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ゾンビが蠢く世界  作者: ありがとう君
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第13話 完璧なおんぶスタイル

スマホをから実家の番号を見つけると通話を押す。家族は車工場で働く寡黙な父親達也(40歳)、専業主婦の明るい母親美和子(40歳)、小学3年生の元気な妹真奈子(9歳)、高校生の慎吾(16歳)金持ちでも貧乏でも無く一般家庭と呼べる4人家族。住んでる地域も山も川もある自然豊かな場所に祖父から受け継いだ築30年以上の一軒家に住んでいる。


「・・・・・・・・・・んっ!、出やんな留守かな?」


30秒程コールを鳴らすが鳴りやまないので通話を切る、そしてスマホ画面を見直すと【【おかん】】と【【真奈子】】の登録名を出し少し悩むが、前に実家に戻った時にスマホを買って貰って喜んでいて『家族に連絡するなら真奈子のスマホにしてよ、慎吾兄ちゃん』を思い出し真奈子に連絡する。


『あっ!、慎吾兄ちゃん』


すぐにスマホ先から声が聞こえる。


『おう!久しぶり、さっき家に電話したけど誰も出やんからおかんは?買い物?』


彼女や悪友と遊び回って家に帰らず真奈子とは2週間ぶりの会話で、合えば『慎吾兄ちゃん、慎吾兄ちゃん』懐いてくれる妹。


『うん!今日はお米が安いからって買い物行ったよ』


声を聞いていても真奈子は普段通りに会話している。


『そうか、真奈子は家?』


『うん、勉強終わって部屋で漫画読んでゴロゴロしてたよ』


『それで、そっちは大丈夫か?』


『うん!何も変わり無いんだよね~、学校も休みじゃ無いし、お父さんも仕事行ってるし」


連日ニュースやSNSでゾンビ被害を報道しているので『そっちは大丈夫』で慎吾の家族は当然話は通じる。慎吾は自分の周りで今まで起こった、『彼女の死』『ゾンビを目撃』『ゾンビに襲われた』『異常な町の雰囲気』『町の人間も襲われてる』などなど、誰に説明しても信じて貰える自信が全く無い『瑠偉ちゃん』以外の事は、真奈子に話そうと考えたが『普段通りの会話』『普段通りの日常』『小学3年の9歳の幼い真奈子』『実家は現在地と離れている』『先に両親に説明』を慎吾は選択する。


『そっか~分かった、戸締りはちゃんとして、知らないおっさんには付いて行くなよ、知らんおっさんは臭いし、あいつらうんこだけめっちゃ漏らして普通な顔で寄って来て声掛けてきよるからな~』


慎吾はゾンビの話から切り替える為に、対真奈子用の鉄板爆笑ギャグうんこネタを挟んで『まだ実家は心配せんでええかな』を頭に浮かべている。


『はっはっはっはっは~、分かった~戸締りと、知らないおっさんには目を光らせとくね~。それで慎吾兄ちゃんは何も変わりは無いの?」


大爆笑をかっさらい『流石対真奈子最強ウエポン』で満足する。


『うん!、大丈夫やで。ほんじゃあ~また電話するわ』


『は~い、またね~』


真奈子の返事を聞いて通話を終了する。それからキッチンに行きカップ麵にお湯を注ぐとユラユラ左右に揺れてる瑠偉ちゃんに見つめられながらの食事を始める。








「ごちそうさま~、それじゃあ~何しよっかな?・・・瑠偉ちゃん勉強でもする?」


カップ麵の残りを捨てると横に立つ瑠偉ちゃんに話しかける。


「まぁ~勉強言うても瑠偉ちゃんの教科書とか部屋にあったから渡すだけやけど?、どうする?」


「ウ”ァァァァァ」


首を縦に振り低く呻く、教科書を読みたいみたいなので、勉強机とピンクのランドセルで見つけた小学1年生の教科書、国語、算数、理科、社会を取ってきて、まず国語を渡すと瑠偉ちゃんにページのめくり方から教えて行く、しばらくするとリビングで女の子座りをして国語の教科書を残っている右目で見始めている、慎吾はソファーに座ると今回の疲労が眠気を誘い眠りに落ちる。






「ふぁ~よう寝たって寝落ちしてたのね」


慎吾は両手を上げて伸びをすると、外は日が落ちて部屋の時計も22時を過ぎて夜になっていた。瑠偉ちゃんは同じ体勢で教科書を読む時もゆっくりユラユラ左右に揺れている。


「めっちゃ教科書読んでるやん」


慎吾は瑠偉ちゃんに近づいて教科書を覗き込むと『遅っっっ!!・・・まだ3ページ目ですやん・・・マイペースって事にしときましょうかね』っと納得させる。


「どう?瑠偉ちゃん面白い?」


「ウ”ァァァァァ」


首を縦に振り低く呻いて面白いらしい。こちらを暫く見つめると教科書に目を落とす。


「それは良かった、俺ばっかり見てても飽きるからな。それに教科書読んでたら賢くなる筈やしな、知らんけど」


慎吾はそう言うと『瑠偉ちゃん思考力も成長してる、この部屋に居る時前は常に俺に付いてきてたけど、今は移動すると目で追う事が多くなり付いて来る事が少なくなった。現に今は教科書に夢中で俺を見ていない。う~ん、この部屋が安全でゾンビに俺が襲われる事が無いと分かったからなんかな?』と考えソファーに戻り座る。


「まあぁ~頭も身体も成長しているならええ事しか無いからな、どこまで成長するんやろな~」


そんな事を考えていると、『ガリガリガリガリ』と金属と金属、金属と地面が擦れる音と共にエンジン音が遠くから聞こえ徐々に近づいて来る、それが家の前の道を通ると判断したのでベランダに飛び出ると身を乗り出し状況を探る、すると街灯に黄色く照らされ1台の白色のセダンがフロントボディがヘコみ、その一部がタイヤに接触してバーストさせてホイールと地面が接触して火花を散らしており、左右に車体を揺らしながら家の前を10匹以上のゾンビを引き連れて走り去って見えなくなった。車内の様子、人数、運転手の表情、ゾンビの性別などは判断出来なかった、少しの間走り去った後を見ていたが何かに衝突した衝撃音も襲われた悲鳴も聞こえず擦れる音もエンジン音も消える。慎吾は目線を切ると横に来ていたユラユラ左右に揺れて片手に教科書を握っている瑠偉ちゃんと部屋に戻りソファーに座り直す、瑠偉ちゃんもソファーに座ると慎吾を暫く見つめていたが教科書を開けるとそこに目を落とす。


「どこまで逃げれるかやけど・・・まあ~バーストしてたからキツイやろな・・・それに何処におったか知らんけど激しい音に引き付けられてゾンビ共追いかけてるしな・・・・・」


慎吾はそう呟いていると下の階の部屋から呻き声と壁を叩く音が聞こえてくる。


「あ~あ、そういえば下の部屋にもあいつらおったんやった、思い出したから始末しとこかな!」


ゾンビの存在に反応して真横に来ていた瑠偉ちゃんを見ると準備に取り掛かる。すっかり忘れてしまっていたゾンビ達が先程の車の激しい音に反応して暴れ出し家の前の道にも3匹ゾンビが追うのを諦めたのか立ちすくんでいるのも確認する。


「とりあえず、下の部屋の扉の鍵が閉まってるかどうか確認して・・・多分閉まってるやろうけど、開いてたら扉から入っていけるけどな~、あかんかったらベランダから無理矢理降りて窓ガラス割るとかして侵入するしかないよな」


そう決断すると、玄関で金属バットを握り扉を開けて階段を静かに降りると下の階の扉の前に立ちゆっくりドアのノブを回すが当然鍵は掛かっている。『そりゃそうですよね』と思い静かに自分の部屋に戻るとベランダまで移動する。下の階の部屋は激しい音が聞こえなくなりゾンビは暴れるのを止めたのか耳を澄ましても物音1つ聞こえない。


「それじゃあ~瑠偉ちゃんおんぶするから背中に乗ってね」


慎吾は下の部屋のベランダを覗き込む。『何とか行けるかな』と壁などの凹凸を使用すれば降りれると判断していたので、ベランダで瑠偉ちゃんにおんぶの事を説明して分かって貰うと膝を曲げ前屈みになると後は瑠偉ちゃん待ちの完璧なおんぶスタイルで待ち構える。
















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