45話 新たな力
「俺は新しい力が欲しい」
後悔とかは不思議となかった。
……もう俺には異世界転生者のスキルは必要ないと感じていたから。
それに、少しだけ興味がわいた。
ドラゴンの力を持った自分が、この世界でどれくらい通用するのか。
「それでいいんだな?」
「ああ、ドラゴンの力とやらを試させてもらう」
「そうか。それならさっそく継承の儀式を行おう。ユウト、前にある石板の上に乗ってくれ」
下を見ると、大きな石板が地面に埋め込まれていた。
俺がそこの上に立つと、石板がはげしく輝きだした。
すると、魔力のような何かが俺の中に入ってくるのが感じられた。
しばらくすると石板の輝きがなくなり、魔力も感じられなくなった。
「これで継承は完了だ。呪われたスキルも消えているはずだ」
龍神様が言うように、確かに親父の影響を受けたスキルはすべてなくなっていた。
ただ、母さんから受け継いだスキルは今でも使うことが出来た。
「試しに炎属性の魔法を使ってみるがいい」
「え? ああ、それじゃあ……」
――――ボォオオオオオオオ
……驚いたな。
炎の色が青色になっている……。いつもは赤色の炎だったのに。
それに、威力もケタ違いに上がっている。
「これがワシの力だ。その炎は自分が思うがままに操ることも出来る。どうだ、気に入ってもらえたかな?」
「ああ、……これはすごい」
「この力を継承した人間はユウトしかいない。この力を有用に役立ててくれ」
「はい」
俺だけにしか継承されてない力……。
なかなかいい響きだ。
「……ユウトよ、こんなことを言うのはあれだが、1つ頼みごとを聞いてはくれないか?」
「頼み事? いったい何ですか?」
「ノルンを支配していた人間を始末してほしい。あの男は『忌み子』だ」
「……さっきも言っていましたが、忌み子というのは?」
「神によって別の世界から転生した人間のことだ。たいていは神から与えられた強力なスキルを有している」
ああ、なるほど。異世界転生者のことか。
「忌み子は他の人間たちとは一線を画している。ゆえに調子に乗って支配的なことをしだす者がほとんどだ」
確かに、俺があってきた異世界転生者は大体そんな奴らだった。
「どうだろう? この頼みを聞いてもらえるか?」
「はい。……俺もあいつだけはどうにかしないといけないと思っていたので」
「それはよかった。感謝する」
せっかくもらったこのドラゴンの力を試すにはちょうどいい相手だろう。
「ユウトよ。先ほどの頼みだが、ノルンも一緒に連れて行ってはくれないか? 少なからずこの子も役に立つはずだ」
「ノルンですか? ……もちろんいいんですけど」
「何か問題でもあるか?」
「いや、その……。俺の国ではドラゴンが住める家がなくって」
「問題ない。ノルン、人間の姿になってみなさい」
「うん。分かった」
返事をすると、ノルンは一瞬で人間の姿になった。
赤い長い髪、オレンジ色の瞳、肌は褐色で腕にはドラゴンの鱗が付いている。
背は俺と同じくらいで、比較的大きい女の子……
「っていうかノルン、なんで裸姿なんだよ!」
「え? だってドラゴンは服なんか着ないでしょ? 何言ってるの?」
そういえばそうか。
はずかしがった自分が馬鹿らしく感じ……
「ってやっぱりおかしい! その姿の時は服を着てくれ!」
「ええっ~」
俺たちのやりとりをみて、他のドラゴンたちはいっせいに笑い出した。
「ハッハッハッ。ユウトは愉快な男だな」
俺はぜんぜん愉快じゃないんだが……
「ユウトよ、健闘を祈る」
「龍神様、いろいろありがとうございました。それでは失礼します」
「さあユウト、背中に乗って。すぐ国に帰るから」
「ああ。……帰りはゆっくりいってくれよ」
「さぁ? どうしよっかなぁ?」
結局、ノルンは帰りも飛ばして滑空していたので乗り心地は最悪だった。
屋敷の真上に到達すると、ノルンはゆっくりと着陸した。
「ユ、ユ、ユウトさん、こ、こ、このドラゴンは……」
ノルンから降りると、そこには腰を抜かしたランディアがいた。
ドアの前で俺の帰りを待っていたのか?
「ああ、心配するな。こいつは敵じゃないから安心してくれ」
「でもでもでも、ド、ド、ド、ドラゴンじゃないですか!!」
めちゃくちゃ分かりやすく動揺しているな……
まあ、目の前にドラゴンが現れたら誰だって動揺するか。
「ノルン、悪いが人間の姿に変身してもらってもいいか?」
「ああ、もちろんだ」
再びノルンは人間の姿になった。
「え、え、え? な、なんでドラゴンが人間に?」
「ランディア、混乱するのは分かるが少し落ち着いてだな……」
「し、しかも、その子裸じゃないですか!?」
ダメだ、これはもう完全に取り乱してしまっている。
時間を空けて話をするしかないな。
「何やら騒がしいですね。いったい何が……」
まずい、屋敷の中からユキが出てきた。
今の状況を見られたりしたら……
「あっ、ユウト様。お帰りなさ……。フフッ、……お隣にいる裸の女の子はいったい誰ですか?」
……やっぱりな。
俺はこの後、めちゃくちゃユキに問い詰められた。
※次は明日の18時20分ごろに第46話を投稿します。
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