第19話 ガッツリ喰ったるらしい
一軒家の壁の前に無断停車していた愛車まで戻って来る。血と体液と油がミックスされたゼリー状の靴跡はコンクリートの地面にしっかり残しながら。
「ふぅ~、短い道のりやったけどやっと到着したな・・・」
駐車場から愛車までは徒歩1分チョイだが精神的疲労、精神的苦痛、肉体的ベトベトで慎吾は無言で足取りも重く両膝に手を付いて一息入れる。瑠偉ちゃんの全身ゼリー状態は変わらず覆いつくしている。
「ふぅ~、それじゃあ~、俺の愛車乗る前に服脱ごうかな」
まず瑠偉ちゃんの服を、全身ベトベトと格闘しながら両腕の肘までゼリーにベトベトになりながら必死に脱がして裸にする。昼間の住宅街で裸の少女と金髪坊主『フフフ、近所の人が見たら通報、警察の人が見たら連行、変態認定間違いなし・・・瑠偉ちゃん子供服店舗まで我慢してくれ』と思い急いで慎吾も裸になる。昼間の住宅街で裸の少女と裸の金髪坊主『フフフ、近所の人が見たら取り押さえられる、警察の人が見たら拳銃向けられるレベル、SNSで拡散されて人生終了違いなし・・・瑠偉ちゃん、俺、子供服店舗まで我慢しよう』慎吾達は急いで裸のままで車に乗り込むと子供服店舗まで車を走らせる。それから駐車場全域に広がる血と体液と油の溜まりを進んで正面入口に車を停車させると、また店内に侵入して瑠偉ちゃんにはとりあえず目に付いたTシャツとスカートを着替えさせて、慎吾は子供服なので探してみるがサイズが合うのが無くてとりあえず目に付いた可愛いキャラクターデザインのバスタオルを腰に巻く。
「ふぅ~、これでギリセーフ・・・人生終了免れたな」
勝手に想像した被害妄想に勝利した慎吾は可愛いキャラクターのバスタオル姿1枚で額の汗を拭い安堵の声を漏らしていた、慎吾は脱ぎ捨てたジャージからバスタオル1枚になった事で、全身に付着していたゼリー状のベタベタも軽減されて少し気分が優れる、瑠偉ちゃんは無表情で抵抗する事も無く着替えを終了するが、まだ目、鼻、口、耳、毛穴、頭皮、切断面の首筋からゼリー状の血と体液と油が少量だが『ジワジワ』滲み出ていて、着替えた身体部分は軽減されたが首から上の部位はゼリー塗れで粘着があり頭皮から噴水の様に溢れ出る影響が大きくてまだ首から上全体覆われている。瑠偉ちゃんはゼリー塗れでも気にした様子もなく普段通りなので愛車に向かう。
「瑠偉ちゃん?瑠偉ちゃん?・・・まだいろんな所から瑠偉ちゃん汁出てるけど痛くは無いよね?」
慎吾は目、鼻、口、耳、毛穴、頭皮、切断面の首筋からゼリー状の血と体液と油がミックスされて滲み出ている事を瑠偉ちゃん汁と命名する。
「ウ”ァァァァァ」
運転席に乗り込み瑠偉ちゃんが『痛くない、大丈夫』の肯定の呻き声と小さく首を縦に振るのを確認して座席に座るのを待って車を発進させる。帰りの道は事故で白煙を上げている車両、路肩に停車で窓ガラスやボンネットが潰されている車両をチラホラ見かけて、後は愛車を発見されて追いかけてくるゾンビ達もスルーして振り切って『今は何よりもお風呂』の一心でハンドルを握り何事も無く愛車を団地の階段の前に停車させる。
「それじゃあ~、今は全身全霊でお風呂目指すぞ瑠偉ちゃん、エイ、エイ、オー」
「ウ”ァァァァァ」
愛車のドアを閉めると意味が分からない掛け声を出すと、瑠偉ちゃんの肯定を見てから階段を駆け上がり可愛いキャラクターのバスタオル1枚の金髪と首から上が汚い色のスライムに覆われている少女が扉の前まで到着する。
「よしっ!!ここからは瑠偉ちゃんをおんぶして風呂場まで行くから、少しでも部屋の中汚したくないから・・・オッケイ?」
「ウ”ァァァァァ」
瑠偉ちゃんの肯定の唸り声を聞くと、扉を開けて片足で金属扉が閉まるのを阻止すると前屈みになりおんぶスタイルで待ち受ける、そして『ピョン』と瑠偉ちゃんが背中に飛び乗ると慎吾は身体を90度にしておじぎスタイルになると、そのまま少しでも瑠偉ちゃん汁を室内に溢さずに背中で受け止める用意をして、その姿勢のまま脱衣所を通り過ぎ風呂場まで進み瑠偉ちゃん汁の被害を最小限に食い止めて『俺のおんぶスタイルやるやん』と自己満足を喜んで瑠偉ちゃんをお湯の入っていない浴槽に下ろす。
「瑠偉ちゃんお待たせ念願のお風呂到着したね!!」
「ウ”ァァァァァ」
「俺のおんぶスタイルやばかったやろ!?」
「イ”ァァァァァ」
慎吾は自信満々で『おんぶスタイル』をドヤ顔で言い切るが瑠偉ちゃんは否定をしている。瑠偉ちゃんからしてみたら『おんぶスタイル』は腰を屈めて玄関から風呂場に移動したそれだけだった。
「・・・あっ!!そうなのね・・・まぁ~この『おんぶスタイル』は女子供には分からんって与田っち言ってたから・・・・・」
謎の名前を出して呟く。慎吾はシャワーを出して浴槽の中で汚れた服を脱ぐと丸めて脇に置き瑠偉ちゃんお気に入りのピンクのランドセルも脇に置く、そして2人が裸になるとゼリー状の血と体液と油塗れの瑠偉ちゃんを頭からお湯を浴びせて綺麗にして行く。
「おっ!!ドンドン瑠偉ちゃん?、瑠偉ちゃん汁取れてきたで~、けど顔も頭も人間の肌、色になって良かったな、お陰でガンガン瑠偉ちゃん洗えるもんな、前のゾンビ状態の時は俺無理やったからな~」
洗い続けていると瑠偉ちゃんの首から上を覆っていた汚い色のスライムゼリー状の血と体液と油塗れがすっかり取れて排水溝に吸い込まれ、それにいつのまにか顔の目、鼻、口、耳、毛穴、頭皮、首筋からの『ジワジワ』溢れ出ていた汚い色のスライムゼリー状の血と体液と油塗れも止まっており瑠偉ちゃんの顔が現れてきた。
「おおお!!瑠偉ちゃんめちゃめちゃ可愛いやんか、もうほぼ全部人間の身体とそっくりやし、おめでとう、良かった良かった!!」
「ウ”ァァァァァ」
呻き声で答える瑠偉ちゃんの顔は、髪は黒色でお団子ヘアーが出来そうな髪の長さで目は二重で鼻と口は小さくお肌が白くて、慎吾から見て人間の6歳の女の子と考えるなら親戚や近所のおじさん、おばさんに『瑠偉ちゃんは、いつ見てもお人形さんみたいやな~』的に可愛がられそうだな顔の雰囲気だと感じる。それから全身のベタベタを洗い流しその後に慎吾も全身を綺麗に洗い終わる。
「ふぅ~、サッパリサッパリ、これでやっとベタベタから解放されたな~」
瑠偉ちゃんと慎吾の身体を拭き終わり、新しい服に瑠偉ちゃんは着替えてドライヤーで髪などを乾かし慎吾は一着だけだったジャージ上下を失ったので、今はパンツ一丁でリビングのソファーに座ると一服しながら落ち着く。瑠偉ちゃんは慎吾の横でソファーにちょこんと座っている。
「ふぅ~・・・けど今回の瑠偉ちゃんの成長現場はエグかったな、けどまぁ~あの100%ゾンビ姿から今の人間の姿に変われたなら俺的には良かった、良かった。けど・・・ゾンビや人間の死体を食えば成長するとか意味分からんけど・・・それにまだ食ったら成長するんかな?、瑠偉ちゃん?」
ソファーで横に座り人間の可愛らしい顔で新しく生まれた2つの目で見つめている瑠偉ちゃんに聞いてみる。
「・・・・・・・」
暫く考えて無言なので答えが分からない。
「そうやろね分からんよね、そしたらまだまだゾンビや人間の死体は食べれそう?」
「ウ”ァァァァァ」
ガッツリ喰ったるらしい。
「なるほど、そうなるとまだ成長するかもわからんな。後はお食事シーンのアレが100%ゾンビの喰い方やなくてもう少しお上品なら、見た目的なやつとか、着替えの心配的なやつとか、俺の精神耐久値的なやつとか安定して色々良くなる的なんですけどな・・・」
「ウ”ァァァァァ。わアァァァかアァァァたアァァァ」
慎吾の全く無意味な遠回しな言い方だが、肯定して低い呻き声で苦しそうに『分かった』っと吐き出す。
「お~お、そうか~分かってくれたのね、それならあまり期待しやんとお食事シーン楽しみに待っとくわ」
瑠偉ちゃんの新しく生えた綺麗な髪を撫でたり、顔のお肌をプニプニして楽しんだり、子供服店舗での事を話したり風呂上がりのまったりタイムを過ごして過ごす。
初めまして書いてる奴です。新しいキャラが固まってそろそろ登場させたいのですが、登場させた場合タイトルを少し変更すると思います。 読んで頂いてありがとうございます。