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35話 暴走

「け、警備ロボットのコントロールが奪われたって、そうなるとどうなっちゃうの?」


「私以外のだれかが警備ロボットを自由に指示を出せます」


「それってかなりまずいんじゃ……」


「はい。大問題です」


 確かにこれは大問題だ。

 

 それに今、警備ロボットはどうなっているんだ?


 ふと外を眺めると、遠くから大量のロボットがこっちに向かってきているのが見えた。


「まずいな。あいつら、たぶん王宮に乗り込んでくるつもりだ」


「ええ! ど、どうしたらいいの? アイちゃん」


「……対策方法が思い当たりません。すみません。このような事態は想定外でしたので」


「ええっ。そんな……」


「大丈夫だ。いくつか解決方法は思いついてる」


「ホント!!さっすがユウくん!!」


「ユウト様、具体的にどのような解決法があるのでしょうか?」


「ああ、まずは……」


 俺が提案した作戦はだいたいこんな感じだ。


 まずはとにかくロボットの動きを止める。しばりつけたり押さえつけたりすることで、どうにか一時的に機能を停止させる。それができればロボットを破壊せずに問題を解決できる。それに、次の作戦のための時間稼ぎも出来る。


 動きを止めおわったら、ロボットにかかっている呪いを解く。たぶんあの女が呪いかなんかで警部ロボットを操っているんだろう。その場合、ロボットを一か所に集めたあと、俺が聖回復魔法を使って呪いをとく。そうすればこの騒動をおさめることができるかもしれない。


 どうしても手に負えない場合はロボット本体を破壊する。ただ、ロボットとはいえAICⅡの住民を壊すのはさすがに嫌なので、この作戦はあまり実行したくはない。


「……これで以上だ。基本的にはロボットをできるだけ破壊せずに制圧する。ムリそうだった場合のみ、最後の作戦に切り替える。これで問題ないか?」


「はい、問題ありません」


「そこでだ、何かロボットの動きを止められそうなものがあるといいんだが……」


「それでしたら、これを使ってください」


 そういってアイスさんは黒色の銃を俺たちに渡してきた。


「これはいったい?」


「対ロボット用のマグネット銃です。これは本来、誤作動したロボットを強力な磁石で一時的に停止させるものですが、今回の作戦では利用価値があると判断しました」


「ありがとうございます。これがあれば動きは止められそうですね。あとはどう一か所に集めるべきか。動きは止まってもその場でジタバタされたんじゃメンドウだな。どうにか気絶させられたらいいんだが……」


「気絶……。機能を停止させること出来たら可能です」


「え、そんなことできるんですか?」


「はい。この国の警備ロボットには非常停止ボタンが首元に取り付けられています。そこを押せば完全に機能が停止します」


 すごく有益な情報だ。


 っていうか、そんなボタンがあるなら最初から言ってほしかったんだが……


「貴重な情報ありがとうございます。これで何とかなりそうです」


「お役に立って何よりです」


「後は俺たちが何とかするんで任せてください」


「……申し訳ありませんユウト王子。本来なら、このような事態は私が解決すべきことなのに」


「いいんですよ。それに、俺もこの国が好きになんで協力させてください」


「ユウト王子……」


 アイスさんは俺を見つめたまましばらく黙りこんでしまった。


「そ、それじゃあ警備ロボットを抑えに行ってきますんで待っていてください」


「……はい」


 それじゃあ少しメンドウだが、暴走したロボットを止めにいくとしますか。


「みんな、準備はいいか?」


「はい!」


 俺たちはいっせいに外に飛び出した。






 外に出ると、そこには100体以上のロボットが王宮の周りをかこっていた。


「うわっ、めっちゃロボットいるじゃん! どうすんのよこれ……」


「一体ずつ片づけるしかありません。アンリ、油断しないようにしてください」


「分かってるわよ! アホユキこそやられるんじゃないわよ!」


 こんなところでも言い合いしている二人だったが、予想外なことに、うまく連携をとって一気にロボットを制圧している。


「ユッキーたちに負けてられないね! 私たちも行くよ、あまねる、ランちゃん」


「は、はい。頑張ります!」


「わかりました」


 2人に続いてミーロンたちも銃を使いこなし、次々と行動不能にしていった。


「すごいですね彼女たち……」


「みんなすごーい」


「まったく、少しは僕の出番も欲しかったのに……」


「頼もしい限りだ。それじゃあ、俺たちも仕事をするぞ。非常停止ボタンを押してロボットたちを一か所に集めてくれ」


「分かりました」


 ストラたちがロボットを引きずって一か所に集める。


「それじゃあユウト王子、よろしくお願いします」


「分かった。――セイントヒール」


 俺が魔法をかけると、ロボットにまとわりついていた紫色の瘴気が徐々に消えていった。


「これでもう大丈夫だろう」


「お疲れ様です」


「後はユキ達が残りを倒してくれれば……」


「きゃぁあああああああああ」


 少し落ち着いてきたと思った矢先に、誰かの悲鳴声が聞こえてきた。


「……どうやら俺たちの出番もありそうですね」


「いそいで助けに行くぞ」


 俺を含んだ残りのメンバーで、悲鳴の聞こえたほうに走り出した。

※次は明日の18時20分ごろに第36話を投稿します。


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