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41話 凶悪な男

 本格的に寒さが厳しい季節。


 AICⅡでの王宮暮らしが続いていたが、今日は久しぶりに母さんに現状報告をしに街にもどっている。


 他の国に長期間滞在していたことがなかったためか、すこしなつかしさを感じてしまった。


「久しぶりにこっちに来たな」


「はい。実に1か月ぶりですね」


 今回の訪問はアイスに加えて、ユキ達もいっしょに連れてきている。


「それじゃあ、さっそく王宮に……」


 俺が話している途中で、突然誰かが大声でしゃべりだした。


「嫌と言ったら嫌です、離してください!!」


「わがまま言うんじゃありません! 早急に村に帰りますよ!」


「まったく。ようやく見つけたと思ったら、まさかこんなところにいたとは……」


 道の真ん中で3人が言い争いをしている。


 このまま放っておくわけにもいかないし、俺が仲裁するしかないか。


「おい、あまり道の真ん中で騒がないでほしいんだが……。ってランディアじゃないか!」


 驚いたことに、言い合いをしている1人はランディアだった。


「ユ、ユウトさんじゃないですか! た、助けてください!」


「……あんたら、ランディアにいったい何をしているんだ?」


「私たちは娘を村に連れ戻しに来たんだ! それより、あなたはランディアと知り合いのようだが、いったいどういう関係なんだ?」


 ……娘ってことは、言い争っていた残りの2人は両親ってことか。


 そういえば、ランディアは家出してたんだったな。


 今の状況を見ると、ついに家出少女が見つかってしまったってことか。


「ユウトさん……」


 助けてほしそうに俺を見つめている。


「分かった。ちょっと用事があるから、用事を済ましたらあとでくわしく話を聞く」


 そういうと、ランディアはホッとしたような表情になった。


「あの……」


「ああ、すみません。えっと、あなた方はランディアのご両親ってことでいいんですよね?」


「ええ、そうですけど……」


 俺はそのあと、これまであったことをご両親に説明した。






「……つまり、ランディアを守ってくださってたということですか?」


「ま、まあ、そういうことになりますね」


「まあ、なんとお礼を言ったらよいのか……。あの、娘を今まで守っていただきありがとうございます! それと、先ほど失礼な態度を取ってしまい申し訳ありません」


「いいえ、とんでもない。気にしないで下さい。あの、ここで話をするのもアレですし、続きは俺の屋敷でしませんか? それと、お二人とも長旅で疲れていると思いますし、今日はそこで泊っていってください」


「え? いや、わざわざそんなことまでしていただかなくても……」


「俺がそうしたいのでそうさせてください。俺はこのあと用事があるので、すこし屋敷でお待ちしていただくことになるのですが、よろしいですか?」


「ええ、それはぜんぜん構いませんが……」


「ありがとうございます。……そうだ。ランディアだけじゃ不安だし、ユキ達も一緒についていってやってくれ」


「はい。承知しました」


 ……まずいな、少し遅れてしまった。


 ランディアたちといったん別れ、俺とアイスは王宮へと向かった。






「……すみませんセリア女王。少し遅れてしまいました」


「いえ、問題ありません。それより……」


「おぉ、ユウト王子……。いや、今はユウト国王か」


 母さんたちのほかに、渋い声をした見慣れない男が俺にあいさつをしてきた。


 年は40歳くらいだろうか?


 その男は顔に大きな切り傷があり、凶悪な顔つきをしている。


 非常に体が大きく、赤い鎧を着ている。


 そのせいか妙に威圧感があった。


「えっと、この方は一体?」


「あいさつがまだだったな。俺は『炎の国』国王、キョウゴク・カズキ。ユウト国王が小さいとき、一度だけ会ったことがあるんだが、覚えてないのか?」


「……ちょっと記憶にないですね」


「へへっ、別にそんなのかまいはしねーよ」


 そういってこの男はガハハッと笑い出した。


 ……それにしても、なんでこいつはこんなに横柄な態度をとっているんだ?


「ユウト、今回カズキ国王は、あなたに用があってきたそうですよ」


 俺に? いったい何の用だろうか?


「おう。ユウト国王、AICⅡの領土を半分俺にゆずってくれ」


 何を言い出すかと思ったら、この上ないほどろくでもない要求だった。

 

「なぜ?」


「なぜってお前……。俺は前からアイスに領土を渡すようお願いしてたの! ロボットが国を管理するなんて無理だから。俺が代わりにうまく利用してあげると。だが、なぜかそれを断られ続けた」


 こいつは嫌味のようにアイスのことを睨みつけた。


「……お願いではなく、脅迫の間違いかと」


「チッ、あいかわらずクソみたいなロボットだな。それで、こいつが国王のままなら強行手段で領土を奪おうと計画していた時だ。なぜかお前が国王になった」


 なるほど、俺が国王なら脅すだけでAICⅡをぶんどれるとでも思っているのか。


 なんとも浅はかな考えだ


「お断りさせていただきます」


「あ? お前も俺に逆らうっていうのか? ……痛い目にあって知らんぞ」


「ああ、構わない。それよりサッサと消えてくれ。めざわりだ」


「チッ、そうですか、それでは失礼いたします」


 帰り際、こいつは髪をかきむしりながらイライラした口調で捨て台詞を吐いた。


「……マサトの野郎が国王のまんまだったら、こんなことしなくて済んだのになぁ!」


――――ドガン


 扉をけやぶってトコトコと帰っていった。






「……あいかわらず恐ろしいお方ですね」


 母さんが恐れるなんてウソかと思ったが、顔をみるとひどく青ざめていた。


 おまけに手もひどく震えていた。


「カズキ国王と知り合いなのですか?」


「はい、いつもマサト様はカズキ国王によく脅されておりましたので……。ひどいときには暴力をふるっていました」


 親父はあいつにいじめられていたのか……


 まあ、あのおっさん相手じゃ親父はビビってロクに抵抗できないだろうな。


「それに、『炎の国』は軍事力に秀でた国ですので、もし争いにでもなってしまったら私……」


「心配ありません。その時は俺が母さんを守るので安心してください。それと、カズキ国王の悪事は俺が必ず制圧してみせます」


「まあ、頼もしい。……フフッ、国王になってから少し成長されましたね」


「そうですか? そんなことないと思いますけど……」


「いいえ、成長しましたよ。えらいえらい」


 そう言って母さんは俺の頭をなでてきた。


 ……成長したと思っているなら、子ども扱いするのをやめてほしいんだが。



 そのあと俺は現状報告をすませ、ランディア家族が待つ屋敷に戻った。


※次は明日の18時20分ごろに第42話を投稿します。


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