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ゾンビが蠢く世界  作者: ありがとう君
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第10話 襲われない事と瑠偉ちゃん成長する事

「うわっ!!凄っ!」


慎吾は運転席のゾンビの口回りから腕や顔を離し『殺意マンマン度チェック』と命名しての噛み付き、攻撃意識が完全に無い事を確信すると感動しながら囁く。


「瑠偉ちゃん凄っ!」


っと助手席の座席の上に立ちユラユラ左右に揺れている瑠偉ちゃんに言うと運転席側に回る。瑠偉ちゃんが慎吾が移動したので助手席の座席から『ピョン』と両足揃えと飛び降りると付いて来る、運転席側にリア側から回る間少しだけゾンビが何かを思い出したかのように激しく動き出したが瑠偉ちゃんが運転席側に到着すると運転席のゾンビは瑠偉ちゃんの存在?、オーラ?を感じたのか今度は助手席側にゆっくり移動しようとしている、真横に立った瑠偉ちゃんは金属バットに付着した血と体液を舐め始めていたが。


【【今回の検証で分かったのは】】


1・瑠偉ちゃんが近寄ると殺意、暴力性、行動力がゼロになる。


2・少しでも瑠偉ちゃんから離れようと逆側に逃げようとする。


3・範囲は1メートル未満。


4・範囲を超えるとまた襲いかかって来る。


5・理由は分かる訳が無い。


「こんな感じかな?あとは呻き声がどうなる?とか、複数のゾンビの場合はどうなる?とか分からん事はあるけど、とりあえず瑠偉ちゃん最高ぉぉぉやるぅぅぅぅぅ」


慎吾はその場で声を抑えめで両腕を突き上げて大空に向かってガッツポーズをしている、瑠偉ちゃんは金属バットを綺麗に舐め終わるとユラユラ左右に揺れて慎吾を無表情無反応無言で見つめていて、運転席のゾンビはあいかわらずゆっくり離れようとしていた。


「それじゃあ~、こいつにはもう少し検証に付き合ってもらってからほんまの成仏してもらうか」


慎吾は目の前のゾンビに話しかけると、コンビニで拝借していた包丁を取り出し開封すると両手で握り頭部目掛けて刺す、『ガシッ』と刃先が折れて地面に落とすと手が痺れる。


「・・・・・痛っ・・・やっぱゾンビでも頭蓋骨は刺さらんな・・・う~ん包丁は使えん」


両手をブラブラさせて痺れが治まるまで少し待ち。


「それじゃあ~、恨みも悲しみも何の感情も無いけど成仏してくれ・・・お疲れさんでした」


金属バットを両手で握ると、運転席のゾンビの顔面グチャグチャになるまで先端で叩きつけて動かなくなる事を確認するとコンビニの灰皿が設置している場所に向かって拝借した缶コーヒーを一口飲むと煙草を咥える。


「ほんだら、瑠偉ちゃんが終わるまで一服しときましょかな」


ゆっくりユラユラ左右に揺れて瑠偉ちゃんは、顔面グチャグチャの運転席のゾンビに近づくと大きく口を開けてむしゃぶりついている。









「お~終わったみたいやね~」


2本吸い終わり缶コーヒーを飲み干す。普段なら『お食事』が終わるとすぐに慎吾の真横に戻って来るのだが、今回は1分ほど固まっている。『んっ!』と思うと同時にこちらに向き直り歩いて来るので『なんやったんや』と一瞬考えるが、瑠偉ちゃんは顔面と全身を血と体液塗れで慎吾の真横に来て小さく頷く。


「・・・・・・・・・・えっ!?・・・ええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


「ウ”ァァァァァ」


慎吾は信じられなくて瑠偉ちゃんの残っている右目を二度見してガン見していると、今度は声量が小さいが低い呻き声を聞き血塗れの口を二度見して再びガン見している。


「・・・・・・・・・・えっ?えっ?えっ?・・・もしかして俺の言葉理解出来るように様になって返事も出来る様になったって事?・・・・・」


「ウ”ァァァァァ」


瑠偉ちゃんは無表情で少し考える。まだ理解力や知らない単語などが多数あるので即返事は困難で自分の頭の中で処理を完了させる、慎吾は何度も言い直し分かりやすく説明すると、暫くして見つめながら小さく頷いて低い呻き声で答える。


「おおおぉぉぉぉぉ!!、凄いやん瑠偉ちゃん、突然でビビるわぁぁ~」


慎吾は驚愕から歓喜に気持ちが移ると、嬉しさのあまり瑠偉ちゃんの残っている右手を両手で包み込むように握手して上下に揺らして興奮が駄々洩れで、されるがままの無表情の瑠偉ちゃん。


「凄い!凄い!凄い!凄い!、ほんまに凄いな!!おめでとう、・・・・・うんっ?、瑠偉ちゃんこんなに手綺麗やったか?右腕綺麗やった?・・・・・前はもっと青白くて紫の血管が浮いて皮膚が崩れ落ちてボロボロやった気がするんやけど?気のせい?・・・・・気のせい違うよな???」


握手の途中の手の平の感触で違和感を覚え『この感触気持ちえぇぇ、プニプニや~ん』と喜んでから思わず聞いていて、残っている右腕も普通の人間の女の子の様に肌色でゾンビ肌感は無くなっている。


「ウ”ァァァァァ」


暫く考えて何度も説明を聞いてから小さく頷いて呻く。慎吾は『ウ”ァァァァァ』は肯定の返事とここで理解する。


「そうか!そうか!瑠偉ちゃんは自分では気付いてたんやな、ごめんな!!気付くの遅くて・・・でも何でやろか?何か理由とかあるんやろな~、何も無しにこんなに変化する事ありえやんしな・・・・・・・例えば、俺と一緒におるから?人間から逆に感染した的で右腕綺麗になったとか???」


気付くのが遅くなったのを後悔してから、『もしかしたらゾンビ感染もあるなら人間感染もあるかも?』が頭に浮んだので聞いてみる。


「イ”ァァァァァ」


瑠偉ちゃんは暫く考えて頭で質問の意味を解釈すると小さく横に首を振って小さな低い呻き声で答える。慎吾は『イ”ァァァァァ』は先程の肯定の返事と違う呻き声だったので否定と判断する。


「う~ん、違うんやね・・・・・それじゃあ~瑠偉ちゃんが人間みたいな肌になりたくてと実は強く思ってたら変わったとか・・・・・?」


「イ”ァァァァァ」


暫く考えるが首を横に振る。


「そっか!・・・・・それじゃあ~、後は何かあるかな?・・・後は?・・・あっ?・・・・・もしかしたら始末したゾンビを食ったから身体が成長したとか?」


「ウ”ァァァァァ」


何度も説明して首を縦に振る。


「マジか!・・・それは最初から身体が成長するって事は知ってたん?」


「イ”ァァァァァ」


暫く考えて首を小さく横に振る。


「ゾンビの肌から人間の肌に変わるのは嬉しい?」


「・・・・・・・」


質問して無言の場合は答えが分からない。


「ゾンビの肌でも人間の肌でもどっちでもええ?」


「ウ”ァァァァァ」


暫く考えて首を小さく縦に振る。


「もっと始末したゾンビ食べて成長したい?」


「ウ”ァァァァァ」


暫く考えて首を小さく縦に振る。


「始末したゾンビを食べれば食べるほど成長するの?」


「・・・・・・・・・・」


答えが分からないので呻かない。


「ゾンビを食べたら自分では体が成長したって実感できる?」


「ウ”ァァァァァ」


暫く考えて首を小さく縦に振る。それから暫く瑠偉ちゃんに質問してみる。


【【現在の瑠偉ちゃんの会話能力は】】


1・YESかNOでしか返答できない、答えが分からない場合は無言になる。


2・返答は呻き声、小さな頷き。


3・1個の質問に何度も説明するので時間が掛かる。


4・瑠偉ちゃんからは(言語力、思考力が足りない)ので話し掛ける事が出来ない。


5・おバカさん。


「なるほど、質問するのも疑問形以外になるので意外とめんどくさい作業になるのね・・・・・時間も掛かるし、けどまぁ~瑠偉ちゃんと話し出来る事になったから全然問題無いんですけどね~」


自分の右腕の見た目が変わり呻く事も出来る様に成長した瑠偉ちゃんだが、特に変わった様子も気にした素振りも見当たらず、真横でユラユラ左右に身体を揺らして残っている右目で見つめている。慎吾は『襲われない事と瑠偉ちゃん成長する事』と『包丁は無理とピョン可愛いな意外と好きよ』を思い煙草を咥えると隣の瑠偉ちゃんを見ている。

































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