第43話 普通
「よしっ!お食事は食べてええよって事でしょ?、そしてお遊戯は襲ってええよって事?瑠偉ちゃんこれで分かった?」
「わ”アァァァか”アァァァた”アァァァ」
『分かった』と呻く。
「希唯依もこんな感じで一応覚えといて!」
「はいっス、分かったっス」
慎吾はタナカスポーツから拝借した木刀を後部座席に収めて次のスポーツ用品店に向かう道中に思い付いた言葉を何度も繰り返して説明して、助手席に座り膝の上の瑠偉ちゃんと運転席の希唯依を見て瑠偉ちゃんが覚えたと解釈して話を終える、次の目的地まではナビ通り順調に行けば20分弱だが進行中の道は見慣れた光景で事故車や肉の塊が道を塞ぎ邪魔をして減速や迂回を強いられる。
「慎吾の兄貴、あそこにコンビニの配送車が事故ってるス?」
暫く走らせていると希唯依が話す。慎吾が視線を移すと地面の肉の塊にタイヤ痕と周囲の地面にスリップ痕を残して停車している車両の横っ腹に正面から突っ込んでフロントバンパー、フロントガラスを大破させ横転しているコンビニ配送車が衝突している。
「あらま、残念可哀そうにあれは死んでるな~それじゃあ~ちょっと荷物拝借しとこかな?」
全然『残念でも可哀そう』とも思っていないが一応口に出す。
「分かったっス」
慎吾はフロントガラスを突き破り上半身を車外から放り出し血塗れで動かない人間と配送車のリアドアが開いてるのを確認すると希唯依に停車するように指示する。愛車から降りると慎吾は金属バット、瑠偉ちゃんはピンクのランドセル、希唯依は木刀を準備すると大破しているコンビニ配送車に瑠偉ちゃんの右腕が反応していないのを見て歩き出す。
「慎吾の兄貴、こいつシートベルトもしてないですし作業着も着て無いっスね」
フロントガラスから突き出している茶色で長髪の軽装の若い男の血塗れの死体を見ながら希唯依が言う。
「まぁ~どうせどっかでパクるか奪うかして途中で事故ったんやろな、それとシートベルトはちゃんとしやなあかんな俺はしやんけど」
慎吾は死体をチラッと見ると感情の無いトーンで言う。それから配送車の後部に回り開いているリアドアから覗くとカップ麵、ペットボトル、嗜好品などの食料が積まれている。
「それじゃあ~、チャッチャッと拝借しよかな?・・・んっ!?・・・」
慎吾は横で歩く瑠偉ちゃんの右腕が動くのを見ると。
「に”イィィィんンンンンけ"エェェェんンンンンンン」
『人間』と呻く。右腕も慎吾達が愛車を停車させた逆方向に瑠偉ちゃんは突き出している。
「あらま!」
「どうするっスか、慎吾の兄貴?」
「まぁ~殺す前提で行こかな」
「はいっス」
すると瑠偉ちゃんが右腕を突き出す住宅の壁の奥の方向から話し声が近づいて来る。
「この肉の塊で滑って事故ってるわ・・・これはあかんわ死んでるわ」
「遅いと思ったらやっぱりタロちゃん・・・手間掛けさせるわ」
「早くしやんとゾンビ来るかも?」
「そうやな、まだ叫び声も聞こえやんから早く荷物持って行くか」
「俺車取って来るわ・・・・・あっ!?何あの金髪と特攻服の女と女のガキは?」
「ほんまやん、何あいつらそれに特攻服って嘘やろ・・・今昭和ちゃうで笑える」
「は~い、君達~これは俺達の物ですよ~さっさとどっか行ってや~じゃないと痛い目見るよ~」
事故した配送車の仲間らしき3人の若い男達は仲間の死体から配送車に考えが移ると慎吾達を見つけて慎吾と目が合う。舐めた口調で真ん中の黄色のTシャツ姿の若い男はジーンズのポケットからナイフを取り出すと歩調を緩めながら近づくと止まる。その態度に反応して残りの2人も手にナイフを持って慎吾達を一定の距離を取る。
「・・・痛い目か、じゃこっちはどっか行かなお前ら死ぬよ?」
慎吾は『こんな言葉で離れる訳無いでしょうけど・・・』を思うが手前の黄色のTシャツに話す。
「行くわけね~だろ、このクソボケが~こっちがお前ら殺すわ」
黄色のTシャツの若い男と他の2人も慎吾の言葉を聞いて戦闘モードに入る。
「じゃ~瑠偉ちゃんお遊戯どうぞ?」
慎吾は黄色Tシャツの言葉を『はいはい、ですよね』と無視すると瑠偉ちゃんに話しかける。
「い”イィィィい”イィィィの”オォォォ」
『良いの?』と呻くと、無表情で慎吾の横で立っていた瑠偉ちゃんは慎吾に確認する。
「うん、良いよ一杯お遊戯してきて!」
「わ”アァァァか”アァァァた”アァァァ」
慎吾に確認した瑠偉ちゃんは『分かった』と呻くと普通に歩き出す。呻き声を聞いた3人組は『ビクッ』と同時に身体を震わす慎吾から瑠偉ちゃんに視線を移すと歩いて向かって来るのを呆然と見ている。
「・・・な、な、何ださっきの呻き声は?・・・このガキか?・・・」
「・・・おいっ!ガキでも関係無い・・・ヤるぞ・・・」
「・・・舐めやがって~このガキがぁぁ俺がヤ・・・・・・・」
先頭の黄色のTシャツの若い男は最後まで言葉を言う事は無く目の前に迫って来た瑠偉ちゃんが飛び上がると両肩にドス黒い爪を突き立てると痛みで顔が上を向くと空いた首筋に顔の半分以上広がった口が触れると首の半分が消失して傷口から血の噴出が始まる。
「「・・・・・えっ?・・・・・」」
残りの2人は同時に声を出す。瑠偉ちゃんが黄色のTシャツの若い男の首筋から顔を離して口に引き千切れた肉と繊維が垂れるのを見て、瑠偉ちゃんが2人をガン見の獲物認定された視線を受け止めるが唖然と恐怖で何も出来ないままただ見返している。すると首の一撃で1人を絶命させた瑠偉ちゃんは男が仰向けに倒れた瞬間には地面に両足を着地させ次の男の前に歩きを始める。
「・・・え、え、え、え、え・・・」
その最後の言葉を口から出す時には目の前の瑠偉ちゃんは男の両肩に爪を突き刺して激痛が襲うと同時に首筋に歯が突き刺さり首が半分無くなって血を噴出させて絶命して倒れている。
「・・・ヒッ!!・・・」
残った最後の男は無表情無防備で普通に歩いて来る瑠偉ちゃんに右手に握るナイフを恐怖に圧し潰されて突き出すと瑠偉ちゃんの右胸に深々と突き刺さる、すると瑠偉ちゃんはナイフをチラッと見て突き刺された状態で男の右手に顔を近づけると刺した状態の右手を噛み千切る、右肘の下半分が瑠偉ちゃんの口に入りグチャグチャの切断面から血を吹き出すと、最後の男は右腕の無い部位を見て消失している事に気付くと激痛に涙を流して血を左手で咄嗟に塞ごうとするが瑠偉ちゃんに塞いだ左手も噛み千切られて口の中で咀嚼される。
「・・・ヒッ!・・・ヒッ!・・・ヒッ!・・・」
右手の肘から下半分と左手を消失して血を吹き出して激痛と理解不能で暴れまくる男は目の前に飛んできた無表情の瑠偉ちゃんの顔の大きな目と合った瞬間に両肩を掴まれ首筋に歯が突き刺さると肉が半分咀嚼されて絶命する。
「・・・圧倒的ですやん・・・瑠偉ちゃん・・・」
「・・・瑠偉ちゃん姉さん凄いっス・・・」
3人組を苦も無く死体にした瑠偉ちゃんが口の中の肉を咀嚼を終えてゴクリと飲み込むと、慎吾と希唯依の驚き顔の方に向き直り右胸にナイフを刺して全身返り血塗れで歩いて戻って来る。
「・・・お遊戯楽しめた?」
目の前まで来た瑠偉ちゃんに聞く。
「ふ”ウゥゥゥつ”ウゥゥゥう”ウゥゥゥゥゥ」
『普通』と呻く。
「・・・普通なのね・・・それに採点もするのね・・・」
慎吾は笑うと瑠偉ちゃんに返す。
「・・・凄いっス、瑠偉ちゃん姉さん凄いっス・・・」
興奮して希唯依は話しかけている。
「そ”オォォォお”オォォォか”アァァァァァ」
『そうか?』と呻く。
「そうっスそうっス、めちゃくちゃ凄いっスよ」
慎吾は『希唯依さん・・・感想が凄いだけなんですけど・・・まぁ~分かりますけど』と思い興奮状態の希唯依とそれを見る血塗れで右胸にナイフが刺さる無表情の瑠偉ちゃんを見ている。




