5話 Sクラス学級崩壊⁉
翌日、俺たち4人は講義を受けるために冒険者学校に向かった。
俺たちがSクラスの教室に着いた時には、すでにアンリが着席していて授業を受ける準備をしていた。
「アンリ、おはよう」
「あ! おはよう。ユウト、あまね、ミーロン。……ついでにあほユキ」
「おはようございます。イキリ有翼人さん」
「ちょっ、あんたまたその呼び名で……」
――キーンコーンカーンコーン
ちょうどいいタイミングで授業直前のチャイムがなってくれた。あと少し遅かったら大喧嘩になっていたかもしれないから助かった。
「皆さん、おはようございます。これから授業を始めるので急いで準備してください」
授業開始時刻ちょうどに昨日の受付のお姉さんがやってきた。どうやら俺たちのクラスの授業を担当するらしい。
「それでは授業を始めます。まずはギルドのシステムについてですが……」
こうして俺たちはギルドのシステムについて学ぶことになった。冒険者学校を卒業したら、はじめは全員Eランク冒険者と認定され、クエストを一定数成功するごとに冒険者ランクがあがるらしい。
冒険者ランクは全部で7種類あり、上から順にSS、S、A、B、C、D、Eとなっている。ちなみに、SSランクになったのは親父だけだそうだ。
ギルドの説明の後は魔法属性について教えてもらった。基本的に魔法属性は炎、氷、雷、自然、闇、光属性の6つに分類され、どの属性が使えるかは生まれた瞬間に分かるらしい。俺はすべての属性を使うことができるが、大体の人は1つの属性だけしか使えないらしい。
その他にも冒険者に必要なアイテムやクエスト成功時の報酬など、役立つ情報をいくつか知ることが出来た。
「それでは最後に、モンスター討伐クエストについての説明をします。冒険者と同じようにモンスターにもランクが存在しています。ここで注意点なんですが、自分の冒険者ランクよりも上位のモンスターと戦わないようにしてください。Sクラス出身の生徒は非常に優秀ですが、それゆえにむちゃをしてしまう人が多いんです。なので、もしも出会ってしまった場合はすぐに逃げてください」
「だそうですよ、アンリさん」
「うっさいわ! あんたこそアホなんだから注意しておきなさい!」
「ご心配なく。むしろ、自分より優秀な人間をアホ呼ばわりするような人のほうがよっぽど…… むぐっ」
ユキがよからぬことを言おうとした瞬間にミーロンが口封じしてくれた。
よくやったミーロン。
それにしても、この二人はケンカをしなきゃ落ち着かないのか。
「ユッキー言いすぎだよ! いくらアンリンがおバカさんだからって」
「なっ、ミ、ミーロン、あんたまで私のことを……」
「ああっ、ごめん。違うの。つい思ったことを口にしちゃって。……許してくれる?」
「あんたら二人とも許さないんだから!!」
我慢しきれなくなったのか、アンリが2人に襲い掛かった。
「み、みなさん、まだ授業中ですよ! 大人しくしてください!」
先生の注意もむなしく、取っ組み合いような状態からどんどんエスカレートしていき、着ている洋服も破けるほどの大乱闘に発展していった。
先生はどうしようもできないことを察したのか、急いでどこかに行ってしまった。……たぶんギルドマスターの所だろうな。
3人が大暴れしている様子を俺とあまねちゃんは呆れながら見ていた。
「あまねちゃん、もう今日は授業できないだろうし、2人でここを抜け出して何かスイーツでも食べに行かないか?」
俺の誘いにあまねちゃんはとてもうれしそうな顔をしていた。
「え! スイーツですか! ぜひ、行きたいです。あ、でも……」
「でも?」
「3人のケンカを止めなくていいんでしょうか……」
「これはもう止められないだろうな。それにここに残ってもギルドマスターに怒られるだけだと思うぞ」
「うっ、それは嫌ですけど……」
あまねちゃんの真面目な性格もあってか、かなり悩んでいるように見えた。
「もうすぐギルドマスターがくるだろうし、俺はもう行くね」
「えっ、あっ、ま、待ってください! やっぱり私も連れて行ってください!」
こうして俺らはこっそり冒険者学校を抜け出してスイーツ巡りを一日中楽しんだ。
その後、俺はユキにあの後どうなったかを聞いてみた。
話によると、どうやらユキ達はギルドマスターにケンカを止められて何時間も説教をされていたらしい。
さらに残念なことに、1週間で終わる講習のはずがバツとしてギルドの清掃などの雑務も教育プログラムに追加され、卒業するのに1か月もかかっていた。
ちなみに、俺とあまねちゃんは通常通り1週間で卒業できたので、ユキ達が卒業するまではじだらくで楽しい生活を満喫することができた。
俺は心の中で、暴れてくれたアンリに感謝した。
※次は明日の18時20分ごろに第6話を投稿します。
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