第4話 瑠偉ちゃん
「んじゃ~、始めましょうかな、多分この部屋の住人は2人暮らしで男性と小さな女の子やと思うから男性の方のお気に入りリストが俺と同じ性癖やったらフフフ忙しくなりそうですな。」
悲惨なゾンビが蠢く状況化でも『気にしたら負け』と考える事に切り替えて『楽しく、やる時はやる、自分らしく生きる』精神で前向きに日々を過ごす事に決断していた。それで慎吾は周りの友達が全員そうなのも有り野郎のお気に入りリスト=エロという揺るぎない自信でクリックする。ここの住人の感想は料理をあまりしておらず冷蔵庫が空っぽ、男物洋服下着、男性漫画雑誌、カップ麵やお菓子がキッチンの段ボールにごちゃ混ぜに放り込まれていたりと等々、後はピンクのランドセル、ウサギのぬいぐるみ、女の子用の洋服下着と等々で独断と偏見で勝手に判断した。
「ほほ~お気に入り警察の目からは逃げれませんよ」
そう言うとお気に入りリストの上からチェックして上から順に3個動画を見る。
「・・・・・そっち側の人なのね・・・・・女の子と同居しているのに・・・」
動画を早送りや途中で見るのを諦める、全てが小さな女の子を無理矢理の内容の動画で慎吾には全く興味も性癖も理解出来ないのを見終わる。慎吾はタイトルで大体予想はしたが『勿論性癖も十人十色ですな』と『諦めたらそこで試合終了ですよ』の名言かどうか分からないが最後の望みを残して一応残りのリストを見て行く。一番下に近づくにつれて日付と数字だけのタイトルだけになり慎吾は一番下のナンバー20をクリックする。
「ほほ~これは特別な匂いがしますな、もしかしてモザイク無しの方ですかな、まぁ~同じ感じやったらドン引きですけど・・・・・それでは見ましょうか」
それは2日前の日付で何処かの薄暗い倉庫で一人の男が手持ちでビデオカメラを撮影してピンク色のドレスを着た小さな女の子に襲い掛かっている、女の子は諦めた表情で涙を浮かべて抵抗しているが大人の男の力には抵抗出来ず『瑠偉ちゃんいつも怖いね~、でも誰もいつも助けてくれないね~だから瑠偉ちゃんはいつも僕の玩具になるんだね~』などの血管がブチ切れそうな気持ち悪い言葉を吐いて小さな女の子を蹂躙していた。その後ビデオカメラを撮影しながら放心状態の全てを諦めた表情の女の子を助手席に乗せ『今日は終わりにしようね~、お外でするのも気持ちいいね~、瑠偉ちゃんとりあえずお家に帰りましょうね~』と車を運転しているのが分かる、車が駐車場に到着しても撮影は続いており放心状態で死んだ目の女の子と気持ち悪い男の声が聞こえて歩く途中で『痛てっ、首噛みやがってこの野良猫が~、瑠偉ちゃんも綺麗な足噛まれちゃいましたね~でも安心してくだちゃいね~この野良猫首折って殺しましたからね~お家に帰ったら僕が綺麗綺麗してあげますからね~』と首が折れてピクリともしない野良猫が画面に映し出された、それから帰る家が近づいて玄関の扉を開けて玄関に入った瞬間に女の子の全身を下から上に舐める様に映されて録画が終わる。
「・・・・・・・マジか!!この映ってた女の子って多分このお嬢さんやな名前は瑠偉ちゃんやな?身長も同じぐらいで・・・・・それに最後の玄関前と玄関内の女の子の撮影の風景この部屋と同じやし!・・・・・後は撮影に映ってた服装と一緒の物が寝室の壁にこの服だけ丁寧にハンガーで掛けられてたしな」
この部屋を探索した時にピンク基調でスカートの裾がフリフリの白いリボンが多く使われたロリータファッションが可愛いと印象が強くて覚えていて、『映像の女の子が着ている服と寝室の服が同じでと思い胸糞の悪い映像を我慢して見た』それから慎吾は再確認の為にノートパソコンを手に取り玄関に向かうと映像を止めて玄関内の実物と映像を見比べた。
「そうやなこの場所と同じや、やっぱり瑠偉ちゃんやったな」
玄関内では靴箱も同じ型で同じキズ汚れが有り、上に置かれている靴も4足同じで配置順も同じ、傘立てに刺さってる傘も3本まったく同じ。慎吾は胸が苦しくなり付いて来て横で無表情でユラユラ左右に揺れている瑠偉ちゃんの残っている右目を見つめる。
「そうか・・・辛くて苦しくて悲惨やったな・・・・・それで今は全身が凄くエライ事になってるゾンビとかな・・・・・大変やったな・・・・・ほんま大変やったな・・・・・・・」
慎吾はそう呟くとユラユラ左右に揺れている瑠偉ちゃんに抱き着いて力強く抱きしめる。瑠偉ちゃんは無表情で無言で揺れている。
「ふうぅ~ゴメンないきなりビックリしたやろ?ビックリしたかな?ビックリしてないな、うん!これはビックリしてません・・・それでこれからは俺が瑠偉ちゃんが辛く無く、苦しく無く、悲惨にならんように生きて行こ・・・・・あっ!!生きて行こは無理やな・・・・・一緒に一緒に一緒に進んで行こな」
慎吾は体を離して着ているジャージが血や肉や液体塗れなのを一瞬見るが気にせず反応無しの瑠偉ちゃんに話し掛けている。
「それじゃあ俺のジャージも汚れちゃったし、瑠偉ちゃんもずっと裸やったしな、とりあえず何か服着ようかな・・・・・んっ!!えっ!!あれっ!!そういえば何か気づいたら玄関前の扉ドンドンドン&狂気の呻き声が聞こえてない・・・・・でも下の部屋はまだ続いてるしな・・・・・う~ん何でやろ、ここ諦めて違う所行ったんか?それか他の生存者見つけて追いかけたからおらんくなったんかな???さっぱり分からんな、まあぁ~これでだいぶ騒音がマシになったからええかな結果オーライ結果オーライ」
慎吾は扉のドアスコープを覗いてもゾンビの姿は全く無く不思議に思ったが理由など分る筈も無く『ラッキー』と割り切り着替える為に寝室に戻る、慎吾は洋服の趣味が合わなかったので少し小さかったが無難で動きやすそうなグレーのスウェット上下を拝借して、瑠偉ちゃんには洋服ダンスに置いてあった白の半袖シャツとブルーのスカートを履かす、半袖シャツは肩に肉が残っていたので何とか大丈夫、スカートは後ろの腰と臀部に肉が無かったので落ちて来るので黒いサスペンダーで無理矢理吊って履かせて大丈夫、下着を履かそうとしたが腰と臀部の肉が無いので動くと落ちて来るのでノーパンで我慢してもらう。瑠偉ちゃんはされるがまま無表情&無反応で着替え中慎吾の目を見つめていた。後ロリータファッションのピンクのドレスは慎吾が無言でゴミ箱に突っ込んでいた。
「う~んそれで、カメラ撮影してた人間の屑は一体誰やったんやろか??分かって見つけたらボコボコにして半殺しやなそれか殺すか、映像ではこの部屋が家とか言ってたからここの住人やとは思うんやけど・・・声だけでしか分からんしな~う~んもしゾンビに襲われず生きてたらこの家に戻ってくるかも分からんからその時やな・・・・・後は瑠偉ちゃんはどうしてゾンビになったんやろか??他のゾンビに噛まれた事は間違い無いと思うけどこんなにズタボロになるんかな?今まで数匹しか見てないけど瑠偉ちゃんみたいな状態は初めてやしなそれにこんだけ損傷してたらゾンビでも終わりってネットに書いてたけどまあぁ~ネットやし、けど今はそのネット情報大切やしな~う~ん分からんな~・・・・・それで映像で気になったけど野良猫に屑と瑠偉ちゃんが噛まれてたみたいやけど、もし猫、犬、鳥とか動物系もゾンビになってそれに噛まれたら感染させられるとかめっちゃ感染リスクの難易度が跳ね上がるよな~・・・・・・・・もう全部分からん、分からん事だらけやな・・・・・よしっ!!分からん事は後回しで、とりあえず今やる事は周囲の状況と情報かな?水、食い物はあるから、そうなったら多少外に出て動かなあかんからゾンビと出会っても戦える武器とかいるわな瑠偉ちゃん」
慎吾はリビングのソファーに座って今後の事を考えソファーの上に乗って真横でこっちを無表情で見ながらユラユラ左右に揺れている瑠偉ちゃんに話かけていた。