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47話 炎の国

 炎の国は思った以上に劣悪な環境だった。


 街中にゴミが散らばっていて、空気も非常に悪い。


 スラム街のような街並みになっていて、住民も薄汚い服を着ている人が大半だった。


 ただ、街の中心だけはキレイな建物があった。


 きっとあそこがカズキ国王のすみかなのだろう。



―――ガッシャーーン



 突然なにかが割れる音がした。


 それと同時に、ヒゲを生やした男たちがケンカを始めた。


「てめぇ、俺の酒勝手に飲みやがったな!!」


「うるせーな。ごちゃごちゃ言ってんじゃねーぞ!!」


 ケンカの勢いはどんどん増していき、ほとんど殺し合いのような状態になっていた。


「いいぞ、いいぞ。ヘヘヘッ、もっとやっちまえ」


「そうだそうだ、ぶち殺しちまえ!!」


 そのケンカを見て、他の住民は下品なヤジを飛ばしている。


「……なんなのここ。こんなとこ絶対住みたくないんだけど」


「あら? あなたにはお似合いですよ。アンリさん」


「はぁ? アホユキにこそあってんじゃないの? あの服アホユキにめっちゃ似合うと思うよ」


 いつものように二人が言い合いを始めてしまった。


 ……まったく、この2人は潜入調査ってこと忘れてるんじゃないか?


「それじゃあ、ここで2班に分かれて行動するぞ」


 俺をリーダーとしたユキ、あまねちゃん、ノルンの4人班。


 アイスをリーダーにした残りのメンバーでできた班。


 2班に分かれるのは、効率的に調査をするためである。


 連絡は無線を使って定期的に行っていく。


「それじゃあ、アイス。そっちの班を頼んだぞ」


「はい。マスター。おまかせください」


 俺たちはいったん分かれ、街の調査を開始した。






 俺たちの班は今、街の中心部を調査をしている。


 調査をしていくうちに、この国の特徴について少しだけ分かってきた。


 ……おそらくこの国には階級制度がある。


 この国は中心部が非常に栄えている。そして、中心部の街からはなれるほどひどい環境になっている。


 能力のない住民は街の郊外に追いやられているんだろうな。


 それに加え、この国にはおそらく奴隷制度もある。


 魔石探索などの過酷な労働を、首輪をつけた人間がほとんど行っていた。


「……この国はイカれているな」


「まったくです。……それにしても、この街の中心地はやけに警備が厳重ですね」


「そ、それに、この国の兵隊さんたちみんな強そうですね」


 2人が言うように、この国の兵士はみんな体格が良く、とても強そうな印象を受ける。


 ……おそらくストラたちじゃ歯が立たないだろうな。


 生で見るとこの国の軍事力の高さがうかがえた。


「よし、ある程度情報は集まったし、さっそくアイスたちと合流して……」



――――ズズズッ


 

 どこからか雑音が聞こえた。


「あぁー。あぁー。テメェ―ら聞こえてるか? 聞こえてたらさっさと返事をしろ!」


「うぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


 

 突然カズキ国王の声が聞こえたかと思ったら、すべての住民が叫びだした。


 あまりの声量に、思わず耳を塞ぐ。

 

「ッ! ユ、ユウト様、これは一体なんなんでしょうか?」


「分からん。しばらく様子を見てみるしかない」


 しばらくすると、どこからかカズキ国王がまたしゃべりだした。


「えーー。お前らに緊急ミッションを与える」


 緊急ミッション?


 ……なんかとんでもなくイヤな予感がした。


「実はついさっき、この国に変な虫けらどもが侵入したことが確認された」


 虫けらってまさか……


「虫は全部で8匹いる。そのうち1人は何とビックリ! AICⅡ国王、ユウト国王だ」


「うぁぁああああああああああああああああああああ」


 俺の名前を出すと、再び住民が叫び声をあげた。


「それと、残りの虫けらは……。男ども、喜べ。全員、……美人の女だ」


「ヒィヤハハあああああああああああああ」


 今度は男たちが気持ちの悪い声を上げだした。


「お前らにはこの虫けらどもを捕まえてほしい。あ、そうだ。ユウト国王はぶち殺してもいいぞ。女どもはお前らの自由にしていい。それと、捕まえた奴には大量の報酬を与える。お前ら、これはチャンスだ。精一杯頑張るんだぞ」


 そういってカズキ国王の話は終わった。


 それと同時に、空から大量の紙が降り注いできた。


「ッ! これは……」


 落ちてきた紙を拾って内容を確認すると、そこには俺たちの顔が書かれていた。


「こ、これって……。て、手配書じゃないですか!?」


「ああ、まずいことになったな」


 住民たちが俺たちを血眼になって探し出した。


「……マスター。今の放送を聞きましたか?」


 アイスから連絡が入る。


「ああ、聞いた。かなりまずい状況になった」


「マスター、指示をお願いします」


「……敵の数が多すぎる、とにかく逃げるんだ。何をされるかわかったもんじゃない。急いでこの国から脱出してくれ!」


「分かりました」


「それと、危なくなったらすぐに連絡してくれ。必ず助けに行くから」


「了解しました」


 連絡を切って、ユキ達と目を合わせる。


「俺たちの会話は聞いていたな?」


「はい」


「俺たちも急いで抜け出すぞ。みんな、はぐらないように……」


「いたぞぉぉおおお。あいつら、あそこにいる!!」


 ……もう見つかってしまったか。


 俺たちはいそいで、ハンターたちから逃げ出した。


※次は明日の18時20分ごろに第48話を投稿します。


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