゃんは必要無いしな」


「そうっスね、瑠偉ちゃん姉さんはカップ麵とかお菓子食べないっスからね」


そんな会話をしながら愛車に背中を預けて疲れた身体を癒す。


「よしっ!そろそろ俺は大丈夫やから希唯依は疲れてたらまだ休憩しといてええよ?、俺は瑠偉ちゃんの洋服がすんごい血塗れやから着替えを手伝うわ」


「はいっス、すんませんっス、もう少し休憩させて貰うっス」


「うん!ええよ」


それから血塗れの瑠偉ちゃんを呼ぶと背負い袋から新しい猫のモコモコフードの洋服を取り出すと無表情無抵抗のバンザイ状態の瑠偉ちゃんの着替えを終わらす。瑠偉ちゃんが先程のナイフの傷は完全に治っていて痕も消えて奇麗な人間の肌に再生していた。


「はい、瑠偉ちゃんの着替え終わり、べっぴんさんなったよ」


着替えさせ顔をタオルで拭き終わる。


「あ”アァァァり”イィィィか”アァァァと”オォォォう”ウゥゥゥゥゥ」


『ありがとう』と呻き声で礼をする。


「どういたしまして!」


初めての瑠偉ちゃんの感謝の言葉にめちゃめちゃ内心喜んだが慎吾は冷静な顔で対応する。


「うおっ!、瑠偉ちゃん姉さんが今慎吾の兄貴にありがとうって言ったスよ、ねえ~慎吾の兄貴聞いて無かったんスか?、私は聞いたっスよ!!」


愛車に背中を預けて休憩していた希唯依は凄い反応で慎吾に問いかける。慎吾は『ほほ~ありがとう警察がこんなとこにおったんやな・・・』と慎吾の中で何か細かい事を追求する人を○○警察と呼ぶどうでもいい癖があるので、その癖が発作的に出て訳の分からない事を頭に浮かべてしまう。


「ああ~そうやったかな?」


『そんなん分かってますけど!!』と100%同意するが冷静を保ち頑張ってクールに何故か返してしまった。


「そうっスそうっス、瑠偉ちゃん姉さんの成長は私は嬉しいっス、慎吾の兄貴にありがとうってお話されるとか私はめちゃめちゃ嬉しいっスよ~」


凄い喜んで笑顔を弾けさせて興奮気味に自分の事の様に話し終える。


「ああ~そうやな!」


「瑠偉ちゃん姉さん凄いっスね、私はめちゃめちゃ感動したっスよ、物凄く成長されたっスね、瑠偉ちゃん姉さん最高っス~」


「そ”オォォォう”ウゥゥゥか”アァァァな”アァァァァァ」


『そうかな?』と希唯依の熱量の高い質問に、瑠偉ちゃんは頭に浮かび自然と出た呻き声なので実感はあまり無いらしい。


「そうっスよ、誰かに助けて頂いたり何かして頂いたら感謝のありがとうはめちゃめちゃ大事で大切な事っスから瑠偉ちゃん姉さんは成長が本当に凄いっス凄いっスよ~」


「わ”アァァァか”アァァァた”アァァァ、あ”アァァァり”イィィィか”アァァァと”オォォォう”ウゥゥゥゥゥ、い”イィィィう”ウゥゥゥゥゥ」


『分かった、ありがとう言う』と希唯依に呻く。


「そうっスそうっス、どんどん言って行きましょう瑠偉ちゃん姉さん!ありがとうは大切っスからね」


「わ”アァァァか”アァァァた”アァァァ」


『分かった』と呻く。希唯依は嬉しさに興奮MAXで瑠偉ちゃんと話を続けている。『希唯依さん・・・俺のチョイ前のクールに答えた「ああ~そうやな!」完全無視で瑠偉ちゃんと話始めちゃったんですけど・・・俺ちょっと恥ずかしいんですけどね・・・まぁ~瑠偉ちゃんと希唯依が楽しければ良いんですけど・・・でも君無視してましたけどね・・・』と一瞬考えるが、すぐに忘れて楽しそうに会話する2人を慎吾は微笑ましく見守る。






「んっ!?」


「またっスか!?」


瑠偉ちゃんと希唯依がありがとうトークが盛り上がりそれを眺めていた慎吾は瑠偉ちゃんの右腕が反応するのを確認して希唯依も当然気付く。







「お~い、そこの人達~~ここらで3人組の若い男見掛けて無い?」


長髪を後ろで縛り右手に鉄パイプを持つ30代ぐらいの男とその横で茶髪で右手に登山用の杖を持つ20代ぐらいの2人組が慎吾達を見ながら歩いて来る。


「いや、知らんけど」


先程瑠偉ちゃんが始末した3人組の事と想像出来るので慎吾は面倒で答える意味も無いので嘘を付いておく。このゾンビの世界なので武器所持も容認する。


「そうなんやね、こっちの地域見に行かせた若い奴等が待ち合わせ時間を過ぎても来ないもんでね?探しに来たって訳なんよ、悪いね突然話しかけて兄さん達」


「見てないし知らんな、とりあえず止まろか?」


「あ~あ、わりぃわりぃ仲間意外と話すのが嬉しくて久しぶりでわりぃなお兄さん」


2人組は慎吾達と数メートル先で動きを止める。希唯依は木刀を握りしめ警戒して慎吾も金属バットを肩に担いで相手の様子を伺っている。


「お兄さん達が見てないならしょーがねぇ~な、どこかで行き違いにもなったかな?所でこの配送車の残りの荷物はもういらね~の?」


長髪の男がコンビニ配送車と慎吾達の車の後部座席のコンビニロゴの入っている大量の段ボールを見てから聞く。


「あ~あ、見ての通り俺達はもう積めないからお好きにど~ぞ」


「わりぃな兄さん、おいっ誰か呼んでこれ運ばせろ?」


長髪は慎吾に礼を言うと隣の茶髪に指示を出す、すると茶髪はスマホを取り出すと連絡を始めるすぐに先程瑠偉ちゃんが始末した黄色Tシャツのお食事現場の残っていた血塗れで破れて原型の分からなくなったジーンズのポケットから着信音が鳴り始める。



















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