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37話 危険な女

 王宮に戻る途中、俺はビルの屋上に1人でたたずむ女性を発見した。


 無視することも考えたが、そういうわけにもいかず俺は屋上に行くことにした。


「……悪い、少し用事が出来た。先に王宮に戻っていてくれ」


「えっ? 用事ですか? それって……」


「大丈夫。すぐ戻るから」


「は、はい、分かりました。どうかお気をつけて」


 みんなと別れて、俺はビルの屋上に向かった。






「いったい何をしているんだ?」


「あっ、やっぱりきた。ゆーちゃん! もぉー、なんてことしてくれたの! せっかくこの街を破壊できそうだったのに」

 

「やっぱりあんたが企ん……」


 俺がしゃべりだしたとたん、彼女は持っていたナイフを俺の首にめがけて突き付けてきた。


 俺が計画をジャマしたことで怒らせてしまったかな?


「おい、話をちゃんと……」


「ねぇ、前にも言ったよね? 私を『あんた』って言わないでって。なんて呼ぶんだったっけ?」


 どうやら俺の勘違いだったようだな。


 まさか呼び方ひとつ違うだけで俺を刺そうとしてくるとは……


「ミツキ」


「……お姉ちゃんが足りないけど、まあいいや。それで、ゆーちゃんは何が聞きたいのかな?」


「さっきもいったが、ミツキがこんなことしたのか?」


「うん。そうだよ」


「なんでこんなことしたんだ?」


「え? イライラしたからだよ?」


「イライラ?」


「うん。そうなの。ねえ聞いてよ、ゆーちゃん! あのね、この国に遊園地あるでしょ」


「ああ」


「私もそこで遊んでたんだけどね、そこにいたアホなクソガキカップルが私にぶつかってきたの! ねぇ、これってひどくない?」


 ……ただのグチのように聞こえるが、もう少し話を聞いてみるか。


「それであいつら、『ごめんね、ぼっちのおばさん』だとか『おい、神である僕の行く手をはばむことはゆるさんぞ』とかいってきたの! ねぇ、これってありえないでしょ?」


「あ、ああ、確かにそうだな……」


 アホなクソガキカップルって、まさかあいつらのことじゃないよな?


「そのあと左腕が悪魔みたいになってる男が代わりに謝罪してきたけど、どうしても私の怒りはおさまらなかった」


 ああ、これは確定だ。


 登場人物全員に心当たりがあるだけに、どうしても冷や汗が止まらなかった。


「でも私は大人だから、クソガキたちを殺すことはしなかった。代わりにこの国を破壊して、遊園地もろとも壊してやることにしたの! そうすれば2度とあんな思いをすることはない。私以外の被害者も増やさずに済む。ねぇ、私良いことしているでしょ?」


 何を言ってるのかほとんど分からなかったが、どうやらこの騒動はミアたちが原因で起こったことだけは理解した。


「……ねぇ、ゆーちゃん。さっきからどうしたの? そんなに汗かいちゃって?」


 まずい。


 ミアたちとのつながりがバレないようになんとかごまかさないと。


「い、いや。そ、その……、ミツキがそんな目にあったのが許せなくて。どうして俺が守ってあげられなかったのかなって思って」


 とっさに出したウソではあるが、我ながらとんでもないことを言っているな。


 さすがにこんなバレバレなウソじゃ怪しまれて……


「えっ! ゆーちゃん、そんなに私のことを……。う、うれしい」


 彼女は突然泣き出してしまった。


 いったい何がどうなっているんだ?


 この展開についていくことが出来ず、俺は立ちつくしかなかった。






 しばらく待っていると、彼女は徐々に落ち着きを取りもどした。


 そして俺に背を向けた後、ゆっくり歩きだしながら再び話し出した。


「フフッ、なんだかすっきりしたし、私のジャマをしたことは許してあげる。それじゃあまたね、愛しの旦那様」


 そういったあと、彼女はビルから飛び降りてしまった。


「あっ、おい、ちょっと……」


 すぐにビルの屋上から地面を見渡したが、どこにも彼女の姿は見当たらなかった。


「まだ聞きたいことが山ほどあったんだけどな」


 ミツキに関して謎が多すぎる。


 今は俺に対して好意を持っているようだが、それがいつ敵意にかわるかわからない。


 今回の騒動で凶悪な一面があることがはっきりした今、これから彼女のことは警戒しないといけないな。


 ……それと、帰ったらあの3人に軽く説教をしておかないと。






 王宮に戻った直後、アイスさんが俺にお礼をしてきた。


「ユウト王子ならびにお連れの皆様、今回は本当にありがとうございました。被害を最小限にすることが出来たのもすべてみなさんのおかげです」


「あ、いえ、そんな。とんでもない……」


「そうだぞ。僕に感謝するといい」


「お前が言うんじゃない!」


「イ、イダイ、ユ、ユウト、なんでぇ、僕のほっぺたをつねるんだ」


 もとはといえばお前が原因なんだぞ。


 まあ、本人はそんなことみじんも思っていないのだろうが。


「それよりアイスさん、顔をあげてください。アイスさんのおかげで俺たちも巨大ロボットを助けられたんですから」


「お心遣いありがとうございます。ユウト王子はお優しいのですね」


「別にそんなことないと思いますけど」


「いいえ。私は素敵だと思い……」


 突然アイスさんの動きが止まってしまった。


「あ、あの、大丈夫ですか?」


 話しかけると、呼びかけに答えるように瞳の色がピンク色に輝きだした。


「アイスさん? 聞こえていますか?」


 再び呼びかけると、瞳の色が水色に戻った。


「……恋愛プログラムを始動します」


 いったいどうしたんだ?


 アイスさんのおかしな言動に、みんなが困惑した。


「ユウト王子」


「はい、なんでしょうか?」


「あなたこそマスターにふさわしい人間です。新しいマスターになってください。そして、わたしと婚約してください!」


 やっと元に戻ったかと思った矢先で、それはあまりに衝撃的な発言だった。


※次は明日の18時20分ごろに第38話を投稿します。


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