44話 龍の国
兵隊たちに襲撃された後、俺たちは村の修復を手伝った。
思った以上に荒らされたため、元通りに直すのに丸1日かかってしまった。
その後俺たちはみんなに見送りさればがら王宮へと戻り、セリア女王に今回あったことを詳細に報告した。
「なんてひどい……。分かりました。近々彼に今回のことを問いただそうと思いますので、それまであなたは待機していてください」
「……失礼ながら申し上げます。今回の件に関しては話し合いをする必要ないかと。こちらから攻撃を仕掛けてもいいのでは?」
「あなたの気持ちは痛いほどわかります。しかし、感情に任せて行動していてはなりません。話し合いのうえでどうするのかを判断するべきです」
「……分かりました」
少し不満はあったが、俺はしぶしぶ納得して今回の報告を終えた。
王宮を出ようと扉を開けた瞬間、昨日のドラゴンが空から現れた。
「うわっ、ビックリした……」
「驚かせてごめん。今日はお前に礼をしに来たんだ」
「お礼? ……別にそんなことしなくても」
「いいや、させてくれ。それで助けてもらったお礼なんだけど、お前を龍の国に招待しようと思っている」
「龍の国?」
聞いたことがない場所だ。
「そこでお前にお礼をしようと思っている。それに、龍神様がお前に会いたいと申していてな。ああ、龍神様ってのは人間たちで言う国王みたいなもんだ」
……どうしたものか。
今はお礼をされる気分ではないが、せっかくの好意だし行くことにするか。
龍の国がどんなものかも見てみたいし。
「分かった。それで、龍の国にはどうやって行くんだ?」
「私の背中に乗っていくがいい。飛ばしていくから振り落とされない様にしてね」
俺はドラゴンの背中に乗って龍の国へと出発した。
「さあ、到着したよ!」
龍の国はほとんど荒野であり、国と呼べる場所ではなかった。
「さっそく竜神様に会いに行こう。後ろにある神殿で待っているはず」
そういわれて振り向くと、そこには神殿が1つだけあった。
神殿はかなり古びていて、長いあいだここに住んでいることがわかる。
中に入ると、あかりが一切なく、ほとんど洞窟のようだった。
しばらく歩き続けていると、奥の方にドラゴンが6匹見えた。
6匹のドラゴンはそれぞれ赤、青、黄、緑、白、紫色と宝石のような輝きを放っていて、すごく印象的だった。
「あのドラゴンたちはいったい?」
「ああ、あの方たちは魔龍さんたちだね」
「魔龍?」
「人間たちが普段使っている魔法。魔法に属性があるのは知ってると思うけど、その属性の根源となっているのがあの魔龍さんたちなんだ」
魔法の属性か。そういえばずいぶん前にギルドの授業で習ったな。
炎、氷、雷、自然、光、闇。
この6つの属性が……
「ってちょっと待て!? 属性の根源ってことはまさか、俺たちが使ってる魔法って……」
「その通り。人間が魔法を使えるのは、魔龍さんたちが自分の魔力を人間どもに継承したからなんだよ。継承したのは何年くらい前だったかな?」
……そうだったのか。
どの歴史書にもそんなことは書かれていない。
まさかこんなところで魔法について知れるとは思わなかった。
「……雑談はこれくらいにして、そろそろ気を引き締めてね。龍神様は優しいけど、怒るとすっごく怖いから」
「ああ、分かった」
しばらく黙って歩き続け、とうとう魔龍たちがいる場所へと到達した。
「人間が来るとは珍しいな」
「ああ、しかもこんな若造が来るとは」
「なかなかかわいらしい子じゃない。私は気に入ったわ」
魔龍たちが思い思いに俺について話し出した。
しばらく待っていると、奥にある石でできた扉から1匹のドラゴンが登場してきた。
……あれが龍神様か。
長く立派なヒゲを生やした、銀色のドラゴンだった。
ドラゴンたちのトップということもあって、その大きさはけた違いだった。
「……よく来たな。おぬし、名を何と申す?」
「ユウトと言います」
「ユウト……。まずは礼を言わせてもらう。そのにいる『ノルン』を助けてくれたそうだな。感謝する」
「私からもお礼をいわせて。ありがとね、ユウト」
「ああ。またなんかあったら俺を呼んでくれ。いつでも助けてやる」
俺がそういうと、ノルンはうれしそうに笑った。
「……ユウトは優しい人間だな。君になら、この力を授けてもよいかもしれんな。ノルンを助けてくれたお礼として授けよう」
「力ですか?」
「ああ。ワシの力を継承しよう」
「……いや、俺にはあなたの力はいりません。これ以上強くなる必要がありませんから」
望んで受け継いだわけではないが、親父のチート能力が俺にも少しはある。
これのおかげで戦闘で困ったことは一度もない。
だから俺は力を欲しない。
「……『忌み子』の能力か。それがあれば確かにどんな敵も難なく倒せる。ただ、ユウトは戦いを通じて成長を感じたことはあるか?」
「……それはないですね」
「それでは真の強者にはなれん。真の強者は自分の実力に満足することなく、常に成長するものだからな」
……別に真の強者になるつもりなんてない。
ただ、もし俺に親父の能力がなければ、戦う楽しさや成長した実感なんかも知ることが出来たのだろうか?
俺の迷いを察してか、龍神様は俺にある提案をしてきた。
「お前の呪われたスキルを消すこともできる。選ぶがよい。今の力を保つか。ワシの力を求めるか」
……魅力的な提案だな。
俺は迷うことなく答えた。
「俺は……」
※次は明日の18時20分ごろに第45話を投稿します。
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