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40話 ひさしぶりの休日

 国王になってからしばらくの間、俺は休む間もなく働き続けていた。


 どんな店が必要か、どの場所に配置するか、予算がどれくらいあるのか……


 そんな会議や議論を数えきれないほど行った。


(国王ってこんなにたくさん仕事をやらないといけないのか……。そりゃ母さんもやりたがらないよな)


 国王という立場になって、俺はようやくその大変さに気がついた。




 そんな忙しい日々を過ごしていたのが、そろそろ精神的に限界が近づいてきた。


「シンドすぎる……。もう2週間はずっと働いているぞ。どうにか明日を休みにしてもらえないか?」


「そうですね……、分かりました。明日はゆっくり休んでください。マスター、長期間ご苦労様でした」


「マジか! ありがとう。そうさせてもらう」


 ようやくゆっくり過ごすことが出来る。


 仕事を終えたその日、俺はひさしぶりにぐっすり眠ることが出来た。


 

 



「ユウト王子、……じゃなくて、ユウト国王! あのー、そろそろ起きてくれませんか? 朝ごはん冷めちゃいますよ」


 ……誰かが俺を起こしに来た。


 俺の呼び方から考えると、たぶん起こしに来たのはあまねちゃん。


 まだ眠いし、もう少し眠っていたい。


 幸い、あまねちゃんはユキやミーロンほど無理やり起こしてくることはしない。


「……もう少し寝かせてくれ」


「だ、ダメですよ! ユキさんたち怒っちゃいますよ」


 うーん、まだ引き下がってくるか……


「大丈夫だよ。ちょっとくらい……」


「起きないなら、お布団ぴっぺがしちゃいますよ!」


 あっ、それはまずい。


 なんとしてもこの温かさを守らなければ……


 ……ちょっと恥ずかしいが、この作戦で行くか。


「そんなこと言わないでよ。それより、あまねちゃんも一緒に2度寝しないか? ちょうどスペースも空いてるしさ」


「ええっ!?」


 おそらく、奥手なあまねちゃんじゃ入ってこないだろう。


 近くでアワアワしてる姿が目に浮かぶ。


 さて、このスキに深い眠りについてしまえば俺の勝ち……


――ガバッ


 突如布団がはがされ、冷たい空気が俺を襲う。


 温度差もあってか、眠気は完全になくなってしまった。


「さむっ! ……あまねちゃん、もう少し優しく」


 俺が顔をあげて目が合ったのは、あまねちゃんではなくユキだった。


 ……そういえば前にも似たようなことがあったな。


 視界がぼんやりして良く見えないが、おそらくめちゃくちゃ怒っている。


「あっ、ユキだったか。お、おはよう……」


「おはようございます。……以前言いましたよね? 私以外のメイドに迷惑をかけるなって? それに、今回のユウト様の行動は少々目に余るのですが」


「……悪かった。眠かったんで、つい甘えてしまった」


「まったく、以後気を付けてください! ……どうせ甘えるなら私だけにしてくれればいいのに」


「ん? 悪い、今なんて言ったんだ? 寝ぼけてて途中までしか聞き取れなかった」


「な、なんでもありません!」


 また怒られてしまった……






 朝食を食べ終え、俺はソファーに寝転んだ。


「あっ! ユウくん、休みだからってダラダラしちゃだめだよ!」


「勘弁してくれ。2週間もぶっ続けで働いてたんだから」


 国王なんてただ王座に座ってるだけだと思っていたのに、こんなにダルイことまでしなくちゃならないとは……


 やっぱり王族なんていいものじゃないな。


「それでは立派な国王になれません。休みの日こそきちんとした生活を心がけないと……」


 ああ、なんだかまた眠く……


「……聞いていますか?」


「うぇ、あっ、ああ。聞いていたぞ」


「フフッ、ユウくん。ウソついてもバレバレだよ」


 やっぱりバレていたか……


「……このままではユウト様は一日中ダラダラなさるでしょうし、今日はみんなでお買い物にいきましょう。昨日からここにも出店が出始めてきたので、視察もかねて行ってみましょう」


「えっ? なんでわざわざみんなで行かなきゃいけないんだよ……」


「何か文句でも?」


 あっ、これは逆らったらダメそうだな……


「い、いや、なんでもない。それじゃあ出かけに行くか。ちょっと準備するから待っていてくれ」


 俺は急いで自分の部屋に着替えに戻った。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「ユウくん、疲れてるーって言ってたけど、割と元気そうだったね」


「当然です。本当に疲れていたら、私たちに気づくことなくずっと眠っているはずです。……まったく、ユウト様のめんどくさがりな性格は直していただかないと」


 今日は久しぶりの休日。


 本当なら、もう少し甘やかしてあげるべきだったのかもしれません。


 それでも私は、ユウト様と少しでも長く一緒に楽しい時間を共有したい。


 なのでユウト様には悪いんですが、私のワガママに付き合ってもらいます。


 それに、いつもアイスさんとばかりいっしょに過ごしておられるから、うかうかしていると奪われてしまうかもしれない。


 そんなことは絶対に嫌です!  


「……それに、最近ユウト様とお話をする機会が減っていますし」


「あっ! そっちがホンネだ。ユッキーもやっぱり寂しかったんだ」


「ユキさんの気持ちわかります! いつも一緒にいた人と会えなくなっちゃうのは悲しいですよね」


「ッ! もう、2人ともうるさいです! もうこの話は終わりにしましょう」


――ガチャ


 ……ちょうどいいタイミングですね。


 ユウト様が準備を終え、私たちに声をかけた。


「悪い、待たせちゃって。それじゃあ出かけようか」


「はい!」


 このあと、私たちは街へと買い物を兼ねて遊びに出かけに行きました。


 久しぶりにユウト様と過ごした時間は、とてもとても楽しいものになりました。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


※次は明日の15時20分ごろに第41話を投稿します。


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