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ゾンビが蠢く世界  作者: ありがとう君
39/58

第39話 今の俺に最悪なタイミングで出会いましたな

目前では実家が燃え上がり炎を上げている。後方からは呻き声と悲鳴が聞こえて来る。


「まぁ~そうなるでしょ・・・こんな大きな狼煙上げたら・・・」


「そうっスよね、気になるっスよね」


「そ”オォォォお”オォォォた”アァァァね”エェェェェェ」


2人と1ゾンビが燃え上がる実家を見ながら各々感想を言う。1ゾンビは『そうだね』と呻く。


「それじゃ~、我々はお暇しましょうかね、ここで俺は十分勉強出来たしスッキリ出来たし・・・それに呻き声と悲鳴も何か聞こえてきましたし・・・」


「はいっス」


慎吾はそう言うと瑠偉ちゃん、希唯依、燃え上がる実家を長めに時間を掛けて順番に見ると愛車に向かって歩き出す。停車している愛車まではすぐに到着して慎吾は助手席のドアを開けようとすると人間の助けを求める声が聞こえて来た。


「おおおおお~い、待ってくれぇぇぇぇぇ~俺も車に乗せてくれぇぇぇぇぇ」


慎吾が声がした方に目を向けると、走るタイプのゾンビ3匹と歩くタイプのゾンビ4匹合計7匹に追われて必死に逃げて来ているTシャツとハーフパンツ姿の手に生々しい血痕が付着している女性物のショルダーバッグを持つ若い男が叫んでいる。


「・・・・・」


慎吾はドアから手を離すと無言で若い男を見る。


「はぁ~・・・はぁ~・・・はぁ~、俺も助けてくれ・・・乗せてくれ・・・はぁ~・・・はぁ~・・・はぁ~」


若い男は慎吾の目の前に来て膝に手を付いて大きく呼吸を繰り返しながら話しかける、若い男はゾンビに追われる恐怖と動揺に頭が一杯で瑠偉ちゃんの能力で追って来ていたゾンビが急停止して脱力状態で上を向いている事には気付いていない。


「・・・・・」


「はぁ~・・・はぁ~・・・はぁ~助かったよ~・・・近くで物資を探していたら、はぁ~・・・はぁ~・・・はぁ~急にゾンビ共が暴れ出して・・・やばかった・・・本当にやばかった・・・」


「・・・・・」


「・・・んっ?早く逃げようぜ・・・ゾンビ共に俺達襲われてしまう・・・はぁ~・・・はぁ~・・・はぁ~」


慎吾と瑠偉ちゃんと希唯依の無言に気付き若い男は膝から手を離すと大きな呼吸をしながら慎吾の顔を見る。


「んっ?何でお前を愛車に乗せて助けやなあかんの?、俺の身内やったけ?」


「・・・・・えっ?・・・」


若い男は言葉の意味が消化出来ず戸惑いの声で聞き返す。


「俺お前の事1ミリも知らんのやけど・・・何か凄く助かった感出してるけど何でなん?」


「・・・えっ?・・・俺・・・ゾンビに追われてたから・・・兄さん達を見つけたから・・・」


「ゾンビに追われるのはお前が見つかってやらかした事やし、俺を偶然見つけたから命が助かるって何でそんな事思うのかな?」


慎吾は感情の無い冷たい視線と口調で話している。


「・・・えっ?・・・」


「まぁ~ええわ、とりあえず俺がお前を助けるメリットは何なん?何かあるやろ?」


「・・・・・・・・・・」


若い男は突然の条件提示に無言で頭をフル回転させて考えている。


「まさか?何も相手に見返りも無いのに自分のやらかしでゾンビに追われたのにそれでも無条件で助かるとか思って俺に縋ったん?・・・まさかそれが人間同士は当然で当たり前とか思ったん?どんな時も助け合いが普通と思ったん?」


目前の激しく燃え上がる実家の中で永遠に眠り灰になる事が確実な家族の事が頭に浮かべながら慎吾は冷酷に話す。


「・・・・・イヤ・・・ち、ち、違う・・・違う・・・あっ?そうだ!俺の隠れ家に食い物が有る、それを少し分けてやる・・・・・」


「ふ~ん、どう思う?希唯依瑠偉ちゃん?」


ここで無言で若い男に警戒しながら見ていた希唯依と瑠偉ちゃんに面倒くさそうに話を振る。慎吾はどうするか80%ぐらいは決めているが。


「そうっスね、食い物はいらないっスね、それに助ける意味が分からないっスね」


希唯依は慎吾の面倒くさそうな口調に気付き反応すると若い男の提案に拒否を素早く示す。ここで希唯依の声を聞いて改めて顔を動かして見た若い男は金髪で刺繍入りの真っ赤な特攻服に白いサラシに鉄板入りブーツの服装に少し動揺する。


「なるほど!、俺とほぼ同じ感じやなちょっと違うけど!、瑠偉ちゃんは?」


「く”ウゥゥゥう”ウゥゥゥか”アァァァァァ」


『喰うか?』と無表情に若い男を見ながら低い呻き声で話す。若い男は希唯依の全身を見ていたが瑠偉ちゃんの呻き声を聞くと驚くほどの速度で顔を動かして人間の姿の瑠偉ちゃんに視線を移動させる。


「・・・な、な、なんだこいつは・・・に、に、人間か?・・・」


「あ~あ、残念交渉不成立やわ、残念っした」


「・・・えっ?・・・ど、ど、どうしてだ・・・食い物だぞ・・・貴重な食い物だぞ・・・」


慎吾は大きな溜息を1つ吐くと全然残念そうじゃない口調で話し終える、若い男は交渉不成立の真意が分からず混乱している。


「俺の身内にこいつってお前は何様なんですか?別に瑠偉ちゃんが人間でもゾンビでも・・・あっ!?ゾンビって言っちゃった・・・お前の命が助かるかどうかに関係無いと思うんやけど?」


「・・・え、え、えっ?・・・こ、こ、この女の子はゾ、ゾ、ゾンビなのか本当なのか?・・・」


慎吾は『ゾンビって言っちゃった』の部分はワザと言ったが思わず咄嗟に自然に言った感じで話していて、瑠偉ちゃんがゾンビと聞いた若い男は恐怖に引きつった目で瑠偉ちゃんの全身を見ている。


「まぁまぁちょっと落ち着いて、そんなに瑠偉ちゃんがゾンビかどうか知りたいのかな?それにお前その女性用のショルダーバッグ・・・そんなん今更奪ってどないするん?」


最初からこの若い男が持っている血塗れの女性用のショルダーバッグを指差すと聞く。


「・・・あ~あ、これはとりあえず女だから簡単に奪えるから・・・ついでに奪った」


「ふ~ん、まぁ~奪える物は奪わな損やもんな弱肉強食やし。分かった瑠偉ちゃんがゾンビかどうか答え合わせしようか?」


このショルダーバッグが女性を殺して奪った物でも引っ手繰って奪った物でも慎吾は興味が無かったが生きる為に他人を傷つけたり殺したりしたかどうかを他人が本当にしているのかもう一度確認したかった。


「・・・えっ?・・・そ、そ、そんな事より、食い物渡すから早く車に乗せてゾンビから助けてくれ・・・」


「まぁまぁ、ゾンビに襲われる事は大丈夫やから、そんな事より答え合わせしようや?」


慎吾はここで目の前の若い男に分かる様に周囲をゆっくり見渡す、ここで初めて若い男は慎吾の目線を追ってゾンビが突っ立って上を向き脱力状態の現象に気付く。


「・・・な、な、何だこれは・・・ど、ど、どうなってる?・・・こ、こ、これはお前がやっているのか?・・・」


7匹のゾンビが動きを止め襲う気がゼロの脱力状態から慎吾に目を向けると頭を混乱させて聞く。


「あ~あ、このゾンビ達を止めてる件は俺は違うよ、俺は普通の人間やしこっちの希唯依も普通の人間やから関係無いんやけど・・・さて誰がこのゾンビ達の動きを止めてる現象をしているでしょうか?」


慎吾は否定して希唯依を見て否定して最後に瑠偉ちゃんを見て終わる。


「・・・・・こ、こ、この女の子が・・・ゾ、ゾ、ゾンビ達の動きを止めてるのか?・・・」


若い男は瑠偉ちゃんに視線を釘付けで話す。


「正~解で~す瑠偉ちゃんは実はゾンビでした~。お前ドラマとか映画見た事あるやろ?良くこんなシーンで秘密知った奴ってどうなるパターンが多い?俺が見た感じではほぼ死んでるんやけどお前はどう思う?」


「・・・・・・・・・・」


若い男は慎吾、希唯依、瑠偉ちゃんを順番に見ながら恐怖と絶望で座り込むと徐々に距離を取ろうと座りながら無言で逃げる為に後退して行く。


「あまり俺達から離れると死ぬよ?」


後退している姿を見て瑠偉ちゃんの安全ゾーンの枠から外れて行こうとする若い男に忠告する。


「・・・な、な、何故、な、な、何故・・・俺にこ、こ、こんな事をす、す、する・・・俺はただ助けて欲しくて・・・た、た、助けて欲しいから・・・な、な、なのに・・・」


「何故って言われても最初に呼び止められた時から80%ぐらいは、お前何か無理って感じたから殺そうかな~って思ってたし~後は瑠偉ちゃんにこいつって言った時に100%になったから・・・・・何故って理由聞かれても特には無いかもな~あっ!?、敢えて言うなら俺達が強者でお前が弱者って事やな!」


慎吾は徐々に後退している若い男に真顔で普通のトーンで最後は閃いて手の平をパーとグーにして叩くリアクションをして話し終える。その答えを聞いて若い男は後退するペースを下げずに瑠偉ちゃんの安全ゾーンを超えそうな時に慎吾は言う。


「そうそう瑠偉ちゃん?顔をグルっとさせて?」


愛車の助手席で慎吾の膝の上に乗っている時に顔を180度にする事を瑠偉ちゃんにお願いする。


「わ”アァァァか”アァァァた”アァァァァァ」


『分かった』と呻く。すると若い男は呻き声で『ビクッ』と身体を反応させ。無言で見ていた瑠偉ちゃんが顔を『ブチッブチッ』『バキッバキッ』と嫌な音を聞かせて一回転させると、若い男はそれを見て座っていた体勢から「ヒッ」っと悲鳴を上げ立ち上がると安全ゾーンを超えて走り出す、すると脱力状態のゾンビ達は動き出し若い男の肩を掴み引き倒すと全員が一斉に襲いかかる『瑠偉ちゃんは本当にゾンビやったでしょ』と『残念でした、こんな世界で今の俺に最悪なタイミングで出会いましたな』と思い首筋に歯が突き刺さるのを見ながら慎吾は眺めていた。

















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