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ゾンビが蠢く世界  作者: ありがとう君
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第15話 俺にはゾンビのお肌は洗えません

和室の部屋で使えそうな物を拝借してリビングに戻ろうとする時に丁度瑠偉ちゃんが部屋に入って来る。


「お食事終わったみたいやね?」


「ウ”ァァァァァ」


瑠偉ちゃんは顔面、全身血だらけで無表情で首を縦に振り唸る、先程始末して木製テーブルの上に倒れていたゾンビも奇麗サッパリ消えており『残さず完食したのね』と確認して廊下も見るが始末したゾンビは消えていた。すると瑠偉ちゃんは和室に入ると腐乱した男の子と女の子の死体を見つけて立ち止まり見下ろしながら左右に揺れている。


「・・・まあ~その子らの死体は俺が何かする義理も無いから触らず放置するけど、だからお食事しようがしなかろうがどっちでもええけど・・・・・」


慎吾はそう言うとリビングに戻って瑠偉ちゃんのお食事を待つ事にする、だが瑠偉ちゃんはすぐに戻って来ると慎吾の真横に立ち左右にユラユラ揺れている。


「んっ?、どないしたん?瑠偉ちゃんはあの子らお食事はしやへんの?」


「ウ”ァァァァァ」


唸り、首を縦に振る。


「可哀そうって思ったから?」


「イ”ァァァァァ」」


唸り、首を横に振る。


「あ~あ、違うのね、何やろか?・・・・・ただ単に食べたくないだけ?」


「ウ”ァァァァァ」


唸り、首を縦に振る。


「なるほど、瑠偉ちゃんは可哀そうとかの感情は無いかまだ芽生えてないんかな、それなら何でお食事しやんかったんやろか・・・・・あっ!?、もしかして時間が経過して腐っていたから?」


和室の隅で倒れている男の子と女の子の死体は時間が経過して腐り異臭を放っている。今のリビングにも少し臭いが漂ってきている。


「ウ”ァァァァァ」


唸り、首を縦に振る。


「なるほどね、瑠偉ちゃんは古くなった料理は食べないのね、確かに新鮮の方が美味しいよね・・・瑠偉ちゃんの場合は新鮮とかそんな次元が違う動かないゾンビか人間なんやけどな・・・・・まぁ~そんな所にこだわりとか意外とグルメなんですな・・・」


慎吾は『何でも食べると思ってました』と頭に浮かべて、和室の扉を閉めてキッチンの換気扇のスイッチをいれて少しでも腐敗臭を逃がす処置をして残りの調べていない部屋の物色を再開する。


「こんなもんかな拝借出来る物は、上の部屋にもアホほど物資残ってるしな、それじゃあ~瑠偉ちゃんそろそろ帰ろうかな」


「ウ”ァァァァァ」


と瑠偉ちゃんにが呻きユラユラ揺れて子供部屋に入って行く『おっ!どうした?』と思い数分待っていると両手に本を持って戻ってくる。


「んっ?、何かええ本あったの?」


瑠偉ちゃんは両腕を上げると教科書を両手に持って来ていた。


「へぇ~、小学2年の国語と算数の教科書やね、それ欲しいのね!、よしっ!!分かったありがたく拝借しときなさい、お兄さんが許す」


上の部屋にある教科書は確か小学1年生用やったを思い出し拝借を許可しておく。


「ウ”ァァァァァ」


瑠偉ちゃんは呻いて縦に頷いている、それから慎吾はさっきの『ウ”ァァァァァ』は『嬉しい』の呻き声かも?と思い込み子供部屋に行くと残りの理科、社会の教科書も拝借して戻ってくる。


「それじゃあ~、逆恨み騒音問題と拝借タイムも終わった事やし、そろそろ帰りましょうかね、瑠偉ちゃん?」


慎吾は目一杯入った大きな紙袋4個両手で持ち、瑠偉ちゃんは両手に教科書を持つと調べ終わった部屋をチラッと見ると、そのまま玄関のロックを開けて階段を上り3階の部屋の玄関まで戻る。





「ただいま~」


2階と3階を行き来しただけだが一応『家に帰ればただいま』でしょと思い声を出して玄関の扉を開けてリビングのソファーに進む。拝借した紙袋は廊下の拝借していた段ボールの横に置いて、『ペロペロ』舐めで綺麗になった金属バットは靴箱に立て掛けて置く。


「それじゃあ~、ゾンビの頭ブッ叩く運動したし少し精神的にも疲れたから、飯食って風呂入って寝るかな?」


部屋に戻りリラックスしたのか欠伸をすると、瑠偉ちゃんの赤黒く変色した洋服を着替えて濡れたタオルで顔を拭き血糊を落とすと『そろそろ着替えの服が無くなってきた・・・てかっ・・・瑠偉ちゃんの服が少ないな』と頭に浮かべて、ベランダの柵に結んでいたカーテンの端を解いて引き上げてベランダの隅に放置して、風呂に湯を入れるとキッチンで温めるピラフを電子レンジにセットする。瑠偉ちゃんはリビングのフローリングに女の子座りで小学1年生の国語の教科書を読みながら慎吾が移動するたびに目線を上げて見つめてまた教科書に視線を落としている。


「飯食ったし。あっ!!・・・そういえば風呂入ってなかったな~・・・ほんじゃあ~瑠偉ちゃん、風呂入ってくるね~」


『怪我なければ基本毎日風呂は入る派やから、あのコンビニで女性のゾンビに追いかけられてから久々やな、後は汗とか動いた体臭はそれ以上の悪臭を身体に吸収してるから大丈夫やろ・・・・・風呂で身体洗えば大丈夫でしょ??』っと思い、キッチンからリビングに瑠偉ちゃんに声を掛けて風呂場に向かうと、瑠偉ちゃんが読んでいた教科書を置くと立ち上がりユラユラ揺れて歩いて来た。


「おっ!!瑠偉ちゃんも風呂入るんか?」


「ウ”ァァァァァ」


脱衣所来て入る気マンマンらしい。


「オッケイ~、それじゃあ~、さっき着替えさせた服すぐ脱がすのね、オッケイ~、そしてまた着せるのね、オッケイ~、人生は無駄を楽しむ的な事を昔の偉い人が言ってる筈やし、知らんけど、オッケイ~」


無表情の瑠偉ちゃんに親指を立てるとテンション高めの声とは別に無表情の慎吾がリアクションしている。そして2人共裸になると脱衣所から風呂場に行く。


「まあぁ~、瑠偉ちゃんは首から下は人間と同じ肌、肉質やから普通に洗えるな・・・首から上は知らん」


慎吾は下から上に瑠偉ちゃんを眺めて、首から上の顔面に食い破られた穴から見える肉、爛れてる肌、抜け落ちている髪の毛、露出した頭蓋骨などから視線を逸らし『俺にはゾンビのお肌は洗えません』と強く感じて後ろを向いて貰うと小さな背中を見て『昔は妹の真奈子も風呂入れてたな』と思い出して洗い始める。


「ウ”ァァァァァ」


瑠偉ちゃんも気持ち良いのか呻き声を上げる。


「ほほ~、瑠偉ちゃんもお風呂気持ちええのね、良かった~良かった~」


それから瑠偉ちゃんの身体を洗い終わるとお湯の溜まった湯船に入れて「決して首から上は湯船に浸けない事」を説明すると、理解したのか素直に浸かり慎吾を見つめながら大人しく入浴している、『瑠偉ちゃんが顔を湯船に浸けるとお湯が大惨事になるからな』と思いながら自分の身体と頭を洗い流して湯船に浸かると100を数えて上がる。


「ふぅ~サッパリしたな~、これで俺&瑠偉ちゃんバディ綺麗になって臭いも消え去ったな・・・またすぐに汚れて臭くなるけど・・・・・まぁ~考えてもしゃーないな、今を楽しんじゃおうぜ!、お嬢ちゃん!!」


っと久々の風呂上りの嬉しさなのか妙なテンションで慎吾は2人の全身を拭き終わって着替えると、キッチンの冷蔵庫を開けて冷たい水をガブ飲みして小さな幸せを感じている。瑠偉ちゃんは水分補給は必要無いのでガブ飲みスタイルを無表情無反応で見終わるとリビングに戻り小学1年生の国語の教科書を見始めている。



「それじゃあ~、俺は寝る瑠偉ちゃんおやすみ」


リビングに戻り瑠偉ちゃんと話を暫く続けていると欠伸が止まらなくなり、ソファーに横になると『あっ!!・・・リビングのカーテン無いけど・・・朝!!・・・まっ!ええかっ』と『明日は瑠偉ちゃんの洋服でも拝借しにいこかな』を考えていると眠りに落ちていた。
















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